まちづくり企画8・自由研究18■岐阜企画2002.9の記録


teku-tekuまちづくり企画8・自由研究18


まちづくり企画8◆羽島市南部地区+竹鼻中心市街地
テーマ●輪中のまち・羽島の風土と伝統を感じとり、今後を考える
日 時●2002.9.21(土) 10:50〜18:00
コース●岐阜羽島駅〜ワークショップ岐阜羽島〜県立看護大学〜中観音堂+円空資料館−(昼食休憩・バス)−羽島市庁舎〜中心市街地の街並み(商店街+千代菊酒造+映画資料館+菱田邸ほか)〜羽島文化センター(意見交換)〜ターミナルホテル羽島フォロロマーノ

自由研究18◆岐阜県西部/北方町+大垣市+養老町
テーマ●未来カレッジ・岐阜の野心的試みを体験し、成果を検証する
日 時●2002.9.22(日) 9:00〜17:00
コース●新羽島駅−(名鉄線)−県営住宅ハイタウン北方−(樽見鉄道)−ソフトピア・ジャパン大垣−(バス・昼食休憩)−大垣市・守屋多々志美術館−(近鉄線)−岐阜県立・養老天命反転地
参加者●19名
◎大竹 亮、安藤 文、石橋理奈、井手幸人、鎌原史英、栗原 徹、桜井香織、田中 登、田野裕美、千川 明、恒川磯雄、藤井正男、溝辺正浩、森本章代、山中洋子(以上2日間参加)、岩野元亜、杉谷知子(以上1日目のみ参加)、鈴木真生、原 久子(以上2日目のみ参加)
地元協力者●8名(敬称略)
    坂倉吉則、桐井康次、山北千富、浅野誠司、柴田武治、青木政博、村山洋志、伏屋哲昌


[参加者の意見]
 ◆輪中のまち・羽島の今後を考える       
1■羽島のまち全体

●見渡す限り一面の田園風景、歴史の香りが残る中心市街地、そして新幹線駅周辺の未来志向、それぞれの素材は本格派である。地域のコミュニティも濃厚であり、今後のまちづくりに期待したい。
●これまで新幹線の岐阜羽島駅周辺のイメージしかなく、何も無い街かと思っていたが、中心市街地は歴史的街並みも残っていて趣きがある。新幹線駅周辺は用途やデザインの混乱が見られ、都市計画の限界を強く感じた。
●古い町並み、地場産業、田園風景と何でも揃っていてうらやましい。しかし、産業の衰退はどこにでもある問題ながら、残念。
●観光地化されていない、昔ながらの生活感のある街。見ごたえがあり、とても興味深い街であったが、一人では歩きにくそう。
●新旧入り交じり、全体として面白い雰囲気。新しい部分の印象がばらけているのが残念。
●地形や歴史がまちと人に深くかかわっていると改めて感じた.
●色々な顔を持ったまちだということがわかった。
●あまり変化してほしくない。
●中心商店街の活性化が課題。広域インフラとの結節点であることを、もっと活かせないものか。
●旧中心部を積極的に活かすことなく、周辺にバラバラとハコモノを建設しているのは疑問。しかも新幹線の駅前に施設を集中させるでもなし・・・。
●ポイントがない。高速道路、新幹線を降りる理由が見あたらない(酒はポイントが高かったが)。
●今回出会った人は羽島の街を活気づけようと意欲的な人ばかりだが、市民全体はどうなのだろう。このような都心でもなくカントリーサイドでもなく観光地でもないまちには、刺激はあまりなく、都会的にしようとも観光地にしようとも中途半端になってしまいそう・・・。しかし、昼食を取った店の盛況ぶりには驚いた。「輪中根性」と言う言葉は、気に入った。
●古き良き物と、新しい割に見劣りする物とが混在している。日本全国の街で同じような傾向が起こっているため、羽島だけでの評価は難しい。羽島の、今後の方向性、施策に期待したい。
●古いものの中に新しいものが点在する風景は、まだ少々寂しいが、地元の人がその気になればすごいエネルギーをもっているのではと感じた。なんとなく建替え時期に来ている良い家のようだ。


2■ワークショップ岐阜羽島(2002)
●新幹線駅前オフィス街の空きビルを活用して、ITベンチャー企業の育成工房をうまく開設している。ここからの成功が次の起業家を呼び、駅前一帯が活性化することを期待したい。
●空きオフィスを活用して、 やる気のある人を支援するという発想はなかなかいい。
●このような施設に最初から巨費を投じず、既存のビルを利用して始めるのはいいやり方。いずれ手狭になって拡張する時に同じように既存のビルを利用し、うまくつなげていけば今度は街が面白くなる。
●新たに「ハコモノ」を造るのではなく、空き店舗の活用と駅前中心市街地の活性化に向けての動きがある点がすばらしい。
●空きビルを新産業に活用することは効率的で良い。行政は地道にサポートすることが必要。
●空きビルを利用した新規事業のバックアップという試みはとても面白い。田舎では廃校になった木造校舎を同じような試みで賃借しているが、それに比べると羽島は立地的には最高の条件にある。
●空き店舗がうまく活用されて良い。
●空き事務所活用の良い例。地道な活動ではあるが、地域の中でこういうものが相互に連携しあって、人のつながりを築くのも地方都市の活性化の方法ではないか。
●懐かしい東京下町の印刷所なんかがある場所のような感じ。この施設が本格的に機能すると街には良い。
●数年後にどのような場になっているかが楽しみ。
●駅前立地の活用は大いに評価。ただし、あまり目立たない感じ。
●周辺の閑散とした感じと対照的。ここでの活動が新しい活気を呼べるといい。
●駅南側一帯にもっと広がって、ベンチャー街の活気が生まれると良い。
●これからの新しい羽島を担う企業が、多く育つことを期待する。


3■岐阜県立看護大学(2000/by坂倉建築)
●新幹線駅から歩ける場所に広々したキャンパスを開設しており、シンボリックな高層棟(研究棟)と囲み型の低層棟(講義・本部棟)が心地よい広場を創り出している。学園祭での健康展、商店街イベントへの参加など地元に溶け込んだ活動も多く、地域密着型のカレッジである。
●未来カレッジに向けての動きを感じさせてくれる建築である。だだっ広い田園の中に、囲み型の舞台を設けたコンセプトは評価できる。
●田園風景が広がる中で、中庭を設けたり高層棟の足元を抜いて、うまくキャンパス空間を創っている。
●田圃の中に突然という感じがするものの、中庭にいい囲みができて、キャンパスとしても落ち着いた雰囲気がある。
●何もない田圃の中だからこそ成り立つもので、かつ周りが田畑なのを考えて造っている。空間がとても良い。
●遠目で見ると唐突だが、近くで見るとオープンなキャンパスで好感が持てる。
●中庭にある仕切りが面白い。
●ヒューマンスケールでは親しみが持てるが、ランドマークとしては冷たい印象を受けるのがとても残念。
●ランドマークとしてはすぐれているが、田園と調和した暖かさがあるともっといい。
●田圃の中にど〜んと建っているのでインパクトがあるが、今の学校としては普通かなぁ。中庭広場は晴れた日に気持ちよさそうだし、少しですがハーブを植栽しているのは看護っぽくて良かったが、管理の良くない点が目についた。
●デザインはプロポーション良く、すっきりとして好感が持てる。ただし、外部との関係がまだ見えておらず、この地区の最初のプロジェクトとしての意味合いが薄く感じる。
●研究棟、中央の広場が印象的、勉強するには最高の空間。が、あえて通いたくはない・・・かも。
●私はここで学生生活を送る気にはとてもなれない。つるつるすぎる。幽霊もいなさそう。
●アクセスが悪い。駅から近い所を活用すべき。窓の少ない建物、レモン色の建物なども学校としては疑問。
●デザインとしてはもう一歩だが、空間のつくり方は悪くない。しかし、そもそもこんな所に大学をつくるという発想に問題がある。
●建物は非常に良いが、一つだけ学校が来るのは実は淋しい。できたら2、3校ある方が賑やかで良い。


4■中観音堂+円空資料館
●地元市民で運営する小さな施設だが、間近に円空の作品を見ることができ、手作りながら気持ちの込められた展示内容からは、12万体の仏像を木彫りした円空上人の生涯がひしと伝わってくる。
●手を伸ばせば届く距離で円空の作品を感じることができた。やはり本物は鬼気迫る迫力があり、レプリカとは全く違うことを実感できる。
●木彫りの仏様を間近に見ることができて、円空の主張を受け継いでいるように思われた。
●円空のことは全然知らず、こういう生き方をした人がいたことに驚いた。POPな生き方に思える。
●規模は小さいが地域に根ざした施設として高く評価できる。こういう活動をもっと市がうまく支援するといいのでは。
●円空仏の素朴な感じが良い。市民で運営されているのもその魅力の一つと思うが、行政なり何かサポート体制があれば何かできそう。
●小規模だが、市内の円空仏の分布図があるなど、館内で完結せず地域とのつながりがあるのが面白い。
●地域の方々のがんばりがすばらしい。その気持ちが街を良くすると思う。
●この資料館を管理されている方の暖かみを感じた。
●このような施設を自治会が運営しているということに好感が持てる。
●仏像の解説が詳しくされてよくわかった。
●円空の彫刻は良いが、展示方法はもう少し力を入れた方が良い。
●俗化していなくて良い。
●長く歩いて疲れた後、あのおだやかな仏さんの顔を見ると言葉をなくしてしまう。
●地味〜なところが良かった。資料館の一番目立つ展示が複製なのは残念。でも昔、近所の子供が円空の作品で遊んでいたと正直に説明するのは、ほほえましくておかしかった(円空さんは身近にいたんだ)。


5■羽島市庁舎(1959/by坂倉準三)
●水を活かした外部空間やフレキシビリティの高い内部空間など、非常に良くできた建築。周辺の庁舎や駐車場も含めて、もう少し一体性のある空間ができるといい。
●中心市街地の一角で、往年の名建築を永く使いつづけている。一見すると普通の建物だが、2階からのアプローチ、周囲の池、内部のシンプルな動線と空間の自由度など、非常に良く考えられている。
●コルビジェから坂倉準三に引き継がれたものが、見事に結実している。当時の建築としては、さぞかし前衛的であったに違いない。今でもこの空間は古さを感じさせない。
●入口の気持ちの良い吹き抜けや、中が可動型の点が使いやすそうだと感心した。壁をガラスにして中廊下まで採光ができるのも良い。竣工当時から車椅子用のスロープが完備されていたのも○。
●コンクリート造でありながら、軽やかさを感じさせる建物である。
●水面にすっと立ち上がったような姿が美しい。元も良いが、大事に使われてきた様子が伺える。
●周囲の堀、内部の木部、広い空間などデザインよく機能的。ただ、周囲のタコ足庁舎は調和なく雑然。
●水が施設を取り巻いているのは大変よい。機能的にも良い感じ。ただ昔の配置と異なっているのか、現在の施設としては外構(駐車場等)などがうまくつながっていないように思う。
●すでに40年を経過しているとは思えない。メンテナンスの良さを高く評価したい。
●小さく、古い建物ながら、非常にきれい。建て替えずに、周辺の建物の使用で対応しているのはすばらしいと思う。
●古くなっても大切に使っている。元が良い建物なのもあるだろうが、役所独特の匂いがする。
●職員の方のお話から、建物に誇りを持って大事にしている思いが感じられる。内部が予想以上に明るく、古さを感じさせないので驚いた。
●内部が思いの外に明るく感じられたが、訪問者には少しわかりにくそうな造りに思える。
●小さい頃から見ていた普通の市役所という感じ。
●エレベータを付けてくれたらいいのだが。
●安易に建て替えないで、使い倒してほしい。


6■竹鼻中心市街地
●伝統的な町家がかなり残る街並みであり、素材としては非常にいいものがある。非常に長い中心商店街はかつての羽島の繁栄を想起させるが、今は活気がない。
●格子戸の家並み、長く伸びた商店街、迷路のような狭い裏道・・・に、老舗の酒蔵、美濃縞の伝統工房、ユニークな映画資料館、風格ある寺社などの魅力的な施設が点在している。一見地味なようだが、なかなか面白い街ではないだろうか。
●情緒の残る建物をていねいに手入れして使っている。住民の方々はステキです。
●古き良き物の中に、新しい割に見劣りする物が混在している。これからの方向性が気になる街である。
●初めて見る屋根神様や街並みの雰囲気はとても良い。しかし、やはり頑張っている所が限られているので、そのギャップが寂しい。
●様々なストックがあるように思うが、さびれている。主な交通手段が自家用車になっている現状では、人を集めて活性化するのは難しい。
●衰退が目に見え、痛ましい。にぎわいがない。古い建物は味わいあるが・・・。
●愁いを感じる建物が多いが、まちに活気がない。
●いいものがたくさんあるのに、活気があまり感じられなかった。
●土曜日なのにお店が開いてなくて寂しいと思う。すぐにどうこうできないだろうが、若い人がお店を出せるようにするとか、対策はあると思う。
●活気の失われつつある商店街。ただし、活かせるストックはいくつかあり、それらを徹底的に活かして、質が高く、まちの核となる場所をつくるべきと思う。特に千代菊酒造、井三商店、菱田邸の界隈は、ストックも残されており、質の高い歩行者空間(路地等)のネットワークをつくり、また店舗も人が集まる仕掛けをつくれれば、可能性があるのでは?
●地方都市で、依然として機能している商店街は珍しいと思う(私の家の近く(知多半島周辺)では、以前からあった駅前商店街(東海市大田川地区、横須賀地区)は、付近に進出した郊外型大型店舗の影響で開いている店舗が珍しい状態になっている)。また、コンビニエンスストアなどの店舗がなく、昔ながらの商店が多いことからも、他の都市と比べると商店街の人々の熱意を感じる。
●商店街が半分ぐらいしか活用されていないので、やはり活気も半分って感じだった。道路の路面は統一舗装されているのに、上物がバラバラなのは残念。看板だらけの所もあれば、なんのお店か分からない所も・・・。また、衣料品店が多いのも繊維の街らしく、掘り出し物がないかと心が動いた。後継ぎがいないなどの事情はあると思うが、そろそろ次の手を考えないと商店街自身が次の時代には無くなりそう(それとも商店街にこだわらなくてもいいのかな)。山車の出るお祭は見てみたい。
●商店街が好きなので、一番楽しめたかな。


▼竹鼻中心市街地で魅力的なもの
★★★★★★★★★★★★千代菊酒造:ここの存在は大きい。街並みへの寄与と、街の名産としての誇りや期待が強く感じられる。/賑やかな時の街の雰囲気と品が建物に残っている。/町家の底力を感じさせるような奥深い空間が魅力的。/歴史を感じさせる重厚な建物もいいが、有機栽培米を使った酒造りなどの取り組みもすばらしい。建物の質の高さとお酒が味わえるのが良い。/歴史ある酒蔵のイメージ通りの建物。何よりお美味しいお酒。/美味しい酒を造り続ける姿勢に感心。/こだわりを持って商品を作り、商売をすれば生き残れるものだ。/丁寧に説明を受けながらお酒の製造過程を見ることはめったにない。/文化があっておいしかった。/ごちそうさまでした。
★★★★★★★屋根神様:風土と文化がきちんとした上に成り立っている。/屋根の上に祀られた神様は初めて。/屋根に祠が乗っているのが印象的。/初めて見たが、他の都市にもあるのか?/スチールサッシで覆われたり、神棚まで階段がついたり、様々なバリエーションを見つけた。/その街それぞれの方法で残しているのが良い。/もっと町内のシンボルとしてアピールしてもいい。
★★★★★旧菱田邸(美濃縞機織工房):伝統工芸の継承と旧家の活用という組合わせはいいアイデアであり、できた織物もとても魅力的。/街並みを形成する格子戸の旧家を利用してオリジナルの機織工程を復元している活動は魅力的。外来者も建物と機織を同時に楽しめる。/美濃縞の機織りを初めて見た。/町家を利用し、工程を一から見学できる。新しい試みとして、街に残る古布を活用するのはどうか。/市民の中から地元の伝統を受け継ごうという活動が広がることを期待。
★★★★★格子戸の残る街並み:歴史を感じさせ、雰囲気がある(竹鼻別院も見たかった)。/比較的新しい町家・長屋が多いが、かなり連続して残っており、ひっそりした街並みを楽しむことができる。/地元の人はあまり意識してないと思うが、大変な財産だと思う。/手入れも行き届いて良く保存されている。建物の維持管理にボランティア参加することで、住まい手の負担を軽くし、周りの意識を高めるようなやり方はないだろうか。/手入れが良い。/しっかり維持、保守管理を。
★★輪中と古いたたずまい:まちの一部に輪中の石垣などが点在し、この場所らしさを感じさせる。
★★蓮田の風景:街なかに蓮田があるので驚いた。労働は過酷だけれど、名産として売っているレンコンだけでなく、圧倒的な蓮花の風景は街の特徴になるのではないか(文化センターからつながる道の真正面に見える竹鼻別院の屋根が印象的で、蓮に囲まれた風景を彷彿とさせた)。/蓮と寺、極楽。風土・環境によって蓮が育ちやすい場所でその中に寺があると雰囲気は極楽っぽくていい。
★★商店街の看板:全体としてはバラバラだけど、グッと心に残る絵看板や凝ったロゴののぼりが結構ある。ここに往時の映画・劇場のまちの名残りを感じる。/「ニュー古都」(喫茶店の看板)は、狙ってつけたのではない感じのところが味。
★★古い商店:大正ロマンのお菓子屋など雰囲気のあるお店が並んでいる。/何とかこのまま再活性化させたい。
★竹鼻小学校横の駄菓子屋:子供達の笑顔とアイスキャンデーに一時の安らぎを感じる。
★多くのうだつ:火災が多かった街をアピールするには持ってこい。
★中心市街地の寺社:非常に大規模な建築物が多かった。多くの天災に苦しんできた経緯から、信仰が篤い土地柄なのか(それにしては宗派が入り乱れていたが)。
★川(水路)があること:まち作りに活かせないか。
★羽島市庁舎:40数年前の評価が今も生き続けている。
★円空さんっぽい案内板:円空さんを知らないとちょっと不気味だが、なかなか他ではできない地元自慢の方法。一般の人が楽しく作ってそれを利用しているのを聞いて、羽島の暖かさを感じた。
★地元の人が当たり前と思っているもの:新興住宅地にしか住んだことのない外来者にとって、店あり娯楽あり寺あり路地あり伝統あり蓮ありの竹鼻は、来てみたら結構面白い所。私にはエコミュージアムに挙がっている建物よりも、普通の商店の店先や通りの風景の方が魅力的だった。


▼竹鼻中心市街地の魅力づくりにはどうしたらいいか?
●今ある良質なストックを活かして、中心と言える質の高い界隈をつくることと、もっと人が遊びに来れる場所を提供すること。「竹鼻でお酒を飲むのはちょっとお洒落」みたいにできると良いのでは。
●昔の雰囲気の町家が多く残っているので、イメージをPRする。地元の方や観光客が買いたくなるような商品を街にちりばめる。休める喫茶店、一杯やって帰れる居酒屋などを町家を改修して創る。
●「美濃竹鼻エコミュージアム」というのがわかりにくい。頑張っている商店などを○×ミュージアムとして認定して、マップにも明記するなど「街ごと博物館」を目に見えるものにしてはどうか。頑張っている所は励みになって、そうでない所もやってみたくなるような仕組みづくり。
●外からも人を呼べる素材はあるのに、それらが点在している印象がある。それら点を結ぶ線のようなモノ(見どころを示す看板、色分け等した分りやすい散策ルート、休憩スペース)があれば良いなと思う。
●少し骨格がぼやけてきているようなので、コアになりそうな店を掘り起こして少しずつつなげてみる。
●商業的な活性化はあまり考えない方がいい。住んでいる人にとって本当に満足できる街を目指すことと、千代菊酒造や菱田邸などのように魅力的なポイントを1つずつ増やしていくことが重要。
●街を歩きながら、老舗に入れば奥で様々な体験ができる。
●今でも充分魅力的だとは思うが、あえて言うならば、割と広く、かつ道幅の狭い街なので、変わった移動手段の提供をするのはどうだろうか(「電動スクーター」「Qカー」の貸し出しとか)。
●全国でなく、周辺都市にアピールしてみたら? あまり観光地化すると、せっかくの良さが損なわれてしまいそうなので・・・(川越のようになってはいけない!)。
●普段は観光で生きる街ではないので、公共施設や住宅を中心部に造って、とにかくすぐ近くに「人」を増やすこと。他方で、月並みだが、駐車場のあるキーテナントも設けること。
●県立看護大学のような若い人が集まる施設を分散(機能分離)して、竹鼻中心市街地に作れば、活気がある街になると思う。維持管理のしにくさと引き換えに、街の魅力づくりに貢献できるはずだ。
●正直に言うと、結構難しく感じる。映画資料館をもう少し個性的なものにするなどの小さい考え方と、輪中ということをもっと前面に押し出して街づくりをしていくという大きな考え方くらいかなあ(この街出身の小説家か有名人がいればいいのにね。輪中の人々という状況は結構面白く描けるもののはず)。
●月並みだが、市民がまず自分の住む街に誇りを持つこと。地域の財産を十二分に活用するにはどうしたらよいか、市民同士で考えることから始めてみてはどうだろうか。といっても、そこで壁にぶち当たっているようにも思えるが、そこで行政がうまく市民をファシリテートできれば良いので、そのためには「熱心な(バカになる)職員」が必要。
●まず、魅力を感じさせたい対象が誰なのかをはっきりさせることではないだろうか。私は現地でなんとなく輪中の心を感じたので、地元対象が一番楽に対応できると思う。転入者や地元企業を取り込んだ新しい輪中で、徹底的に地元のみで。しかし、その気になれば文化センターや高速道路、ウォータースポーツ利用者を引き込むこともできるのではないかと思う。
●魅力的な資源がたくさんあるが埋もれているので、まずこれを発掘し磨きをかけ、うまく発信(表現)する。次に、人出が多いイベント時を活用し、中心街の隠れた魅力、商店の心意気を多くの市民に知ってもらい、楽しんでもらう。さらに、最近盛んな鉄道会社と組んだウォーキング企画で、名古屋など近隣都市から人を呼ぶ。こうして魅力が集積すれば、交通条件はいいので、最終的には観光客の誘致が期待できよう。


7■羽島文化センター(1998/by大建設計)
●音響効果の良い大ホールから小さな研修室まで、様々な市民活動の場を提供している。外観デザインは少し大げさだが、前面の公園、横の図書館と一体となって文化ゾーンを形成しつつある。
●研修室等の使い勝手が良さそうで、実際良く利用されているようだ。
●がわは派手だが、市民の方々に親しまれている施設だ。
●こういう綺麗な文化センターは、これはこれで好きだ。前の公園での月見大会はいい感じだった。
●全国レベルの施設であることは確か。イベントによっては近県から人が集められるかもしれない。
●街に比べてゴージャスでびっくりした。だからこそ、どのようにどの程度使いこなしているか。
●すごい立派なものをつくったな〜と感心。もう少し中心市街地に近ければ良かった。
●中心街から離れているのが残念。
●建物前の公園と一体化してイベントができそう。道を挟んでいるのが残念。
●公園と一体で利用できるところが良い。外観には街並みとの違和感をおぼえる。
●東郷青児の絵があるホールの出来はなかなかだが、外観の様式には「何だこれは?」と思ってしまう。
●デザインの質が高い。ただ、この場所らしいかというと疑問が残る。
●どこにでもある公共施設であり、外観の趣味が良くない。
●典型的ハコモノ。市民会館があるのに二重投資。旧市街からちょっと離れる。金かけすぎ、デザイン俗悪。
●市民が文化に身近に接することができる施設だと思う。でも、あれだけのものを維持し借金を返していくことは、羽島市にとって重荷になってるのでは?


8■ターミナルホテル羽島フォロロマーノ(2002)
●道路に沿った回廊と存在感のあるチャペルが品格ある沿道景観を創り出し、内側には落ち着いた中庭を囲んでいる。夜はライトアップが美しく、ヨーロッパの都市構成原理に忠実な本格派建築である。
●道路に沿っている外観デザインは、様式が統一されており秀逸である。
●角地を利用して、教会の回廊を模した壁で入口を囲ったのは、演出として面白い。
●足元のイタリアの広場のつくりは良い。
●遠景はまさに中世ヨーロッパの佇まい。
●低層部の増築だけで相当、周りの雰囲気を変えただろう!
●道路に面して回廊をつくり中庭空間を生み出しているのはいいが、元の建物とデザインが調和していない。
●イタリア風で素敵ですが、周りと調和が取れてない気がする。
●きれいだが、周囲との調和に欠ける。
●チャペルとホテルの建物が調和しない。
●入口のローマ風回廊・・・。どうしよう・・・。
●一目で分かる。
●ホテルとしては平均的。
●やはり一都市にひとつはおしゃれ?な結婚式(とは限らないが)ができる施設が必要。あの気合いが入っている教会の中が見てみたかった。


▼羽島は今後、どのような街になっていけばいいか?-------------------------------------
●中心市街地が活気があり、都市機能・諸公共施設(学校(大学も)、図書館、公民館、医療機関など)がコンパクトに集まり(子供や高齢者が歩いて用が足せる)、古い家並みが残る、周辺は純農村(=画然とした土地利用区分)、そんな街。
●歴史と賑わいのある中心市街地、一面に広がる田園地帯、未来カレッジの一翼を担う新幹線駅周辺という3要素が、混在せずにそれぞれ徹底的に持ち味を追求し、その魅力を存分に発揮してほしい。
●古い建物がこんなに多く残っているとは知らなかった。こうした資産を活用すれば、温泉等に来られた方々も必ずまちなかを歩いて帰るようになるのではないだろう?
●今まであまり知らない街だったが、今回訪れてとても魅力がある街だと思った。地域の活性化のためにも、もっと外にアピールし、旅人が訪れやすい街になってほしい。
●広域インフラを活かす方法がないかをもっと考えるべきと思う。輪中は治水の歴史を物語るものであり、もっと地域のカラーづくりに活かしても良いような気がする。
●まず第一に、高速道路・新幹線を相手にしたまちづくりをするのか、地域特性を踏まえたまちづくりにするのか?(ポイントを作るか、潜んでいるものを掘り起こすか)はっきり決めた方が良い。あと、社会の教科書で全国に知られているがあまり見る機会の少ない輪中文化は、本当に見たいものの一つだ。
●ワークショップ岐阜羽島の試みが成功すると、駅を挟んで、新旧の街が混在して面白い街になる。
●観光でにぎわうのではなく、ビジネスで人が訪れるが半日は街で過ごそうかという落ち着いた街。
●最先端技術だけでなく、豊かな土地(農地)もまちづくりに活かした街。
●もう少し活気がほしい。でも古い建物をきちんと手入れして使っている人たちがいれば、今のままでも十分に魅力的。
●新幹線の駅が出来てから30年、長閑で落ち着いた感じがするのであまり開発の手が入ってほしくない。
●輪中の人々を描く小説(?)のイメージに沿った街づくりをする。それが無理なら、あの大きなホテルを持っている健康法などの派手な商売を成功させていく。むずかしい。わかりません。
●非常に難しい質問です。日本全国の街が抱えている悩みであると思う。具体的な提案はできないが、
住んでいる人が魅力ある街だと言えるようになってほしいと願う。
●市民がチャンスを生かせる、活気のある街になってほしい。
●輪中と反対の来る者拒まず、企業家など新しいことにチャレンジする人を応援する街になるといいな。
●地元の人は悪い意味で「輪中根性」と言っているようだが、輪中という閉じた空間の中で培われた強いコミュニティを活かして、もっと輪中根性を発揮したまちづくりを目指したらどうでしょうか。結果的に、他の都市には見られない個性あるまちづくりができるように思えます。


 ◆未来カレッジ・岐阜の成果を検証する     
1■県営住宅・ハイタウン北方(2000/by妹島和世+E.ディラー他)

●斬新な住棟デザイン、広い屋外スペース、豊かな共用廊下、意欲的な住戸プランなど、集合住宅計画の将来を切り開く試みである。拝見した特公賃住戸も魅力的で、ぜひ住んでみたいと思わせる。
●従前の並行配置から、4棟の住棟が取り囲む配置に思い切って変えたのが住棟の高層化、大規模化に合っている。
●公営住宅とは思えない斬新なデザイン。
●デザインや住まい方の提案には色々考えるものはあるが、あの土地柄であそこまで良くやった県の意気込みに感心。休日に案内してくれた県の方に気合と誇りを感じた。最後まであのまま頑張ってほしい。
●先進的な思い切った試み。いろいろ言う人はあるかもしれないが、試してみてこその話。しかし、住戸の間取りは、もう少し検討が必要だったような気がする。
●住み手に住まい方を問うという姿勢が面白い。住みやすいかは疑問だが。
●試みとしてはすばらしい。でもあのプランだと(私は)住みたくない。
●もう一つ考えてくれれば過ごしやすくなるのに、という点が多い。
●中庭は、暮らす人の存在が感じられない空間と思う。ばらばらの飾り物になっているようで寂しい。
●独創的な住戸プランなどは面白いが、県営住宅という制約の中では設計意図が活かされていない。
●斬新な、画一的でない外観やランドスケープは評価できる。住戸プランは、見せていただいた2つの特優賃ともに、個々の住民の選択可能性が高い分譲でならまだしも、補助金を投入している公的賃貸としては、住まい方への建築家の思想先行にすぎるのではないかと思う。
●最先端の実験的な未来の住居を提案する施設だと思うが、対象となる住民の生活意識とは乖離している家。多額のコストを掛けた割に長く使える施設のようには思えなかった。
●竣工時の展示会で感じた疑問を再確認した。建築家のひとりよがりはいただけない。
●居住者無視のコンセプト。建替え事業として行なわれたことは行政の良識を疑う。民間プロジェクトでは全く考えられない。1年半であのような状態であり、経年変化に耐えられない素材を使用すべきではない。建築家の責任として10年後に見せ、反省を促すべき。
●インパクトは認めるが・・・要は第一に居住者の評価。第二は公共住宅としての経済性。率直に言って住みにくそう(特に見学した住戸)。公営住宅は経済的でかつ許される限り広い住宅であることが必要で、それをクリアしてからデザインに凝ればよい。住民・県民の支持があるのならその限りでないが。メンテナンスも大変そう・・・。
●担当者のご苦労を思うと、悪い評価はできません。


2■ソフトピア・ジャパン大垣(1996/by黒川紀章)
●今後の地域産業や市民生活に不可欠なIT革命に、先見の明を持って取り組んでいる。センタービルのほか、大垣市情報工房アネックスやSOHO賃貸住宅、各企業の研究オフィスなどが集積しつつある。
●今後の地域の試みとしてすばらしい構想であり、すばらしい施設である。
●通信関係の発展は、立地面で不利だった岐阜に新しい可能性を与えたんだな〜と思うとともに、その可能性を逃さず取り組んでいる県の姿勢に感心。建物はあの場所としては目立つけど、形から入るのも大事だからやりすぎとは思わないなぁ。
●建築としては、ごく普通かな?
●建物に特に目新しさは感じないが、田圃の中に突然という感じがかえって未来的かと。
●4層ごとの吹き抜けなど、長時間過ごすオフィスの環境として良い。各棟のつながりも良い。
●最上階の展望スペースが良い。
●フリースペースがあるのが良い。できれば、中心市街地にもっと隣接させたかった・・・。
●場所が中途半端なのが気になるが、周りにも企業が貼りついており、先端産業の育成につながるように思えた。デザインよりも、産業育成のソフトが問題。
●積極的に新産業を育成しようとする姿勢は、現在の行政には不可欠な視点。特に成果が期待される分野に絞って資金を投入する方が、誰にでもいい顔をするより効果的。
●ロビーの織田信長の像にはビックリした。せっかくなのであのビルの中から実績を出していければ、手ごたえと知名度が上がるのでいいと思う・・・。
●土日祝日にももう少し活気がほしい。ワークショップ岐阜羽島の様なイベントが必要。
●一般の人が利用するライブラリーやプラザだけでも、オープンで入りやすい位置にあると良い。展望ロビーは意外な穴場。
●ソフトといいながら、このような巨大ハコモノ=ハードをつくってしまう発想は時代遅れだと思う。
●これから東京周辺都市と同じ道をたどるのだろうと思った。


3■大垣市・守屋多々志美術館(2001)
●中心商店街の銀行建築を保存改修した本格派美術館である。中心市街地の活性化、歴史的建築の保存、市民文化の高揚に寄与している。守屋画伯の様式を超えた独特の作品を間近に見る迫力は、まさに圧巻。
●空き店舗利用で、こういうものを市が市街地の一角に構えることは大賛成。
●街の中にこうした小さな美術館があるのは素敵。
●中心市街地にあること、古い建物の活用など大いに評価。全体に案内と宣伝が不足か。
●市民の身近な所に芸術とふれあえる施設を作る試みは良いが、設備や展示内容にインパクトが弱い。
●戦前の銀行建築の良き再利用例だと感じる。
●カフェがあると、もっと居心地が良い場所になりそう。
●内装を徹底的にやり直し、質素ではあるが品の良い空間。ただ、旧銀行の建物は活かしきれていない。
●銀行の建物を美術館として活用したのはいいが、あまり銀行らしいデザインが残っていないのが残念。
●以前の施設の内部のしつらえなどを継承するともっと魅力的になる。
●シンプルな内部は美術館として良い。外壁を塗り込めてしまったのは残念(よほど劣化してたのか)。
●建物再生としての意義が表現されていない。
●残念賞。中は普通の施設。かつてのビルの良さを活かす余裕がほしかった。
●水饅頭がおいしく、美術館のトイレがきれいで、廊下の隅に赤ちゃんをあやすソファ付きのスペースがあるのが気が効いていて、商店街に子供の絵の旗があるのが良かった。


4■岐阜県立・養老天命反転地(1995/by荒川修作+M.ギンズ)
●芸術の本質は、私たちの常識や日常感覚を打ち破り、新たな価値観に目覚めさせてくれることにある。この施設は、それを受身の作品鑑賞で理解させるのではなく、実際に身体を動かして楽しむ(苦しむ?)実地経験によって、私たちに強烈に体得させてくれる。
●見たことのない斬新さ、予測できない楽しさ、意外性など、遊ぶ人の感性に働きかけるものがある。
●感覚を翻弄されるような危うさが面白い。普段使わない神経や筋肉を使う遊び空間として面白い。
●坂を上がるといきなり目に飛び込むすり鉢状の空間がすばらしい。植物の使い方が印象的で、小宇宙の感じがでている。ムーミン谷(またはナウシカの国)を感じた。自然物と人工物がやや不調和か。
●これだけの規模で、これだけ思い切った空間を体験できるのは面白い。
●公共がこんなアブナイものを造ったということだけで大変すばらしい。
●楽しかった!単純に。
●様々なことを想像させる施設。
●斬新なアスレチック施設、遊園地としてなら評価できる。アートと言われると評価不能。
●正常な精神状態での評価不可能。しかし、非常に面白い施設である。
●とにかく遊べる。無になって遊ぶ場所。子供が完全に元気になって遊べる場所。最近は親に連れられている感じの施設が多いが、ここは非常に楽しい。彫刻家というプライドを捨てたらもっと面白いものになったに違いない(変に意味を付けようとしたものは逆に意味が薄くなりがち)。
●行ってみないと分からないというのはこのこと。ここまで徹底していると、もう笑うしかない。市内のバス広告で宣伝する気持ちもわかる。それまでの過程でも充分、岐阜は面白いと思ったけど、面白いものをやり遂げる県に脱帽。そのエネルギーが公園内に充満してるよね(しかし、公園内の日本地図が4つしかわからない。もう一つはどこに?)。
●面白かったですが、いいような、悪いような、よくわかりません。ただ、けが人が続出したということですが、いちいち自治体(県)が補償をしているのか知りたいところです。


▼岐阜県の未来志向(IT、デザイン等)は、どのような効果をあげているか?----------------------
●岐阜県が岐阜事業体として生き残るためのきっかけを与えているのではないか。岐阜は歴史や文化、交通面のどれもいい物を持っているのに、周囲にも同じ物がありすぎてどうしても負けてしまう。しかし、周囲は良い物を守りながら未来にという姿勢のため守ることに苦労しているのに、今の岐阜は守ることにはそうこだわらず、良いものはどんどん取り入れる心と土地の余裕を持っているように感じた。
●「都会=進んでいる、田舎=遅れている」という構図である限り、一向に格差はなくならない。小回りのきく地方こそ、未来志向、大胆なデザインで最も進んだ地域になる可能性を秘めており、この構図の打破にあえて挑戦した岐阜県の意欲と慧眼に敬意を表し、応援したい。
●効果についてはわからないが、取り組みはすばらしい。近いうちに岐阜から世界に向かって新しい情報が発信されるのだろう。
●未来志向にふさわしいシンボリックなデザイン群だと思う。ただ、今後地域に浸透させるには、ワークショップ岐阜羽島のように、地域に溶け込んで旧市街に新風を吹き込むような施設が良いのでは。
●デザインは、その意思も表わすものであり、結構、未来志向を感じ取ることができた。
●デザインには岐阜らしさが見えない(現れていない)気がするが、ソフトピアジャパン大垣とワークショップ岐阜羽島のような施設は、補完しあう関係として期待がある。ソフトピアは、一般の人や子どもたちが親しめる部分をもっと特化しても良かったのではないか。
●IT単独で施設を作っても話にならないので、確固たる理念が必要。使った方が良い理由、使うと便利な理由がまだ見つかってないように思う。何か実績、手応えのあるものを一つ見つけることは大事。
●一見しただけでは分からないが、少なからず住民は行政に引っ張られると思う。最新の動きが市民の中から生まれて、それに行政も協力していく、という方が時代の流れかもしれないが、その流れを待っていられない状況下では行政のリーダーシップで将来像を提示し、その提案をもとに市民が活発に議論し活動を始め、だんだん行政色が薄れていけば良いのではないか。とにかく試行錯誤でいいから、未来を模索していくことが大切。
●地方のまちづくりの最大の課題は、車社会とどう折り合いをつけるか、すなわち野放しでいくのか、開発を規制しつつ旧市街地の利活用と保全を図るかにあり、今回もそれを強く感じた。後者をとるべきと思うが、一部にそうした動きがみられたものの基本は前者であり残念。建築物は斬新なものが多いが、住民が親しみや誇り、楽しみを持てるかが大切(市民がこれら建築群をどう見ているか知りたい)。
●積極的な姿勢は、建築の視点からはとても評価できる。住民の方がどう思っているのか知りたい。
●PR効果はともかくとして、産業として定着するには時間がかかるのは仕方がないので、あまり短期間で評価しても・・・(むしろ若年層の意識が他県より変わってきているというデータでもあれば、評価できるのでは)。
●公共が未来志向のデザインなど新しいことにチャレンジしていることは評価すべきだと思うが、方向性が少しずれているように感じられる。効果は未知数。
●「やろう」としていることの姿は見える。しかし、まだ効果を上げるところまで至っていないように思える。


■評価集計結果

対象 評価   内訳
MD0800 羽島のまち(全体)
3.00
AABBBBBBBBBBBBCC
MD0801 ワークショップ岐阜羽島
3.38
AAAABBBBBBBBBBBC
MD0802 岐阜県立看護大学
−3.00
AAAABBBBBBBBCCCC
MD0803 中観音堂+円空資料館
3.38
AAAAABBBBBBBBBCC
MD0804 羽島市庁舎
4.25
AAAAAAAAAABBBBBB
MD0805 竹鼻中心市街地
−2.75
AAABBBBBBBBCCCCC
MD0806 羽島文化センター
−2.75
AABBBBBBBBBBCCCD
MD0807 ターミナルホテル羽島フォロロマーノ
△3.13
AABBBBBBBBBBBBC-
       
JK1801 県営住宅・ハイタウン北方
3.25
AAAAAABBBBBBCCCC
JK1802 ソフトピア・ジャパン大垣
−3.00
AAABBBBBBBBBBCCC
JK1803 大垣市・守屋多々志美術館
3.38
AAAABBBBBBBBBBBC
JK1804 岐阜県立・養老天命反転地
4.47
AAAAAAAAAAABBBB-

◆今回の企画全体(2日間)についての意見、感想など
●お題は事前に聞いていましたが、イメージがわきませんでした。行ってみて驚きました。羽島市の存在も大垣市の存在も知りませんでしたし、岐阜県にしても「飛騨・高山」を意識したのがここ数年という有様です。最近毎回思うのは、「地方は侮れない」ということです。今回も「岐阜から全国に発信しよう」という意気込みは十分感じました。と同時に置き去りにされたような地域にも出会いました。これはどこの地域にも言える「地域の衰退傾向」ですが、なんでも「気の持ちよう」なんだと思います。プラスにもマイナスにもできるのはそこ住む住民だけで、自分の生活を良くするためには地域のためにいかに自分が貢献できる存在になれるか、一人一人が感じなければいけないでしょう。責任重大です。しかしこれを、楽しくみんなで協力して目標を達成しようという機運が広がれば、いきいきと活気のある地域社会ができるのだと思います。気持ちが暗く沈んでいたら、経済の発展も望めないでしょう。コーディネイターには本当にお世話になりました。(Y.Yam-)
●羽島市に、こんなに歴史的な資産が残っているのにはビックリしました。新羽島からの名鉄線が東京の都電荒川線のようでとても愉快でした。(Y.ide-)
●岐阜県は今回が初めてですが、全体的に住みやすそうな印象でした。企画のメインはもちろん、移動の乗り物も面白いものが多く(市内から郊外を走る路面電車など)見どころの多い企画でした。(M.Miz-)
●岐阜県に行くとしても高山方面で、市街を歩くのはこの時しか可能性がないと思い参加しました。しかし、意外なことに未来志向の様々な取り組みを見ることができ、「行ってみるものだな」というのが正直な感想です。輪中による治水の方法というのが結構面白く、確か小学校か中学校の社会科の教科書で勉強した記憶がありますが、もっとこれを活かしても良いのではないかと思いました。少なくとも博物館では輪中の治水をコンピュータグラフィックで再現していただきたいものです。また、地元の方々の熱心な話は、見るだけでは何げなく通りすぎてしまうものを、鮮やかに感じさせてくれました。いつもの通りとても密度が濃い企画でしたが、これまでの中で、行く前の印象とその後の印象の差が最も大きいような気がします。ありがとうございました。(M.Fuj-)
●羽島の中心市街地と岐阜県の未来志向の対比、鉄道やバスに加えてお店の送迎バスまで利用したコース設定など、さすがの企画です。地元の人も加わった街歩きも良かったのですが、できれば意見交換や懇親会まで参加していただければ良かったと思います。(T.Kur-)
●おそらく旅行では訪れる機会がないのではないかと思う街を歩くことができて、とても充実した2日間でした。ありがとうございました。ところで、水との関わりが深い土地であるのに、川の水が汚れていることがとても気になりました。それは「水道の水(地下水)がおいしい」というお話とのギャップもあって、50年後も水道は地下水だろうか・・・と不安をおぼえました(酒蔵の井戸水、本当においしかったです)。(F.Kam-)
●にらんだとおり薬、健康関係の企業が多かった。この手の物は効果を立証するのに難しく、ややもすると宗教と絡みやすくなりがちで、難しいものをITネットワークで立証していくことも可能と思うが、なかなか商売には難しいのかもしれない(保険が高くなって健康食品ブームがあると聞いたが)。ところで都市的な街でないといけないんだろうか? のんびりしていて生活が成り立つならそれでもいいと思う(年寄も子供も若い人もいて仕事もあってみんな楽しい場所ならそれでもいいような気が)。(A.And-)
●丸二日あるといろいろ見られる。旅先で欲張りな私には非常に良かった。中でも、養老天命反転地は行きたかったので、満足。もっと奇抜なのかと思ったが、さほどでなかった。また、今回も様々な交通機関を使ったがとても「便利」であった(調べて使えば)。公共交通機関をもっと大切にすべきと改めて感じた。それにしても近鉄養老線の空き具合はショッキング。(i.Tun-)
●岐阜県のような地域で公共交通機関を使いこなしながら移動し続ける企画は、驚嘆すべきことだと思いました。一つだけ心残りだったことは、「羽島市庁舎」の注目度が非常に低い(無かった)と感じられることでした。阪神大震災以後、昭和30年代の名建築、すなわち「戦後モダニズムの逸品」がものすごいスピードで次々に消滅しています。せめて「学会賞」&「BCS賞」程度は末永く使い続けて欲しいと思うのですが、いかがでしょうか?(N.Tan-)
●田圃の中の日陰のない農道やピンクのたにしの卵(ぞくっ)、のどかな電車、建物や公園からの見晴らし、光る川面、うなぎの油滴る魚勝の焼き場など、評価項目にない所がとても印象に残りました。連休中にも関わらずご案内いただいた方々、ありがとうございました。★おまけ:羽島市の大賀ハスは私の地元(生まれた所)で発見されたハス。子孫が全国に散らばっているとは聞いているが、羽島であんなにえらくなっているとは!うどんにまでなっている!地元よりも出世したぞ、すごいのぉ〜と、現地でずっと思っていました。(R.isi-)
●このような地域でteku-tekuを2日間企画してしまう企画者の好奇心とパワーに脱帽いたします。一番面白かったのは「東京の人は自分達が普通だと思っているがとんでもない、東京の常識は地方(全国)の非常識」。●私が職場の同年代の女性と15歳くらい年上の男性と三人で飲んでいたとき、結婚とか家族のあり方について私たち女性二人とその男性は徹底的に対立したのですよね。もう細かいことまでは憶えていませんが、その男性は「両親は揃っていてちゃんと結婚していなければならない、子供には両親がついていることが絶対必要である、そうでない家庭は間違いなく不幸になる、未婚の母だとか離婚とかは論外」というような考えの方で、女性二人は徹底的に反論したのですけれども、私でない女性の方は青森の出身。「そんな意見は東京のサラリーマン家庭を中心にした考え方で、私の生まれた青森ではお父さんが漁師で1回漁に出たら3年くらい帰ってこなくて、それでも子供はお父さんのことが大好きでお母さんと二人でずっと待っている、という家庭が沢山ある」と発言しました。これは私にとってもカルチャーショックだったのですよ。●彼女はまた青森のねぶたに参加するために必ずその時期には実家に帰ります。そして「その土地に生まれ育ったものでないと絶対ねぶたは理解できない」と言い切ります。これは私にとっては永遠の神秘で、とても彼女が羨ましいです。●イタリアに滞在したとき思ったことですが、ローマの街中に遺跡がごろんごろんある。地下鉄を作ろうとすると遺跡にぶつかってしまうので地下鉄もほとんど作れない。最初はこんな街に住んで、世界中からこれらを見るためにこの街に旅行者がやってくるということで誇りに思うだろうと考えました。でもよく考えると、生まれながらにこの文化の重みを背負わなくてはいけないと思うと、少々やりきれない感じもしました。イタリアに限らず、どの国にもそれなりの文化はありますが、私自身は文化を背負って立つようなことは、現代の世界の動きにあまりいいことのように思われません。文化なんてどんどん混じって、薄まっていけばいいと思っています。でもそれが全国東京化とはまた違うとは思いますが…。●「輪中根性」という言葉が気に入りました。文化の集団的引きこもりという感じがします。集団的引きこもりとはたまたま最近読んだ本の中に出てきたのですが、最初はマイナスの意味に使われて出てきた言葉みたいですが、私は気に入っていて、こういう発想は大切だと思います。(T.Sug-)
●「輪中」の概念が変わった。(M.iwa-)
●こんなにしっかり企画していただけて、とても楽しめました。ありがとうございます。(K.Sak-)


◆コーディネイターより
●最初はかなり地味な岐阜企画になるのではと心配でしたが、「未来カレッジ」というテーマを発見したことで、逆に派手な(?!)企画になってしまいました。私のまち・羽島へ遠路来てくださり、ありがとうございます。12年間一緒に歩いてきた皆さんと羽島の街を歩くことができ、いま、私自身のこの街に対する視座が確立できたような気がします。最後に、地元のまちづくり協議会の皆さん、岐阜県庁、羽島市役所の方々にも大変にお世話になりました。この場を借りて感謝いたします。(R.Ota-)


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