自由研究17■所沢企画2002.7の記録


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テーマ●東京ハウジングコレクション(その2)−西北郊外・所沢編−

日 時●2002.7.7(日) 11:40〜17:10
コース●所沢駅西口+WALTZ〜プロぺ通り〜中心街再開発群(グラシスタワー+スカイライズタワー+コンセールタワー+フォーラスタワー)[昼食]〜所沢パークタウン+ミューズ〜航空公園駅−(西武新宿線)−新所沢駅〜新所沢第4団地(店舗併用住宅)+パルコ&レッツ〜プラザシティ新所沢第1(旧第1団地)〜プラザシティ新所沢第2(旧第3団地/IT住宅)〜新所沢第2団地〜ヴィルセゾン小手指(24時間サービス付き住宅)〜ハナミズキ通り西友+STARBUCKS[休憩]〜西武小手指ハイツ〜小手指駅−(西武池袋線)−武蔵藤沢駅〜入間東町団地(タウンハウス)
参加者●8名(事前調査含む)
◎安藤 文(小手指地区)+大竹 亮(所沢地区)+溝辺正浩(新所沢地区)、
小俣元美、寺崎昌徳、馬場義徳、山崎誠治、田中 登(事前調査参加)


[参加者の意見]

1◆所沢中心街再開発群(低層店舗+超高層タワー住棟/1995-2000)
(グラシスタワー+スカイライズタワー+コンセールタワー+フォーラスタワー)
●街を歩いていると商店街が自然に続いる感じを受けるし、一方、新所沢など遠くから見ると4棟のタワーが中心街のシンボルとなる。表の商店街から裏手の住宅地へ通り抜けられるのもいい。埋立地や工場跡地でなく、旧来の中心街でやったのがすごい。周囲の町家や蔵の街並みが消えて行くのは残念。
●低層部分において、公開空地の取り方、周辺の街並みへの配慮に様々な工夫がなされている。全てがうまくいっているわけではないが、超高層のイメージは随分よくなった。
●公開空地の取り方がそれぞれに工夫されていて、まちとの関係がある程度生まれていた。
●店舗スペースと空地のおかげで、周りの環境と違和感なく納まっているのは良いが、細部をよく見るとデザインに違和感が・・・。
●デザインの賛否は分かれると思うが、低層部の試みには応援したい。
●駅前再開発ではよく見かける手法であるが、中心市街地活性化を目指してこの様な施設(タワー)を次々に完成させた関係者の努力を評価したい。
●旧市街、商店街との連たんに工夫あり。規則の建前を尊重しつつ本音を引き出せるような街の造りには、一見の価値がある。あとは居住者や利用者がどのように街をつくっていくのかに鍵がある。今後の動きをみないことには結論は出せない。
●設計側と行政の折り合いというところでの努力は買うけれど、どうも営業としては辛そうに見えるところが多い。


2◆新所沢第4団地(駅前店舗併用住宅/1963)
●建替対象になっている、日曜で店が閉まっている点を割り引いても、随分寂れている。建替事業着手までの間の限定貸し等で、若くて元気なテナントを入れた方がよい。
●現状況はかなりひどいが、やりようによっては(日芸あたりを呼び込めば)タンデムロック?や下北あたりの不思議な店ができるかもしれない。地の利が悪いのは難点だけど。
●駅の目の前に広がる団地は異様。ショッピングセンターに至っては、木暮サーカスのような(古い!)。
●パルコ+レッツの横に建っているため、青いビニールシートをとの対比が面白い。まさに「時の忘れ物」であろう。しかし、この様な建築を「デザイン:A(面白い)」と評価してしまう自分に、今の日本の建築界(共同住宅)のレベルの低さを感じてしまった。
●隣のパルコ+レッツが洒落たガレリアのある地中海風デザインなので、古色蒼然とした様子が強調されているが、駅前通りに沿って長屋式や中庭式の店舗付住宅が対峙する当時の計画は評価したい。
●高度経済成長の時、人は手の届く範囲ではどんな家に住んでみたいかがよくわかる場所。そして現在の街づくりの水準との落差を見て次へのステップにするためにも、あのままいっそのこと「住のテーマパーク」にしてしまうというのも手ではないか。新横浜のラーメン博物館のように。
●これからに期待。


3◆プラザシティ新所沢第2(IT+生活提案住宅/1996-2002)
●公共住宅にふさわしい品のある控えめなデザインに好感が持てる。住戸内部も、小窓の配置や部屋のコーナーが工夫され、質が高い。第1団地と違って駐車場が目立たず、広場や緑が多いのもいい。
●通りに面して特に街並みを意識した作りになっていないが、戸建て住宅側の高さを抑えた住棟配置と中庭部分が良い。
●無難な建て方ではあるが、細かいところに工夫が多く(ロフト、ハイサッシ、台所の細長い出窓、ベランダの風よけ)、「ああ、考えられているな」と思わせるには十分。
●単なる建替えとしてではなく、ITを導入した雁行中層住宅として、高く評価したい。また、駐車場をうまくレイアウトして、目立たなく処理していることに感心する。(アンケートに、(東京)都・県のチェック欄はあるのに、府(大阪、京都)の欄がなく、都市公団の営業姿勢に問題を感じました。)
●建替え団地の見本のようなものとなるでしょうか?
●建物の内部は、今の集合住宅の水準からすれば「普通」の様な気がする。
●お客様向けに努力した新しめの住まい方の(スタイル)部屋が多いのは良い。


4◆ヴィルセゾン小手指(24時間サービス付き住宅/1984)
●周辺に対しては閉じているが、敷地内部の成熟した環境はすばらしい。自宅で過ごす時のことを考えると何よりも替えがたい環境だと思う。
●とりたててひどく目立つデザインでもないのに、妙に落ち着いた品があるのが不思議。
●住棟自体は地味目だが、隣の樹木うっそうとした公園や駅前ハナミズキ通りの活気と組み合わせて考えると魅力的。並木道に沿って西友に増築で付加したスターバックスの雰囲気づくりは上手い!
●小手指周辺が発展してきて、そのつながりを考えると住みやすいと思う。
●高層らしさを感じさせない何かがありそう。
●良くも悪くもセゾン文化。プリンスホテルに住む感覚?
●これが「あの、至れり尽せりサービス付き住宅」かと勘違いしてしまうほど、歳月は建築を廻りの環境を変えてしまった。それとも我々の目が肥えただけなのだろうか?


5◆西武小手指ハイツ(駅前中高層住宅地/1977-現在)
●低層部に店舗を積極的に取り入れ、駅前の賑わいを作り出している。郊外における都市型居住といえる。
●商店街を入れたマンション群で、駅前を計画的に街づくりしている。初期の高層板状住棟は樹木も少なく魅力に乏しいが、最新の住棟群(落ち着いた低層住棟と駅前の高層タワー)は持ち味を活かしている。
●公団よりちょっとカッコイイ感じが、できた当時はあった。ほとんど終点の駅に団地がずらっと並び市民プールがあるくらいで後は何もなかったので圧迫感があって、長いこと怖い所だと思っていた。
●駅の前に住宅を造る、という問いに対する、ややチープな回答。それなりの工夫がある(玄関脇の坪庭)けど、だからどう?という感じ。
●駅の反対側のヴィルセゾンとは好対照で、おしゃれな感じがしない。
●緑が少ない感じ。
●大規模・長期スパンな団地なので、計画の陳腐化もあるのではないだろうか。
●歩道が無く、周辺の歩行者に対しての配慮が成されていない。ひとつの時代を感じさせるデザインであり、住棟プランが良ければもう少し高い評価が出来ると思う。


6◆入間東町団地(郊外タウンハウス/1979)
●武蔵野郊外の雑木林の中にひっそりとたたずむ団地である。10戸程度が中庭通路を囲む親密さがうれしい。(以前は駅から徒歩15分くらい平気だったが、最近の感覚では遠くなってしまった)
●昨今の小規模集合住宅の原形のような感じ。低層、庭付き、縦に分割。(環境は別にして、これが一番いいと思った。)
●年月を経て豊かになった外部空間、独立性と親密なコミュニティを同時に感じられる配置等がすばらしいと思うが、何せ駅からが不便。
●ただでさえ遠いと思う所だというのに、さらに駅から歩く。いくら住宅の設計がよく見えても、少々つらい。
●立地さえ良ければ高資産なのだろう。
●低層住宅としての開発はまあああいうもんだろうなと思うけど、年月と共にコミュニティの年齢層も高くなってくると、庭などの維持に労力が割けなくなり、寂しさを醸し出してしまうのだろう。


【評価集計結果】
対象 評価 内訳*S*K*D*R
JK1701所沢中心街再開発群(超高層タワー) 3.25AABBBBBC2.753.252.00☆3.75
JK1702新所沢第4団地(店舗併存住宅)2.14ABBCCDD-1.571.571.57○3.00
JK1703プラザシティ新所沢第2(IT住宅)3.00AABBBCC-○3.29☆4.43○3.002.14
JK1704ヴィルセゾン小手指(サービス付住宅)3.57AABBBBB-○3.57○4.14○3.00○3.29
JK1705西武小手指ハイツ(駅前中高層住宅地)2.14BBBBCCC-2.432.432.432.71
JK1706入間東町団地(タウンハウス)3.00AABBCC-- ☆3.67○4.00☆3.671.00
 *S:周辺地域との関係、*K:住宅地内の環境、*D:デザイン、*R:生活利便性


■あなたは、所沢に住みたいと思いますか?
思う!▲都心に近い。駅前の賑わいと少し離れた所の静けさ等のメリハリがある。
思う!▲新所沢(南口)や小手指(北口)は、典型的な私鉄沿線郊外住宅地の活気に満ちあふれている。
思う!▲通勤もそれほど苦にならなそうだから。
思わない▼半端すぎる。田園都市とも違い、都市ともつかない。
思わない▼東京の下町の方が、生活感があり住みやすいと思う。
思わない▼街には特長があるものだが、所沢にはそれがあまり感じられないので、住んで面白くないような気がする。
思わない▼数駅上れば東京に入れる。金額的には所沢も東村山も大して変わらない。
その他?*物件次第でしょう。


■所沢に住むとしたら、今回の住宅のうち、どこに住みたいですか?
中心街の超高層タワー群★あえて言うと利便性。
中心街の超高層タワー群★街の中で居住する、しかも高い場所で。鬱屈した差別意識を堂々と吐露してみるのも面白いかな。グラスを片手に「ふ、愚民どもめ」などとつぶやくのは2〜3度やってみたい。それだけかも知れないが。
ヴィルセゾン小手指★郊外居住の落ち着き、サービス付の利便性、駅前の賑わいが享受できそう。
ヴィルセゾン小手指★敷地内部の静かな環境と、少し離れた利便性の高い施設の両方がある。
プラザシティ新所沢第2★間取りがまずまずで緑がある。
入間東町団地★集合住宅なのだが、一戸建て感覚で住める「ぜいたく」な造り。立地は別にしてだが。
新所沢第4団地★ここに住めば、失っていく切なさを体感できると思う。


■居住地を選択する場合に、何をもっとも重視したいですか?
駅前の生活利便性の高さと住宅敷地内の静かさのバランス●職場とは別の生活エリアの入口である駅前には賑やかさと利便性を、中心となる住宅周辺には落ち着きの両方を欲しい。2つのバランスが良ければ駅から少々離れていてもよい。
町の雰囲気と水●閑静な住宅地でもヒステリックなのはいやです。それより人の空気が良ければ、小さくてもいい所が見つけられれば住める。
洗練された猥雑性(空間構成の原理)●計画された街でも昔ながらの町でも、空間構成の原理(計画理念や見えない作法)に共鳴できる場所で生活したい。洗練された都市デザインと適度な猥雑性が共存するような街に。もちろん、その理念(作法)を居住者が共有するコミュニティがあることが大切。
周辺の環境●住んでいて何か発見があるような特長のある街にすむのが理想です。どこかのコピーのような街はいただけません。
利便性●怠惰のなせる技(もしそうでなければ、自分の部屋もオフィスもこんなに収拾つかなくはならなかったはず)。
生活利便性●日々の生活に大きく影響します。
設計者●(理由は)答えられません。


■今回の企画について自由に!
●タクシー乗り場しかない所沢から、すごい変貌だと思います。速いスピードで、よくこんなに大きな町になったものだと思います。雑木林だらけの所で夏休みに遊びに行く所と思っていましたから、びっくり。(A.And-)
●所沢には以前よく行っていたが、仕事がらみでしかも自活体験がなかった。そのためか以前とは違う、かなり新鮮な印象を受けた。この企画で改めて自分が住みたい街の好みを考えさせられた。(M.Miz-)
●仕事柄、集合住宅には興味があるのですが、色々な物をまとめて見れたので面白かったです。しかし暑かった。(M.Ter-)
●今回はかなりへばりました。(M.Oma-)
●また機会があれば、是非参加させていただきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。(Y.Bab-)
●こういう形で集団でまち歩きというのは楽しいものだし、そこここで解説を聞きながら歩くというのは新しいレジャーになりうるのではないかという気もしてくる。不動産業界団体では、1〜2年に1度「親睦旅行」なるものをやっているが、ただ観光地を巡って酒を飲むだけでは絶対つまらないので、今度このようなまちあるきを組み込んだ旅行などやれたら面白いだろうなと思う。今後もこのような取り組みに参加を希望したい(S.Yam-)。
●集合住宅群を巡る道々に、デッキが走る駅前の「WALTZ」、若者で賑わう「プロペ通り」、町家を活用したNPO拠点「はあとネット輪っふる」、超高層の足元に朽ち果てそうな「土蔵」、商店街を内蔵した「パークタウン所沢団地」、ポストモダン建築の文化施設「ミューズ」、地中海建築のような「新所沢パルコ+レッツ」、一面駐車場だらけの「プラザシティ新所沢第1」、建替え寸前にひっそり残るテラスハウス「新所沢第2団地」、ハナミズキ通りの西友(RC)に軽快(木造?)に増築した「スターバックス小手指店」、そして踏切脇の忘れられた住宅群(安藤さんの秘密の場所?)・・・などをあわせて見物できました。なかでも、ちょっとのぞいたミューズの小ホールで、折からのピアノ発表会の練習でしょうか、少女の弾くベートーヴェンのテンペスト・ソナタの力強い響きには感銘しました。(R.Ota-)
●大竹さんの術中にはまってしまったような企画であり、是非とも参加したかったのですが申し訳ありません。本当のことを言えば、公団の対応が良ければ、「プラザシティ新所沢第2」に住んでみたいと思いました。色々とありがとうございました。(N.Tan-)


■コーディネイターより
●所沢ハウジング企画は、以前から温めていたのですが、今回ようやく実施できました。都市が成長し、人口が増え、地価が上がり、街も賑わうということが当然であった時代に創られた郊外の住宅群は、今後の都市縮小の時代を迎えて、どうなっていくのでしょうか。中心街の超高層タワー群は、地価下落で今後の事業成立が困難になりつつあるようですが、公団プラザシティ第2とヴィルセゾン小手指は、ひとつの答えを出しているように思いました。次回は、東久留米+清瀬ハウジング企画をやりたいと思いますので、ぜひ来てくださいね!(R.Ota-)

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