自由研究 ■鳥取企画2001.10の記録


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■テーマ:鳥取で地方都市の魅力を味わう


■日時とコース    2001年10月13日(土)〜14日(日)
(1)ラーバンリゾート倉吉   10/13 14:00〜17:30
倉吉パークスクエア→赤瓦・白壁土蔵群→小川酒造周辺
(2)智頭宿と鳥取中心市街地  10/14  9:30〜17:30
智頭宿(塩屋出店、石谷家住宅、諏訪酒造)→杉の香団地→鳥取民芸美術館→三角公園→やまびこ館→県庁・鳥取城跡周辺→わらべ館→智頭街道→川端銀座→若桜街道
■参加者:安藤文、石橋理奈、井手幸人、大竹亮、鎌原史英、栗原順子、里見泰男、澤田廉路、田中佐和子、田中 登、野中るみ子、溝辺正浩、森 和美、森本章代、山本仁志
コーディネーター:栗原 徹 計16名(一部参加を含む)


【参加者の評価とコメント】


■ラーバンリゾート倉吉
●倉吉の街全体 《AABBBBBB・・3.50》
A:個々のパークスクエアと旧市街、駅からは離れているが、互いに歩ける範囲にあり、全体的なまとまりのよさを感じる。
A:家並みと川がとても印象深かった。かつて汚れていたという時期を経ても、今、生活の足下に川がある倉吉はとても魅力がある。
B:歴史的な町並みの広がりにびっくりした。産業的衰退には抵抗できないみたいで、街の歴史的資産が消えていくのは残念! 最後に見せて頂いた、廃墟化している茶室どうにかならないでしょうか?
B:落ち着いた良い街だが、駅前、パークスクエア、赤瓦周辺、小川酒造周辺など、魅力的なポイントが分散しているので、これをどうつなぐかが課題。
B:歴史的な街並みや風情が残る街に、外国人建築家の斬新な巨大施設が出現した。この2つ(伝統と現代)の相乗効果が出ると面白い。
B:新しい所と両極。旧市街地の銭湯のまわりは“千と千尋”の古い商店街みたいで、全部明かりがともるといいなと思う。
B:普通の地方都市で思ったより活気があった。もう少し人がくるようにがんばれば近江八幡のように行ってみたいまちになるのでは。
B:街の中心と駅が離れているためか、まだ「歩く」ための整備が不足していると思った。車だと便利なんだろうけど。でも、これからの開発資源が結構埋もれていそうで、今後に期待の街です。


●倉吉パークスクエア 《AAAABBBC・・3.75》
A:コメント:地域施設として積極的に活用されているような感じがした。何時の日かリスを囲っている網がとられ、芝生でリスを見られるようになるといい。観光客としては、レストランに梨のパイケーキなどが無かったのが残念。
A:大胆なデザインの空間が小さな街にインパクトを与えている。片隅の店舗や遊び場が、大規模施設と街を自然につなげている。
A:木構造のホールがすばらしい。梨記念館などの内容も充実している。
A:地方だからでしょうか、何でもありの施設が立派に成立していて面白かった。公共施設もソフトをがんばればきっとリピーターがついてくると思う。とくに、梨だけであれだけの規模の博物館を作ったのは、地元の気合とやる気が感じられた。
B:とても賑わっており、アトリウムや回廊などの空間のつくりかたが面白いが、周辺の街との関係が十分ではなく、賑わいが広がっていかない。
B:建物は良いかもしれないが、買ってきた建物といった感がある。20世紀梨博物館は面白かった。地域の人のメニューらしく。
B:木の梁や外観の色遣いが温かみのある雰囲気をだしている建築。でも、夏はかなり暑そう。今後は光熱費を考慮して公共建物の巨大アトリウムのあり方を考え直したほうがよいと思う。
C:二十世紀梨記念館はとてもおもしろかった。期待感を抱けなかったエントランスや外観からは、想像もできない施設だった。


●倉吉旧市街  《AAAAAABB・・4.50》
A:玉川、それにかかるシンプルで味わいのある石橋、赤瓦、連続する白壁、鮮烈なイメージが残っている。本町通り、レトロな打吹商店街との回遊的な街歩きができるともっと楽しくなりそう!
A:玉川と白壁土蔵の美しい景観に、赤瓦の施設群が加わることで、活気が生まれてきている。
A:古い家並みに水路が流れ、現代の生活に使われている。赤瓦の試みは長浜黒壁に似ており、注目株。
A:「赤瓦」の運営等はまだ試行錯誤があるかもしれないが、古い商家や水路など重要な資源がたくさんある。
A:ほどほどのにぎわいとゆったりした時間が感じられて、また歩くほどに底知れない魅力が現れてくるようで、ゆっくり過ごしたい街。茶庭が修復されたら、またぜひ行きたい。
A:もっともっと宣伝すれば、多くの人が必ず行くとても趣のある場所だと思う。もったいない。
〔私なりの提言〕  
(1)雑誌(飛行機の機内誌、サライ、日経トレンディ、マガジンハウス系)に取り上げてもらう。特許をとって地図を作成するよりも、まずは全国に宣伝するのが重要。宣伝費は必要です。記事は、見た人が一度はいってみたいとテレビよりも手元に記憶として持っていることができます。 
(2)パークスクエアから(智頭のように)土塀群までの案内を看板にしたり、道路に地図を明記し人がうまく流れるようにする。 
(3)土・日に駅〜パークスクエア〜旧市街を結ぶシャトルバスを出す。 
(4)車でも人が来られるように、駐車場を設ける。
B:人が多かったのは良かった。最後の酒屋の庭は絶対に復活してほしい。やはり、質の高い仕事は匂いが残っているものだと思った。街もそうだと思う。
B:白壁や赤レンガはたくさん見たはずなのに、実はあまり印象に残っていません。でも、昔ながらの家並みが残る通りは、のんびり歩けて、水音も清々しく、楽しかった。人が集まる、人が働く、歴史を残すには、白壁土蔵の整備などが必要ですが、それ以外の良さも大事に、残していって欲しい。


■智頭宿と鳥取中心市街地 
●智頭の街全体 《AAAABBB・・4.14》
A:駅から智頭宿までの案内板、智頭町まるごと発見ブック&マップ等、町のまちづくり積極的な取り組みが伺われる。諏訪酒造の水路のある風景はいい!
A:倉吉に続いてまた、水の音を聞きながら歩けるとは、と驚いた。
A:水量の豊富な水音の中に街があるようでいい。これは大事にしたほうがいい。八尾の町にふれた本をたまたま読んでなんだかその町とダブってしまった。
A:小さい割りにいいもの持っている街だと感じた。観光マップなどを作っているのに、少しも観光地っぽくないところが逆にいい。でも、いい物探しにまた行ってみたいと思わせるものがあった。
B:山に囲まれた小さな街だが、いい建物や路地がある。杉玉や木の案内板など、ちょっとした工夫で町全体の雰囲気が変わってきた。
B:山間のひっそりした小さな街が、訪れる人の心を休めてくれる。
B:倉吉と比較すると、どうしてもまだ活性化の気運が高まっていない。
 :ガイドブックにも載っていないので先入観まったくなしでまちを訪れることができた。でも普通の人はわざわざは行かないまち。


●石谷家住宅 《AAAAAAAA・・5.00》
A:縦横自分がいる場所がわからなくなるような大きさにびっくりした。ボランティアの方の案内、入り口でのお抹茶のイベント等ソフトも充実していた。
A:土間部分の吹き抜けには圧倒される。この住宅が公開されたことで、智頭という街のイメージ大きく向上した。
A:とても豪壮かつ優美な屋敷。この住宅が街に多くの人を呼ぶことを期待。
A:まずこれだけ規模が大きな、近代和風の住宅というのも珍しい。
A:まず、梁組が見事で圧倒された。(富山でも似たようなつくりを目にしましたが、日本海側の特色があるのでしょうか?)
A:昔の財を持っている人というのは違う。材料が贅沢に使われているように見える。
A:りっぱのひとこと。池のまわりの回廊も公開しているとうれしいが、実際に家主がお住まいであればやむを得ない。
A:すごいの一言。この家だけで、智頭がその昔、すごく栄えていたことがわかる。


●県営住宅杉の香団地 《BBBBCCD・・2.00》
B:デザインとしては悪くはないが、せっかく木造3階建てにするのであれば、もっと見える所で木を使いたかった。
B:杉を活用する発想はいいが、コンクリート部分が固い。
B:木を使うデザインは良い。地方は土地があるのだから2階建のメゾネットぐらいにして縦にする必要はないのでは。
C:団地としてのボリューム等はいいのですが、木造の魅力が今一歩出せてない感じがした。
C:内容はいまいち。でも、材料は余裕がある。
D:せっかくの木造なのに、コンクリート部分が目立って、木が生かされていないのは残念。地元ではよくある木よりコンクリの方が人気があるからなのだろうか?


●鳥取の街全体 《BBBBBBCC・・2.50》
B:都市と自然との距離が近いコンパクトな街であった。構成も分かりやすいので、歩いていて迷わなかった。
B:コンパクトな市街地で自然が非常に身近にあるが、街の活気という面では物足りない。
B:人口15万都市だが、各種機能が充実し、駅前など賑わっている。
B:城下町としての特徴もあまり無く、少し残念。
B:鳥取の街は、海ではなく山につながるイメージが意外でした。
C:街の産業が最後まで分からなかったのはちょっと気になる。勢いがないのでは・・・。智頭だったら木がたくさんとれたのだろうとか、宿場はにぎやかだったのだろうとか。
C:歴史のある街だなぁと感心した。でも確かに人が少ない。休日だったからでしょうか。それとも観光客などはみんな近郊の町に行ってしまっているのでしょうか。朝の銭湯には、地元のおばあちゃんがたくさんきていたんですが・・・。


●やまびこ館 《ABBBCCC・・2.43》
A:外観が周囲に合っているとは言い難いが、この位なら良い刺激。展示はむしろ生活感にあふれ、それが面白い。
B:展示の仕方が凝っていて面白い。外観の発想は理解できるが、微妙な色使いや素材の選択で品がなくなってしまった。
B:神社参道に面して、山を背に控えめにたたずんでいる。展示は非常に面白い。
B:鳥取の歴史を堪能。体験型のブースがたくさんあり、楽しく学べました。まちなみに焦点を当てた展示が多くあったのが印象に残りました。でも、建物はプラスチックのようで、立地場所からみるとかなり大胆・冒険しているなぁと感心してしまいました。悪いようで良いような・・・。
C:街ができるまでの展示等は面白かったのですが、なにか足らないような気がしたのはなぜでしょうか。
C:建物はやはり買ってきたもののような気が。あと、内部はもう少し本物の展示もほしい。


●県庁・鳥取城跡周辺 《BBBBBBBB・・3.00》
B:緑と水(お堀)があり環境的にはすばらしい。
B:城下町らしい雰囲気が残っているが、公共的な施設に偏りすぎている。
B:かつての武家屋敷街を思わせる落ち着いた街。散歩に良さそう。
B:博物館や仁風閣、県民文化会館など個々に面白いものがあるが、地区としての印象が薄い。
B:普通のよくある県庁周辺の街なんですが、ハリボテのお城に大うけ!鳥取の人っておもしろい!


●わらべ館 《AAAAAABB・・4.50》
A:街のランドマークとしてとして重要な建物であるように思えた。愛された建物なんでしょうね。また、リメイク型+新築の保存・再生もめずらしい。
A:歴史的デザインを残しつつも新しい機能とデザインを取り入れたユニークな発想の保存。展示内容は大人でもハマル。
A:歴史的建築物の保存という点でも面白い。「おもちゃと童謡」の博物館という内容も面白い。
A:外でもゆっくりできるスペースがあるのが良かった。館内は体験スペースがもっとあればよいと感じた。
A:建物は都内にあってもよい設計だが、内部の内容はバツグンによくて楽しい。歌のコーナーで歌って帰りました。
A:中の展示もはまってしまうと楽しい。合っているかどうかはわからないが、かっこいい旧図書館とローマのサンタンジェロ城を模した建物を上手にくっつけたと思う。噴水の横の階段を上がって旧図書館のテラスに上がれるのは楽しい。隠れた鳥取市の展望台でした。
B:子供の遊びをテーマにしたユニークな博物館(?)。建物も不思議。
B:おもしろいんですが、遊び場として考えると、もう少し体験型を増やして、入館料もお安くして、SHOPも充実して欲しい。鳥取特有の遊びも紹介して欲しい。三世代対応にしているけど、子供をつれてくる親世代ぐらいにターゲットを絞っても良いのではないか。親が自分の子供時代を語れる場ぐらいが、無理なく今の子供も受け入れられると思う。


●中心商店街 《ABBBCCCC・・2.25》
A:一見特徴がなさそうな商店街のように思えたが、レトロあり、個性的なしつらえや昔ながらのお店ありと、とても楽しい。
B:商店街の面的広がりがある。駅から伸びる若桜街道には新しいセンスの店も多い。
B:店はあるが元気がない。
B:日曜日だから閉まっていたのか、普段も閉まっていたのかよくわからなかった。マンションの建設現場もあったので、いっそお店はあきらめてマンションにするのも人を集める手段では。
C:智頭街道、川端商店街は衰退し活気がなかったが、若桜街道に出るとぱっと明るい商店街に感激した。街道沿いのアールデコっぽい建物群は非常に気になった。(若桜街道はA)
C:若桜街道の駅周辺はそれなりにがんばっているが、それ以外はかなり落ち込んでいる。
C:商店街は通り毎に統一フラッグなどをつけていたので、目印になってよかった。歩道もちゃんと整備されていて、歩きやすい。ただ、その分インパクトに欠けるというか、みんな同じように見えたのも確かです。中心はどこだったのでしょうか。


■地方都市を歩いてどう思いましたか
●自然を感じながら魅力的な空間を歩けて楽しかった。
●倉吉や智頭などの街は、大都市にはない魅力があり観光化も可能だと思うが、単なる観光地にはしてほしくない。
●ここでも、中心街の決定的壊滅(誰も歩いておらず、シャッターを閉じた商店街)を再確認した。全国どこの都市でも、無惨な廃墟のような光景が現出している。ああ!
●様々な方法で活性化に取り組む姿勢が頼もしく、うまく行けば良いと思うが、鳥取に限らない、中心商店街の地盤沈下などは、目立つ場所だけにマイナスイメージが強い。
●どこも同じように変わっていくなかでも、意外なところで土地独特のものや習慣を目にしたりすると、とても新鮮。
●勢いはないが、文化はある。結婚式をホテルでやっていなかった(仏滅だった)、日を選ぶ余裕。あと、婚礼用せんべいという看板を見かけた。何か?と思ったら、家から娘を出す時近所の人に披露して、お世話になったお礼に配るのだそうだ。しめ縄も特有だった。生活習慣などから出てくる様々な形の文化があっていいなぁと思った。
●正直、鳥取駅前の街を見て、地方都市はどこも同じような顔をしているなぁと思いました。このような印象を与えること自体が問題ですね。でも、中心市街地に求められる要素はどこでも同じようなことだと思うので、自分らしさを出すのは至難の業なんだろうな。


■地方都市の中心市街地を活性化させるためには何が必要だと思いますか
●次世代の若い人々が自分の街をどの様にすれば楽しめるかを考え、活動することじゃないでしょうか。それに地元発信(独自)のまちづくりのアイデアだと思います。
●かつての商店街の繁栄を取り戻すことは難しいが、街の人たちが中心街に目をむけ、中心街の人たちがそれに応えることで、新しい展開が生まれると思う。
●ニーズが高度化し交通手段が発達した今日、普通の方法では、大都市や郊外部にとても対抗できない。視点(目先)を変えて、本物の文化と個性によって意外性のある独自の体験ができるような場となるべき。(この意味で、本格的な施設群と斬新なデザインを誇る倉吉パークスクエアと、白壁土蔵に水景が美しい伝統的旧市街の組み合わせに期待したい)
●郊外から車で来るのに便利で、かつ、域内はゆったりと歩けるような地域整備。
●ひとつは住む人が、これは素晴らしいと思える共通の拠り所でしょうか・・。
●都心に近い中心市街地と考え方を一緒にしないこと。街の方のものは、今も昔も“歩きベース”だけれど、地方の場合は、”歩きから車“に変わってしまった。この車とのつき合い方がネックかな。(棲み分けなのか、規模を変えたものにするのか。)
●車でアクセスできる郊外大型店に対抗するには、駐車場をつくって車でも行ける中心商店街にしたらよいのでは。駅に近い立地を生かしてマンションを建てて人を集める。
●まず、本当に中心市街地の活性化が必要なんだろうか。交通の便や施設の立地によって器として残る中心市街地は、無理に残しても付け焼刃のような気がします。中心市街地も人々の暮らしのあり方によって、位置が変わっていっても良いのではないかと思う今日この頃。でも、経済や人口を考えるとこんなこと言えませんね。


■その他、今回の企画に関する意見、感想等
●まちづくりを引っ張っている方々の生の声、さらにまちづくりの現場(ワークショップ)、街の保存再生に取り組んでいる方々(ボランティアガイド)等々、街を歩き語らう楽しいTEKUTEKUでした。
●鳥取は2回目ですが、今回はじっくり歩けました。倉吉では、6年前には無かったパークスクエアや赤瓦の出現に驚きましたし、特に、森さん、里見さんのご案内で、奥深くまで街を味わうことが出来ました。また、智頭への小さな半日旅行や、鳥取の三角公園ワークショップへの乱入、いつの間にか鳥取市街を全部歩かされるなど、とても多彩な企画でしたね。コーディネーターの努力に感謝し、次回の企画を楽しみにします!
●今回は、地元の方の案内のよろしきを得て、街の内部まで深く見ることができました。ありがとうございます。一方、鳥取市内はこちらの都合で雨中、一人で歩き回る羽目になりましたので、どれだけ深く見ることができたのか少々不安です。あと、土産に買った「へしこ」は大変美味でした。
●テーマの通り味わい深く、とても中身の濃い2日間でした。砂丘から始まった初めての鳥取でしたが、思いがけず「水」が印象に残った街歩きでした。
●今度は冬のかにの鳥取を味わいたいです。
●なんやかんやいっても鳥取はおもしろかったし、また行きたいと思いました。特に、砂丘登山は人生で一度は経験すべきものだと思います。
●コーディネーターから:倉吉は赤瓦までで終わるつもりでしたが、里見さんと森さんのおかげで、小川酒造周辺まで案内していただきました。また、二日目は県庁の澤田さんにも大変お世話になりました。みなさんありがとうございました。


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