自由研究 ■鳥取企画2002.11の記録
teku-teku自由研究
鳥取県西部の都市米子と境港の魅力
日 時:2002.11.16(土)〜17(日)
★7つの顔を持つ街「米子中心街」 16日 13:30〜18:00
★妖怪なまちづくり「境港」 17日 8:30〜17:00
■参加者:大竹 亮、田中 登、野中るみ子、溝辺正浩、栗原 徹(コーディネーター) 計 5名
〔上記の他、米子では地元グループ(深田健夫、杉原幹雄、音田 猛 他)による案内と参加〕
[参加者の意見]
■7つの顔を持つ街「米子中心街」
●米子中心街全体【4.60】
A:コンパクトな中心街でありながら様々な機能と空間とが独自の表情を持ちながらモザイク状に混在している。歩きながら次々と新しいシーンが展開される多様性は、他の地方都市では見られない魅力。
A:人口13万だが、山陰の経済中心都市としての諸機能が集積し、格調の高さが感じられる。小さい中心街に7つの顔が詰まっていて密度が濃い街。コミュニティ型まちづくりのこれからに期待。
A:正直言って観光的な魅力はそれほど無く、私自身の個々の評価はそれほど高くありません。しかし、米子全体としては地方都市としての機能、雰囲気は鳥取や倉敷以上のものがあると思う。より住みやすいまちづくりという姿勢が、観光地に走る地方都市が多い中とても新鮮で評価したい事です。
A:笑い庵メンバーの方のコメント「いくら市役所に言っても金がない。との返事ばかりだから、自分たちでやる」には、驚いた。分かっていることではあるが、やろうとしてもなかなか出来ないことでもある。
B:本当に多様な顔をもつ街でした。ただ、少し踏み込まないと見過ごしてしまう所も多く、少しもったいないように思う。
●大規模施設ゾーン【2.60】
B:コンベンションなどの機能が充実し、歩行者空間も良く整備されている。
B:駅前に都市機能を集積させている。広い歩道やせせらぎ、並木道などのアーバンデザインがよくできていて快適。
B:駅前に公共施設(単独)を設計した事を評価したい。
B:運営する側が柔軟なのか、様々な使われ方があり面白い。
C:たまたまイベントがあり活用されていてよかったと思う。コンベンションホールは内部に木を使い暖かみがあり建物自体はとても立派。このような立派すぎる施設は今後の活用が重要。
●アーケード商店街【1.80】
B:シャッターがおりた店も多いが、それほどさびれた雰囲気はなく老舗の中にはとても心惹かれるお店もあった。郊外商業地区に押される商店街は駐車場を併設することも大事ではないでしょうか。空き店舗にチャレンジショップを移し、チャレンジショップの場所に車が入れるのであればいっそ駐車場にしてもよいのでは。
B:寂れた商店街の中にある、鉄道展示館が良かった。
C:チャレンジショップやレイルロード館など、活性化の試みは始まっているが、人があまり歩いていない。
C:元気がない。シャッターを閉じた店舗が多く、アーケイドが暗い。
C:かなりシャッター街になっている。チャレンジショップも商店街の並びにある方が良いと思う。
●公共文化ゾーン【3.40】
A:都会の真っ只中に広場を設けたプランニングと、外壁をレンガタイルで統一した、デザインの庁舎・図書館・美術館に好感を持てた。
B:ガス燈通りは程よいスケールと調和のとれた色彩が居心地の良い空間を生み出している。山陰歴史館などの歴史的建築の活用もいい。
B:歩行者モール、生垣、中庭状の広場、公共建築群など、品格ある空間が創られている。
B:色を合わせたことで公共文化ゾーンというのがはっきりわかる。れんがを多用すればもっと雰囲気がでたと思う。
B:複数の施設で閑静な中庭ができているのが魅力的。国道と商店街をつなぐ動線にもなると面白い。
●寺町【3.40】
A:9寺連なっている配置されている街並みは、趣のあり、すばらしい。出来るだけこの環境が維持されていく事を望みたい。
B:お寺が並ぶ、落着いた雰囲気の空間。それぞれのお寺の物語が見えると面白いと思う
B:寺と町家の集積が見られる。それを活かしたまちづくりはこれからの課題。
B:旧加茂川からおじぞう様を通ってのアプローチを工夫するとよい散歩コースになるのでは。
B:横一列に寺が並び、その門前から街路が伸びる街並みはすっきりして気持ちが良い。
●旧加茂川沿いの街並み【4.60】
A:川に面した土蔵、一銭堂、是楽暮舎、笑い庵など、地域に根ざした魅力的なスポットが点在する。これらがもう少し街並みとしてつながってくると素晴らしい。
A:魅力的な蔵や町家が点在する。子供たちの集う駄菓子や空き店舗の内装をセルフビルドした「笑い庵」などコミュニティが感じられる。
A:蔵と一体化した民家や、川に向いて入り口が配慮された面構え等見るべき所は、非常に多いと思う。次回は、是非「後藤家」を見学してみたい。
A:米子の街でも非常に特徴的な街並みが残る地区。川からの景観も復元できないものか。
B:空き地がどのようになるか期待。いっそ張りぼて蔵塀の中は普通のアパートでもかまわないかもしれないので、建物は高さと雰囲気を合わせてほしい。
●高島屋周辺商業ゾーン【4.60】
A:川に面して橋を渡ってはいる店舗やレストランが、非常に魅力的な空間を創り出している。
A:新しいタイプのショップが集積し、歩いて巡るゾーンとなっている。川沿いの店舗群は、センス良く注目株。
A:小さな橋を渡って入るおしゃれな庭を持つショップのセンスの良さは脱帽しました。このエリアは今まで見た地方都市の中でもベストに入ると思う。
A:米子の「渋谷か?」「アメリカ村か?」とにかく、活性化につながっている。
B:米子の中でもオシャレな界隈、という雰囲気はわかるが、アーケードが突然終わったりして、他との繋がりが弱い。
●朝日町飲み屋街【3.80】
A:迷路的路地空間に様々な飲み屋が連なる。こういうエリアがあることで米子は真に魅力ある都市となっている。
A:一番回っただけで評価することは困難である。二度三度と行ってみたい。
B:迷路のような細く曲がりくねった路地の魅力。
B:車のこない路地なのでふらふらと安心して歩き回れる。
B:細い路地の街角を何度も曲がるうちに方向感覚を失い、まさにラビリンス。飲み屋街としては魅力的。
●舟で見る旧加茂川と中海【4.60】
A:低い視点から見る川沿いの街並みが非常に新鮮。回遊できるルートがあるともっと面白い。
A:山の紅葉を眺め、お天気もよく快適でした。しかし、安全面、利益面を考えると商業として成り立つかは疑問です。地元の接待用とかに奥の手として使ってはどうでしょうか。
A:水面に移った夕焼けが素晴らしく、また、この会のメンバーたちの行動力に驚く。
A:全国的にこのような市街を流れる川を船で巡るものはあると思いますが、広々とした中海の景色も楽しめるのはここだけでは。非常に気持ちよかった。
B:水面から見る街の視点が斬新。中海も波静かで湖面が鏡のよう。
●米子中心街で一番魅力的なところ
★岡本一銭屋:単なる駄菓子屋かと思っていたが、何人もの子供があがりこみ、地域のコミュニティ空間として機能しているのがいい。
★岡本一銭屋:立派な看板。おばあちゃんのいる昔ながらの駄菓子屋。
★岡本一銭屋:(1)子供たちが溜まり場になっている一階の売り場の雰囲気と、お母さんの様なおばさんの人間観が素晴らしい。(2)とにかく二階である。表現が困難なほど懐の深さを感じた。
★笑い通りとしょうじき村大通り:笑い庵、是楽暮舎、岡本一銭堂、レストラン皇、今井書店など、卓越した空間センスと見識ある運営姿勢のお店が並んでいる。
★笑い庵:お地蔵様などの資源があったとはいえ、手作りでほぼ一から作り上げた努力に感動。 中も居心地のよさそうな場所でした。
■妖怪なまちづくり「境港」
●境港の街全体【4.20】
A:鬼太郎世代が30〜40代ということを考えると子供よりも私たちの年代が一番楽しめるまちなのかもしれません。
A:のんびりとした、歩くスピードで街が進んでいると感じた。
A:「水木しげる」と「港町」がうまく並立していて、余所から人を呼ぶのに充分な魅力付けがなされている。
B:様々なまちづくりの試みの中で、水木しげるロードが新しい境港のイメージを創りつつある。
B:平地なので港町という雰囲気に乏しいが、対岸の島根半島の山をバックにした風景はいい。駅・港・水木しげるロードが近くにまとまっていて、歩いて楽しめる街になっている。
●健康シティ夕日ヶ丘【4.20(4.60)】
(特)A:環境共生というより環境強制だと思うが、これを半ば強引に実現した鳥取県の姿勢はすばらしい。他地区でも強制的な実施を望む。
A:郊外の一戸建住宅地にふさわしい中低層の集合住宅。自然素材っぽい仕上げや空間構成のさりげない工夫がとてもうれしい。
A:家の内部まで見せて頂き、住みやすさを実感した。10年経って成熟した外構を見てみたい。
B:県営夕日ヶ丘団地はデザインがなかなか良く、これからの住民参加が期待される。戸建住宅地については空間にもう少し変化がほしい。
B:近隣の戸建て住宅にも集会施設を開放するのはとても良いことだと思う。
●夢みなと公園【2.50】
B:さかなセンターや食堂は賑わっていたにもかかわらず、展示スペースはプレゼンテーションが良くないためか人が少ない。
B:タワーに登らなかったのを今更ながらとても後悔しています。ここで数年前に博覧会があったのは知らなかった。
B:運動公園以外で、あまり人を見かけなかった事が残念。
B:タワーからの眺めも良く、下の市場も魅力的だが、閑散とした雰囲気が気になる。
C:展望タワーも魚市場も、どこか中途半端。
●みなとさかい交流館【2.60】
B:奇抜なデザインは周辺との調和を拒否しているようだが、島根半島の緑を背景に、ランドマークとしては悪くない。
B:駅とフェリー乗り場をつなぐ場所に、シンボリックな建築として君臨し、ランドマークとなっている。
B:展示館のソフトの展示方法が今一歩わかりにくい。
B:建物のデザイン等は、船から見ることを想定しているのかもしれない。
C:ガラスを多用しているのは、維持費を高くするような気がします。
●水木しげるロード【5.00】
A:妖怪ブロンズ像だけでなく、通りに面した店がかなり鬼太郎系ショップと化しているのが面白い。スタンプラリーは結構ハマル。
A:駅からの中心商店街の歩道を広げて妖怪オブジェを設置し、歩く人を増やそうという試みは、ひとまず成功。八百屋やパン屋など普通の商店にも妖怪グッズが浸透・増殖しつつあり、市場原理という最強の妖怪が出没している。
A:普通の商店街が、水木しげる翁のおかげでここまで集客できるとは境港はラッキーなまちです。スタンプ帳により何も買わなくてもお店に人を招き入れ、ふと目にした水木グッズを買ってしまうパターンはうまい。鬼太郎世代の大人のほうが夢中になって押していた。オブジェも水木妖怪に忠実だが思ったより小さかった。説明も足下にプレートを付けてるとわかりやすいかも。
A:面白い。鬼太郎とスタンプを活用した商店街活性化の街作りに共感が持てる。一日居ても飽きない商店街である。
A:妖怪のオブジェは非常にできがいい。スタンプラリーや「妖怪」を題材にした商品も 多く開発されていて、かなり成功した部類に入るのでは。
●鬼太郎列車【3.00】
A:正面・車内・窓と鬼太郎づくしでとてもよい。切符も鬼太郎がらみのものがあればもっと収益が上がると思う。
B:妖怪の絵は派手だが、車両自体は普通(キハ40)。もっと本数が増えて、都市間交通に利用されてほしい。
B:列車のカラーリングだけでは、観光名所にならないのでは。やはり、乗客の多さは、水木しげるロードの力強さだとかんじる。
B:「観光用列車」のイメージがあったのですが、乗ってみると学生が通学に使っていて、生活密着型だった。
C:JRまでが鬼太郎に染まってきたのはいいが、ここまでくると単に絵を書くだけでは物足りない。
●はまるーぷバス【4.20】
A:車両は一見小さいが、内部は広く15人も座れるのにびっくり。デザインも良く、コースも便利で、100円と安く、秀逸。
A:大阪にも同じような「赤バス」が今年度から運行しており、共感がもてる。
A:ワンコインバスの常識を破るルートの長さと、市街地から空港まで含むコース設定が魅力的。車両もコンパクトな割に大人数が入る。本数が多ければ市内観光にも十分使える。
B:かわいらしい車体にもかかわらず室内は思ったより広く、デザインもいい。もう少し頻繁に走ってくれると使えるのだが。
B:安くて、時間さえ合えば便利。
●境港で一番魅力的だったところ
★神戸ベーカリー:妖怪パンは似ていないのもあるが、なかなかのアイデア。ホット・アイスクリーム・サンドはとてもおいしかった。
★水木しげるロード:観光みやげ物屋だけでなく、普通の商店もそれぞれ違った方法で妖怪を活かした商売をしているのがとても面白い(妖怪的)。
★水木しげるロード:「妖怪」という一見下手のようなテーマだが、子供から年配者まで支持される水木ワ ールドの魅力を十分活かしている。観光による町おこしとしてとてもうまくいっている。
★目玉親父の街灯:あまりにぴったりなので。
★鬼太郎の風景印(郵便の押印):6局の風景印を一店舗の店で扱っており、収集家にとっては、非常に好感が持てる。もう一度ゆっくりと手紙を書いてみたいと感じた。
■その他、今回の企画についての感想、意見等
◎山陰の中心都市・米子、面妖なまち・境港、それぞれとても充実していました。都市機能が集積しモザイク状に7つの顔を持つ米子中心街は印象的で、特に、まちづくり活動の現場を拝見できたのは、興味深かったです。まちの人たちの見識とパワーを実感しました。そして、2回で鳥取県のすべての市をteku-tekuできたのは、すばらしいことです。ありがとうございました。(Ota)
◎米子のまちを米子の友人よりも詳しくなりました。米子のまちづくりの方々にじっくりとご案内いただき感謝しています。三徳山に登れなかったのは(私のみのオプショナルコース)とても残念でしたが、「こがね」でかに、いかを味わえてとても満足しています。(Non)
◎米子+境港の奥の深さを感じました。(Tna)
◎両市とも一度行ったことがある街でしたが、特に米子は以前と大きく変わった所が無いのに、気づかなかった部分が見えてくるにつれて、印象ががらりと変わりました。一歩踏み込むと面白い所がある。その一歩中に入る気にさせる仕掛けも大事ですね。ともあれ、栗原さんと米子の皆様には大変お世話になりました。
【コーディネーターから】米子では、杉原さん、深田さんをはじめ、地元の方々のおかげで、舟に乗ったり、笑い庵での意見交換など、とても中味の濃い街歩きになりました。この場を借りてお礼申し上げます。今回は参加者が少なかったのですが、その分大勢では味わえない良さがありました。これからは小人数型の企画を考えるのもいいのではないでしょうか。