まちづくり企画 ■京都企画2003.5の記録


teku-tekuまちづくり企画 


まちづくり企画 「甦れ!京都の町家とまちなみ」

日 時  :2003年5月24日(土)10:15〜18:00,25日(日)8:50〜16:00
コース  :
 24日
 JR京都駅集合 →京都駅ビル →四条京町家(京都市伝統産業振興館) →小さい町家やマンションが混在する様子 →景観紛争になったマンション →たま妓(町家活用事例:飲食店) →紫織庵 →新風館 →三条通 →寺町商店街 →四条花見小路界隈 →祇園新橋
 25日 「一条戻り橋」集合 →清明神社 →西陣町家スタジオ →町家活用事例(デイサービスセンター、ギャラリー等)や袋路再生の共同化例(玉屋山三小路地区) →西陣大黒町や千両が辻 →西陣鳥岩楼 →表千家、裏千家界隈 →京都会館、平安神宮、疎水→インクライン →南禅寺水路閣 →解散
参加者:15名 井手幸人、伊藤廉子、大竹亮、河原佳明、鎌原史英、栗原徹、澤田廉路、田中登、千川 明、長崎卓、原久子、平井志都葉、森本章代、山中洋子、岸田里佳子(コーディネーター)


[参加者の意見]デザイン(D),使われ方(T),周辺との関係(S),文化的価値(B)の4項目をA〜Dの4段階で評価した。

1. 京都駅ビル
(D):AAAAAABBBBBBCCC=3.40 (T):AAABBBBBBBBBBCC=3.13  (S):AABBBCCCCCCCCCC=1.93  
(B):AABBBBCCCCCCCDD=2.07  総合:2.63

● 中心部の南のはずれ(七条)にある京都駅をシンボル的空間にしている。改札口周辺が手狭なのが残念だが、巨大な吹き抜けやどこまでも空へ上る大階段などすばらしい。1200年の都にふさわしいスケールの大きな建築。
● 天空のドームの中に駅舎とデパートがあるという印象。オールナイト使えるようになれば。
● 大階段など内部空間は楽しめてよいし,学生の溜まり場となっている点も良い。しかしながら,外から見るとボリュームに違和感を感じ,空間をせき止める大きな箱となっている。そうであれば,仮に高さはもっと高くとも、外に対して開けた構成の方がなじむのでは。 
● あの場所にあのボリュームが適切かというと疑問ですが、デザインは優れていると思います。
● 思い切った空間構成が非常に良い。しかしながら古都のモニュメント建築であると思うが、地元の評判が余り良くないという評価も判る気がします。
● 遊園地みたいな施設で楽しいのですが、京都でないとできない駅といった感じはないですね。
● 駅というより、店舗。駅に人が集まる特性を利用した複合商業施設。建築というより彫刻。形が目的。肝心なホーム上の環境とその他の部分を比較すれば明らか。
● 京都のまちとなじむ建物かどうかは疑問だが、洗練されており個人的には嫌いでない。
● 京都以外にあれば素晴らしい建築だと思うが、京都という街の中では違和感がある。
● 中には入っていないので何とも難しいですが、人に厳しい建築、という印象を受けました。
● 外観を見るのを忘れました。駅の施設内でイベントができるのは面白いと思います。何でも駅に集中させるのは、JR一人勝ちになってしまい良くないと思います。(どこでもそうですが)
● 旧駅にあったおみやげセンターに比べて伊勢丹地下街、またその前にあるおみやげ街は食品の種類も多く、商品が見やすくなって京都の物産を知るのにいい場所になっています。京都観光案内所が2階(?)にあってわかりにくいのが難点。
● 巨大なかたまり、箱庭に見立てた京都の庭石かも・・・。
● 伝統的な町に全く場違いな建物。

2.四条京町家(京都市伝統産業振興館)
(D):AAAAAAABBBBBBB-=4.00 (T):AAAAAAAABBBBBB-=4.14 (S):AAAAAAAABBBBBB-=4.14
(B):AAAAAAAAABBBBC-=4.14   総合:4.11

● 眺めるだけの町家より、商店として活用することで体験できる町家になっていて、観光客としては楽しいです。
● 分かりやすく、入りやすく、親しみやすい。
● 町家の中を気軽に見られ、工房においてある商品のセンスもとてもいい
● なかなかおしゃれな民家,四条通り二面する周辺の建物が問題
● こういう施設は失敗しやすいが、使われているようで,立地のよさがうまくはまっている好例。マンションに囲まれているのが残念。
● 町家を生かした施設造りが素晴らしい。隣接しているマンションが残念
● 小さいながら、町家のシステムを体感できる施設。伝統的なしつらえを保全した部分と現代的に改造した部分の対比も面白い。四条通沿いとはいえ、中庭がマンションに囲まれているのは残念。
● 裏にマンションが見える時も表までの長い(長細い)間に忘れるくらい良い心地でした。
● 町家の造りが良くわかった。
● 大通りに面しこうした施設があるのは面白い。休めるスペースがあるといいな〜。
● 和風の雑貨屋&喫茶店はいいとして、レンタルスペースが前述の2店舗にそぐわない使い方をされた時の様子がいささか気になる。
● 商品の背景として町家を利用するだけでなく、町家を全国に知らしめる公共の施設が必要なのではないか。
 
3. 新風館
(D):AAAAAABBBBBBBC-=3.71 (T):AAAAAAAAABBBBC-=4.14  (S):AAAAAAAAABBBBB-=4.29
(B):AAAAABBBBBBBCD-=3.07   総合 3.80

● 今までの京都には考えられない、画期的。もっと活発で面白い店を展開しても良いか。 
● 京都では他にない施設で,若者を上手く取り込んでいる。この施設がきっかけで周辺も活性化してきている。ただし床面積が小さいので意外と苦戦しているのでは。
● 保存改修としてはうまい!観光客の方というよりは地元の方々の施設、周辺への波及効果もあるみたい。
● 烏丸通沿いの景観を保全しつつ、内部は大胆に増築して、中庭と回廊を歩き回る空間を創り出している。かなりの人を呼んでいるようで、三条通、姉小路通の活性化をもたらしている。
● 古い重厚な建物に入ると、流行を発信する開放的な空間が開けるという意外な展開にあッと驚いた。
● 周辺の雰囲気と中庭のギャップが結構おもしろい
● 道路に面した部分と中とのギャップの意外性が面白かった。    
● 歴史的な建築と中庭空間をうまく活かしており、居心地の良い商業空間になっている。
● 魅力的な店舗を集積し、集客力を高めることは業界の常道だが、このようなゆったりした空間を、どのようにして実現したか。また、質を保持しながら運営していく、ソフト面の蓄積が今後の都市再生の参考になるのではないか。 また、時間が経過しても軽減しない、優れたディテールの建物の強さを感じる。
● 中心市街地の空間の使い方としてはおもしろい
● こういった施設が今後も増え続ける事を期待します。
● 外観は古くわくわくしますが、内側に入るとサンストリート亀戸を思い出し、安っぽい感じがしました。近所にあると面白い施設だと思います。


4.御池通(シンボルロード整備)
(D):AAABBBBBBBBC---=3.33 (T):AABBBBBBBBCC---=3.00  (S):AABBBBBBBCCC---=2.83  
(B):ABBBBBCCCCCD---=2.16  総合2.83

● 車道も歩道も広くてゆったりとしてよいと思います。
● デザインセンスがいい。特に、市役所前のガラスのエレベーターや軽い屋根で覆われた地下鉄の入り口はいいですね。
● シックに締まっていて良い。ロード沿いのビルの外灯もモダンなもので揃えるとより美しい
● 現代都市の機能を代表するストリート。広い歩道と整然と並ぶビル群が美しいが、やや深みと味わいに乏しいのは仕方ないか。
● 市役所や地下鉄出入口などは悪くないが、通り全体としてのシンボル性はあまり感じられない。
● 早足で歩きすぎてしまった為あまり印象がないが、清涼感漂う噴水が良かったです。
● サイン計画は良。祇園祭の鉾の勢ぞろいする広場としても良。実際は堀川通りから川端通りまでの車の通過路。人よりは車の空間。サイン自体も車からの可視性、判読性を重視。通り東端に噴水が置かれているが、車道と車道との間でなく、人が休むことができる広場に置かれれば、猛暑の京都の潤いになったはず。時代が変わり、デザインの目指すところが変わってしまった悲劇。
● 大通りなのに、印象が残っていない。
● 当然とはいえ、京都は町ではなく、都会と実感させられる通り。
● どの部分だったか不明
 
5.京都ホテルオークラ   
(D):ABBBBBBBCCCCD--=2.38 (T):BBBBBBBCCCCD--=2.00  (S):ABBCCCCDDDDDD--=1.61  
(B):BBBCCCCDDDDDD--=1.46   総合1.87

● 遠くからしか見ていないので、評価はパス。ただし、遠くから観た限りは、言われているほど悪くないような気もしたのですが・・
● 遠目に見た感じではあまり高さもなく、色彩的にも落ち着いていて、隣の市庁舎と調和している。 
● もっと京都らしいシンボリックなオブジェなどを追加したら楽しい。          
● 東京だと高層ビルが当たり前なので、よい悪いの判断がつきません。ただ、高いビルが立ち並ぶと、空が狭くなり圧迫感が強くなるので、京都が東京のような息苦しさに覆われないことを望みます。
● 建物自体の詳細なデザインは洗練されていていいと思うが、ボリュームをもう少し和らげる方法がとられなかったのが残念。
● デザインは悪くないし、高さについても東京感覚では問題ないように感じるが、京都という歴史的空間の中では、評価は違ってくるのだと思う。
● どこからでも見えるが、デザインは単調でシンボリックさに欠ける。都心にホテルは必要だが、普通の建物が一番目立ってはいけない。
● ディテールは悪くないが,単調。高さ60mは東京では高くないが、市内でどこからでも見える高さであることを考えると、あえてその選択をすべきか疑問もある。
● もう数年待てば、私の評価が変わると思いますが、今はまだ京の町になじんでいるとは言いがたい
● ボリュームがあるため、表以上に裏側から見た時の威圧感がかなり大きい。      
● 唐突、場違い、目立ちすぎ
● さぞかし見晴らしが良いに違いない!!
● せめて経営的に成功したなら救われるが、都市景観に残された負の遺産にならないことを祈る。   
● 見ましたか?


6.西陣町家スタジオ
(D):AAAAAAAABBBBBC-=4.00 (T):AAAAAAAAABBBBB-=4.29  (S):AAAAAAAABBBBBB-=4.14  
(B):AAAAAAAAAAABBB-=4.57  総合 4.25


● 町家という資源があるからこそ絵になる施設です。他の都市で真似できないものなので、ぜひ成功してほしいです。しかし、ソフト整備や人材育成は一朝一夕ではできないので、これから苦労が多そうです。がんばって下さい。
● 魅力的な町家の活用ですね。緑等があり、こうした空間で働くと楽しそう!
● 町家を事務所として使うというのは意外や意外だったが、モダンなパソコンや机・椅子がちゃんと空間にマッチしている。ホワイトボードふすまは妙案。
● 町家の外観を保全しつつ、土間のギャラリー、2階の会議室やパソコンルームなど、うまく使いこなしている。この手の(SOHO)利用が、もっと気楽にたくさんできればいいのだが。
● IT技術、NPO活動と町家という取り合わせは、なかなか巧いと思うが、資金が続くかどうかが心配
● 狙いどころは悪くないと思うし、施設も良い。ただし,NPOの運営体制が資金的に大きく構えすぎているように感じる。
● 元の形を壊さず生かした使い方は感心、ただ周辺の建物が情緒がない
● 古い建物をきちんと使っている点は評価します(でも家賃70万円かぁ〜)。
● 経済的制約は十分理解できるが、既存建物と改修部分の質の差が目に付く。Euro Business Center的な新たな空間が日本に誕生する先駆けとなることを期待。
● 家賃を聞いてびっくり。
● ちょこんと座って煎茶などが飲める一休みスポットがあって居心地も味わえたら。
● 居心地の良さが格別。
● 付近の印象も良く、一人で歩いても楽しい。
● お庭も手入れされるとよいのですが


自由記入コメント


=京町家関連
(1)京町家保存・再生の例で、うまく成功していると思うもの(又は地区名)は何ですか?【3つ選択】
1.西陣町家スタジオ 5票  
2.紫織庵 4票
3.四条京町家 3票
3.三上家路地 3票
3.三条通 3票 (三条通関連としてこの他 三条堺町のショップ1票 イタリア料理店アルトレタント1票)
6.祇園新橋地区 2票
この他一票
祇園・花見小路地区,西陣・大宮通(今出川通り南),新町通・松坂屋周辺,四条〜烏丸御池あたり、聚楽老人デイサービスセンター,長楽館(旧村井吉兵衛別邸),NTT西陣営業所(旧西陣電話局),京都市考古資料館(旧西陣織物館),新風館,たま妓,明倫小学校(京都芸術センター),杉本家住宅 ,秦家住宅
(なお、当日見ていない施設を挙げた方約2名いらっしゃいました。)
 
(2)京町家の再生・活用にはこのほかどのような手法や用途が望ましいとお考えですか。
● 町家の再生・活用事例をみると、店舗・ギャラリーが多いように思います。次のステップは、西陣町家スタジオのような若い人々が働ける生産する空間を如何に組み入れて行けるかじゃないでしょうか。
● 現業で使用されること 西陣スタジオは採算が成り立っていないためなりたつようなものがよい
● もっとどんどん店舗などとして気軽に活用して欲しい。それが、次への展開になるのではないかと思う。また採算の成り立つ方法を提示していくことができればよいし、新たに町家を建てる、ことも念頭に置くべきかと思う。
● 老舗商店や本格的な飲食店に活用される立派な事例が多いように見えるが、もっとチープでカジュアルなショップや、SOHO住宅などへ、自由に転用してもいいのではないか(大阪・堀江のように)。
● 外は町家でも内はモダンという例が多かった。何でもありだと思う
● 旧来の市民ホール1棟分の建設費と光熱費を図書館ネットワーク、 Euro Business Center的な都市ワークプレイスに投資されたらどれくらい魅力的な都市空間が出現するか・・。丸ノ内カフェの京町家タイプが京都に出現したら・・・。 
● 老朽化して建て替えざるを得ないような場合、必ずしも昔の様式ではなくて、現代建築を昔の街並みに埋め込むという手法がもっとあって良いと思います。もちろんスケールの調和を図ったり、チープなデザインにならないようにしないといけませんが・・(個人的にはイタリア人かスペイン人のアーキテクトにやらせてみたい)。←これでは「京町家の再生・活用」にならない?                       
● 住んで生活出来るようにすることではないでしょうか
● 町家を様々な用途に活用するのもいいが、やはり住むことが基本であり、住みやすい町家の提案と、新しい町家居住が体験できる施設があるといい。
● 手法をあれこれ考えるよりも、まず、その建物を使い続けてほしい。
● とにかく小・中学校の9年間に何度か社会見学をすること!「子供の頃に見に行った」が大切。
● やはり、街並みをつくるまとまり(群)としての手法

(3)既成市街地における京町家を今後どのようにしていくべきとお考えですか。
● 「維持にお金がかかる」「低層で効率が悪い」ということはあるだろうが、既成概念にとらわれず用途を広げて、極力見かけだけでも残していってほしい。 
● 残すところ、と組み替えるところ空間構成のメリハリをはっきりさせていく事が重要でないかと感じました。
● 町家は単体の住宅でなく集合して初めて成立し、コミュニティも含めた居住システムであり、残すべき地区では面的にきちんと整備し、そうでない地区は単体として新たな機能による再生を目指したらいいのでは。
● 町家は都市住宅の集合システムなので、群として残すことが必要。街区単位でまちなみ保全しつつ、必要な更新を誘導する仕組みが求められる。
● 基本的には、残せるものは残し、使えるうちは使うということでいいと思います。ただ、本来守るべきは京町家で形づくられた職住近接の低層・高密度市街地であって、既存の京町家あるいはその建築様式には、文化的に保存すべき一部(街並みも含む)を除いては、無理にこだわらなくてもいいような気が個人的にはします。
● 住んで生活出来るようにすることではないでしょうか。
● 次世代に繋ぐべく子供達の校外学習の場と日本版“スタバ”のような一服屋(江戸時代は多くあった) 
● 京都は劇的に変化し続ける街であると思う。否定も肯定も私には出来ないが、良い物を残し続ける目を京都人が養い続けてくれる事を望みます。
● お寺の拝観だけで京都の観光の魅力を保てると思うなら放置しても良いと思う。だが、もう手遅れか? 


=高さ規制関連=
(4)京都駅ビルや京都タワー、京都ホテルなど、京都では高さに係わる景観論争があります。現在の市街地及び高度規制をどのように評価しますか。
● 高度規制は非常にわかりやすい規制で賛成です。京都とはスケールが違いすぎますが、赤穂でも、2階建て中心の家並みの上にお寺の本堂の屋根がぽっこり出ている風景をみると、心が和みます。 
● 高度規制をもっと厳しくするべき。
● 京都タワーは許されるとしても、京都というまちの価値を考慮するならば、日本のどこよりも高度規制は厳しく行うべき。
● 60メートルよりさらに低いと良いと思います
● 役所的には本当に難しくて、大変でしょうが、もう少しきびしい規制をかけてもいいのではないですか。
● 景観権という概念は我が国では成立していが、やはり護るべきもの、確立すべきもの。 人が住み続けることができる都市を目指すなら、もっと厳しい高度規制が必要と思う。    
● 大きなマンションが低層の建物の後ろに面的広がっている景観は、いいものではなかったです。でも、環境共生・・・住宅のように建物のボリュームを感じさせないような方法があるんじゃないかと思います。
● 京都は、町家に代表される歴史・伝統の景観と、ビルやマンションのような現代都市の機能を、どのように両立させるかが難しい。商業・業務ゾーンも31m程度に抑え、枢要な立地、優れたデザインのプロジェクトのみ例外的な個別許可扱いとしたらどうか。 
● 高度地区や400%の部分を、道路との関係だけで決めている(京都に限らず・・)のが見えるのは安易に思える。(資料でいただいた用途地域を見ただけの印象ですが。)
● 景観論争は高さの議論に偏りすぎだと思う。高さ以外の要素も含めて、何が京都の街にとって景観上重要なのか、そのためにはどういう規制や誘導をすべきかについて市民レベルで議論すべき。
● 日本の歴史上、常に最先端のデザインは京都から発信されたはずです。(高さで言えば東寺)高さよりも、周辺との環境を重視すべきでしょう。私ならば「黒川先生」の超高層案であっても、京都駅ビルならば、妥当性を感じます。  
● 京都に来たと思わせるシンボリックな建物なら高度規制をなくすべき地区もあるのでは?


(5)あなたなら、現在の市街地を見てどのような景観規制・誘導を行いますか
● 高さは今のとおりに規制し、既存のビルの外灯をモダンに揃える。周辺の町家や近代建築の建物がライトアップされて、観光客や地元の人にその存在をアピールする。
● 容積率と斜線制限でなく、高さと壁面線による規制にする。内部街区のストリートから見た景観誘導は、効果が出てくると思う。
● 隣接する町家を遮るマンション計画は、景観規制を行うべきであると思います。
● 景観的にすぐれた建物を建てることがメリットとなるような優遇税制、融資、補助金制度。道路と同じように、都市の建物、特にファサードは完全に個人のものではないくらいの発想の転換が必要。
● 町屋の多い通りは、建替えても町屋の高さに揃える−−非現実的でしょうか?
● 現実的ではないとしても、エリア(高さ・景観)を分けて、混在を避けたいですが・・。
● やはり、ゾーン分けですかね。 
● 基本的には、市民がルールを決めるべきだが、個人的には、町家を残すべき地区では町家以外の建築ができないような厳しいルールを地区計画などで決めることが必要だと思う。
● ただ一つ言えるのは、「集団規定の性能規定化」という訳のわからない理由で導入された「天空率に基づく形態規制」(総合設計の許可基準)だけは絶対に採用しないほうがいいと思います。

 
(6)今後、京都の都心部はどのような方向へ再生していくべきとお考えですか。
● 東京が「(超)高層+足元空地」型 に流れるなら、京都は徹底して中低層・高密度形の市街地の維持又は再生を目指すべきでしょうね。そして陽があまり射さないような怪しげな街の中で、魑魅魍魎が跋扈するような・・でなくて、コンテンツ系やデザイン系のアーティストや起業家が育まれているような、1200年の都らしい奥の深さを見せてほしいと思います。
● 町家等を個別に見れば、京都人は昔と今をバランスよく融合させるのが実に上手いと思った。自信をもって、古い建物の外見を保ちつつ、内部はどんどんモダンに、の路線を突き進んでいただきたい。
● 景観へのインパクトが最も大きいのが、今後まだ増えて行くであろうマンションだと思います。つまり町家再生もこうした建物のデザイン等を如何に誘導するかにかかっているんじゃないでしょうか。
● 古い町家や建築物がポツンと保存されているのではなくて、町全体で“揃いのもの”を一つ着て、前向きに共存しているとう呼吸を合わせるべき。
● 都心部に中でも観光、産業、居住など、地区ごとにその性格のメリハリをつけるとともに、特に町家という居住システムを活かした、生活者にとって住みやすい街を目指すべき。
● 大都会である今、困難とわかっていても、日本のなかでせめて京都だけは、ビルの谷間に沈まない寺社や町家の類が生きつづける、低く軽やかな都市であってほしいと思う。(回答になっていなくてすみません・・) 
● 格子状の街路と細長い敷地の町家からなるシステムを現代的に活かし、それ自体を生きた文化観光資源として、訪れる人にとってまちづくり学習の端緒とする。
● 生活の息づく活気が欲しい。
● あたりまえの職住近接型都市。
● 再生ではなく、更なる進化ではないでしょうか?相対的に考えるならば、決して悪い方向にむかっているとは、思えません。

       
=全 体=
(7)今回の企画に対する意見等
●京都と言えばお寺巡りしかしたことありませんでしたので、今回京都の生活文化のようなものに触れられ勉強になりました。さっと歩いただけなので、次回京都に行く時はもっとじっくりまわりたいと思います。歴史の長い町なのでそこら中にネタがあって、面白いと思います。しかし、今回祇園などを歩いていて、京都の経済も変わってきており、厳しい状況なのだと感じました。(Y.Yam-)
●修学旅行以来何度か訪れた京都ですが、今まではお寺しか行ったことがありませんでした。今回は初めて出会う京都ばかりで、岸田さんのご専門ならではのきめ細やかな企画に感嘆しました。それにしても、そこらじゅうに老舗、想像を越えた祇園の暮し・・・やっぱり京都は千年の都、他のまちとは格が違いますね。(S.Hirai)
●一人ではなかなか行けない所に行けたのが良かった。(A.Tik-)
●個人ではなかなかわかりにくいところも歩くことが出来て、いろいろ楽しめ、また参考になることも多かったです。ありがとうございました。(F.Kam-)
●岸田さん、先日は大変お世話になりました。親切丁寧なガイドにより十分に楽しめて、一つ一つが感慨深かったです。まさに多くの人の手を募るべきですね。京都という町に「閉鎖的」という言葉は薄れつつあり、良い予感がしてます。がんばってください!!(Y.Ito-)
●観光とは違った視点で街を見られたことが興味深かったです。京都の町屋再生などが先進的なことに驚きました。全国のよいお手本となってください。岸田さんありがとうございました.(H.Har-)
●京都の歴史的町並、建て替え等で変わりつつある町、そして明治期に大きな区画で創られた施設。様々な京都の町の側面を見ることができた上に、新しい産業が歴史的な建物を活用して羽ばたこうとしている事例についてもお話が伺えるなど、大変充実した“まち歩き”でした。岸田さんご苦労さまでした。(Y.Ide-)
●とても充実した2日間でした。京都の町は、中心部の普通の街区をとことん歩き回ってこそ真価がわかると改めて認識しました。最後の南禅寺水路閣とインクライン、そしてオプションの無隣庵も、見事な終楽章でした。熱意を込めてコース設定し、まちづくりを語ってくれた岸田さん、ありがとうございました。(R.Ota-)
●都心部、西陣、岡崎と様々な京都を体験し、町家再生の実際や、疎水などの土木遺産など、京都の面白さをたっぷりと味わうことができました。岸田さん、本当にありがとうございました。京都という街はまだまだ奥が深そうなので、ぜひ第2弾もお願いします。(T.Kur-)
●都市の中にきれいな川が流れ、東山などの質の高い景観や意匠性に優れた町家など、あらためて京都の凄さを実感することができました。町家、街並みなどが、外部商業資本に一過的に利用され、破棄されるのでなく、京都から、失われたこの数十年間を取り戻すような都市再生のルール作りが出現することを期待いたします。(Y.Kaw-)                                 
●2日目だけの参加でしたが、久し振りの京都を楽しめました。コーディネーターさん、ありがとう。(T.Nag-)
●きめ細やかな企画に感服いたしました。また、大阪企画を検討したいと思います。是非どうぞ。(N.Tan-)
●少々欲張りすぎましたかもしれません。そのため、じっくり見られる家が少なかった。私にとってはほとんど元の間取りの住宅をうまくつかった食事処や町家再生のための西陣デザイン事務所が印象的でした。門を入ってすぐの明かり取りの空間、その右手の玄関に高めの床の取り次ぎの部屋があり、洋風の応接の間がくっつき、廊下で中庭をみながら奥の間に続く。また、その一方烏丸姉小路の電電公社のビルの正面を残し、その裏を円形デッキテラスのある商業空間として再生させた「新風館」なども町家空間とは対称的な空間で印象的でした。しかし、いずれも、そこには、現にある大切なものを有効に使っていこうという姿勢があり、20世紀の反省を踏まえた今後の21世紀のまちの在り方であろうと考えさせられました。最後に「蹴上げ」近くにある山縣有朋の別荘「無類庵」で、庭をながめながら抹茶をいただき、心地よい風に吹かれて、一呼吸したとき、鐘の音が遠くから響き、至福の時もいただいているんだと告げてくれました。(T.Saw-)


コーディネーターより
 皆様、遠いところからお越しいただき2日間お付き合いいただきましてありがとうございました。また、あたたかいコメントをいただきありがとうございます。京都に来て3年強、都心のまちづくりの仕事をしていますので、ずーっとこの界わいを歩き続けています。
今回は、久々に仕事を離れた立場で歩いてみて、当初感じたいろんな疑問(なんでこんなにバラバラな市街地なの?とか)を思い出したり、反面、改めて京都の良さを感じたりしました。皆様の意見もとても新鮮で、ああ、すっかり私も地元人、と思ったり。。。
現場のまちづくりをやっていて、できそうでできないのが、メリハリのあるエリア分けや厳しい規制の地区計画なのですが、最近すこしずつ進めて来ています。一方、市内の主力産業でもある和装産業の停滞等を踏まえると、規制ばかり強くしても空洞化が進むばかり、という実情があります。変ないい方ですが、町家にお金が回る仕組みづくりといったものを考えていくことが、こういった既存ストック再生をもう一段階ブレイクさせることになるのではないかと考えています。
 TEKUTEKUでは京都の魅力のほんの一断面しかお見せできませんでした。またのお越しをお待ちしております。(里)


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