まちづくり企画17・自由研究26■瀬戸内企画2003.7の記録


teku-tekuまちづくり企画17・自由研究26


テーマ●福山・鞆の浦・竹原・大久野島 ・尾道
     -古き美しき町並み・湊の光景・瀬戸の夕凪・知られざる仰天スポット…その保存・開発・活性化を考える-


日 時●2003年 7月19日(土)13:20〜20日(日)17:00ごろ
コース●7/19福山駅→(バス)鞆、架橋問題の説明(松居さん)、街並み・太田家見学、医王寺→(バス)福山、中心部見学(福山LOTZ・大黒町・通町)、懇親会、市内宿泊。
    7/20 (日)福山854→山陽線・呉線→竹原1001、町並み保存地区見学・散策→竹原1152→忠海・船1210→大久野島、昼食、毒ガス資料館・軍施設廃墟見学、船1543 →忠海1609→(三原→)尾道1643、「寺町コース」駅〜天寧寺〜海岸通、夕食・解散
参加者●井出幸人、猪原千恵(19のみ)、大竹亮、大竹和子、大竹柾也、大竹柊子、梶川義実、河原佳明、栗原徹、鈴木尋朗(20のみ)、千川明、原久子、平井志都葉(20のみ)、野中るみ子、横堀肇、恒川磯雄(コーディネーター)、     (以上 延べ16名)。
    鞆地区現地案内協力:松居秀子(NPO鞆まちづくり)


[参加者の意見]


1 鞆の浦・港湾地区 AAAAAAAAAABBBB 総合 4.43
・かつての繁栄を感じさせる歴史的建築物や土木遺産、海・山など、様々な要素が調和し非常に美しい景観を形成している。
・江戸時代の土木遺産が保存されるのではなく未だ現役として活用されているとても魅力的な場所でした。
・全然知らないところでしたが、ひっそりと古く美しい町並みが活きていて、港とともにとても良い印象でした。
・円弧を描く内湾、外洋に突き出た岬、湊を取り囲む斜面など、きわめて特徴的な景観であり、一度見たら忘れられない風景。
・一ケ月前に大田家住宅に伺ったときにも感動しましたが、とても内容の濃い文化遺産だと思います。
・2つの方向があることから、かえって緊張感があり、迫力があった。
・次回訪れる時は、ぜひ月明かりの鞆の浦をみたい。この静けさを橋と道路によって壊されるということは考えたくない。
・思っていたより大きな港だった。 
・静かでとても良いところ。
・瀬戸内の港らしい雰囲気が良かった。
・日本人は海と密接に関わり、文化形成に大きな影響があったのに、これらの歴史を正しく伝承することに我が国は、あまりにも冷淡。その貴重な遺構がこのように残っていることを嬉しく思う。
・コンクリートで固められ、無機質な大量資材の荷揚げ施設である港とは全く異質な、魅力的な空間に感動した。港に人が溢れ、活気に満ち、立ち並ぶ蔵に荷物が出し入れされる往時の鞆を正確に想像はできないが、平地に存在する道路と結びついた都市とは全く異なったさぞかし華やかな海辺の都市空間だったのだろう。
・1400年にもわたる鞆の港湾としての遺構を破壊してまで、大型船の寄港できる港湾施設やヨットハーバーを中心としたマリンレジャー施設、高級宿泊施設が必要だろうか。
・人を感動させる美術品がしかる施設で保存され後の時代に継承されると同様、すぐれた景観も後の世に伝えられるべき。
・鞆の開発計画のなかで景観に対する改善策として提示されている常夜灯の沖合いに掛けられた架橋の完成予想図(右)を見ると、これで景観が保全されていると言うならいったい…。


2 鞆の浦の街全体 AAAAAAAAAABBBB 総合 4.43
・古いだけでなく生かされていて驚きも感じた。
・海と山に挟まれ、小さな湾を囲む狭い一帯に、町が密度濃く凝縮している。往時のままに、豪壮な旧家や軒を並べる商家が、迷路のような小径のそこここに出現する。ぜひ保存を。
・こぢんまりまとまっていて歩き回るには丁度良い広さ。
・少ない平地に高密度な市街地が形成され、味わいのある街並みとなっているが、あまり活気が感じられないのが残念。
・外部から訪れる人にはすばらしいところだが、実際に住む人にとっては、もう少し便利かつ安全な街になるべきでは。
・鞆の自然と共存して生きてこられた住民の方々の生活感が息づいていてとてもわくわくしました。今度は一泊したい!
・漁家のなんらかの活性化が必要と思われる。
・散策コース(マップ)などがあり、町全体の滞在時間を延ばすとよいと思う。おいいしい魚もあると思いますが、食事をするところがないのは残念。保命酒の町をもっとアピールを。
・ものすごい歴史の蓄積を感じる。漁師町には入り込めそうもないが、数日滞在するには良さそう。牛窓や下津井なども、いい雰囲気があると思われる。
・漁家のなんらかの活性化が必要と思われる。
・鞆の再開発の題目に「地理的、幹線陸路交通網からの孤立」があげられているが、他の地方都市が進めてきた都市への幹線交通路の誘致は通過交通の増大や巨大都市への消費行動の一極集中を促進しただけで、地域の豊かさにはあまり貢献していない。鞆の特徴である港湾と都市、住居が近接して作り出している魅力的な空間は他にない貴重な空間。
・太田家の座敷のすごさは驚異的。町全体の建物の質の高さも特筆すべき。
・やはり、高い文化が流入した中継基地には高い文化が生まれたのは自然なことか。
・これまで色々な機関がこの町の振興策を立てているが、過去の計画の中で、本当に地域に必要な施策とむしろ害を及ぼす施策を峻別すべき。


3 福山市・福山LOTZ AAABBBBBBCCCCD 総合 2.71
・楽しく暮らしやすそうで良かった。
・店舗や商品の構成などはとても良いが、いつまで続くかが課題。本当の評価は2年くらい経ってから。
・普通の建物だが、テナント構成で都会的な賑わいを創出。40万都市の活力に必要な施設だが、採算面の持続が課題。
・天満屋福山店よりは活気があると思うが、ようやく各フロアーをうめたのか、空間にすかすか感があった。
・市内の客の取り合いなのだろうか。難しい問題だ。
・オープン1年以内の連休にもかかわらず客がいない。若い人向けの店舗だが購買力を見込んでの計画だったのか。
・今後もむずかしそう。駅からの道が、パーキングの裏のような道で、これらの道が魅力的になれば違ってくると思う。
・LOTZは店舗としては気持ちの良い空間だが、建物のグレードと販売している商品単価がバランスせず違和感が残った。
・若者の購買力に頼るだけで市街地の活性化が図られるとは思えない。
・特定の企業の経済波及効果に頼ってきた自治体が、独自にどのような町づくりをするか、見守りたい。
・治安の悪い場所として福山市民の間では有名。そごう閉店後のさびれ方がひどく、まだ余韻を引きずっているように思う。
・立地条件が悪いので、商業施設だけでは厳しいだろう。


4 福山市大黒町隈界 AABBBBBCCC 総合 2.78
・大正ロマンの雰囲気で景観的には◎。暗い鉄道高架の先にある立地の悪さが気の毒。しかし、駐車場を設けたアーケードということなので便利だと思うが、店舗次第なのか。
・活気はないが、建物のデザインを保っているのはえらい。
・感じは良いが、集客にはイマイチという感じ。
・20年前からアーケードを取り払い洋館調レトロを統一テーマにまちづくりを進めた努力に敬意を払うが効果は中途半端。
・風情はいいのですが、それだけかなあと。続くアーケードも段々衰退している。
・以前にアーケードを支えていた鉄骨柱をうまくデザインしている。緑も多く通りとしてはいい感じだが、各店舗とも人を引きつける商品構成ではないような気がする。
・いろいろと頑張っているのはわかるが、やはり活気がない。デザインについてもセンスはもう一歩。
・アーケードを外したことは良かったと思う。もう少し時間がかかると一皮むけそう。


5 福山中心市街地全般 AABBBBBBBBCCC 総合 2.85
・思っていたよりポテンシャルが高い都市であり、アーケード商店街には今風の店舗がかなり多く、活気が感じられた。
・駅前にこんなに商業等が集積しているとは予想していませんでした。本町ファースト、JOYふなまちそしてLOTZへと回遊空間が創造できるといいですね。
・40万都市なりの風格があったと思う。
・たまたまお祭りをやっていたのかもしれないが、人通りが多く活気があった。
・A西の町特有の空気を感じる町です。
・大型店や商店街が集積し、歩行者優先の歩きやすい街だが、駅を挟んで東西に広がり、特徴に乏しく散漫な印象。
・結構賑わっていると思う。中心部に人口が増えれば賑わいは増すだろう。
・地域商店街の企画型のイベントが行われている商店街を歩いていると、他の沈滞している地方中核都市よりは状況がましな様に感じた。都市の中に住民の生活を感ずることができる。
・もともとあまりポリシーのない街ですが、駅周辺はそごう閉店後ひどくさびれました。郊外型の街になっていっています。
・わざわざ観光にくる場所でもなく、駅周辺の印象はよくある地方都市。お城があるのに高架で隠れてしまいもったいない。


6竹原・街並み保存地区 AAAAAAAAAAABBBB 総合 4.47
・歴史的街並みがかなりの集積できれいに残っているのは奇跡に近く、街並みも良く整備されている。
・やはり古い街が活かされていて、観光としても楽しめる面もあり良かった。
・観光客は多かったが、各店がいわゆる土産屋になってなくてよかった。メインストリート以外の家々も、竹原特有の出格子で改修されるなど、保存再生の地域的拡がりを読みとることができた。
・ガイドブックでもあまり紹介されていない小さい町にこれほどの街並みが保存され、きちんと整備されているのは驚き。観光客向けの商店だらけにもなっておらず、落ち着きがある。
・あまりにもできすぎて、映画のセットを見ているような気がする
・非常に上手く保存・整備されている。寺の鐘楼からの眺望、石畳の散歩道、控えめな商店(観光みやげ物屋も少ない)、修景された民家など、全体の雰囲気がとても味わい深く、完成度が高い。
・駅から保存地区までのアクセスの看板、地図が整っていて町並み保存活動がうまく機能している例に挙げられる場所。藤井酒造のお酒はとてもおいしかった◎。
・落ち着いているが、落ち着きすぎている感じがする。
・もっと観光客が入ると思っていました
・よく保存されているが面白みにはやや欠ける。新しい町が塩田跡地に築かれたので古い町が残ったという経緯は、町並み保存がいかに運に左右されるかを象徴している。
・努力して整備した効果が出ている。街並み保存→観光地化→来街者増加→地域が賑うという方向になっているのではないか。商店街は厳しいようだが。
・頼惟清宅のような興味深い建築が秩序だって保存されているが、建物、町並みが整備されているだけで、このような質の高い空間がどのような文化のもとに花開いたかについては情報が不足ぎみ。建物の実物展示だけではもったいない。


7大久野島毒ガス資料館 AAAAAAAABBBBBBB 総合 4.07
・小さな資料館だが、そこで展示されている内容は非常に重い。このような島があることを今回はじめて知った。
・隠蔽された戦時中の痛ましい事実が明らかにされたのがS59年・・・、まだ解決していない中国の毒ガスの処理等、戦後はまだ続いていることを実感させられた。
・小規模ながら価値ある資料館。
・旧日本軍の毒ガス製造の実態と悲惨さを伝える意味で、歴史的にも今日的にも大変に重要・貴重な施設。充実を望む。
・大久野島が毒ガス製造の地だったなんて全く知らなかった。更に展示物を充実させてほしい。
・展示がもっと多い方がいいと思う。
・リゾート地に一見そぐわない負の遺産をきちんと展示しているのは素晴らしい。現代に関する展示がちょっとだけあったが、化学兵器禁止条約の現状や保有疑惑国の問題まで取りあげれば、今日の問題を親子で考えるよい教材になる。
・負の遺産であっても広く知らしめればプラスに転じるのではないかと期待できる貴重な施設。
・毒ガスと国民休暇村との対比がちょっと不思議。
・楽しいハイキングコースと資料館とのギャップがある。毒ガス・戦争についてじっくり考え、取り組める工夫もあると思う。
・良い勉強になった。もう少し詳しい展示及び頒布資料が欲しかった。


8大久野島全体 AAAAAAABBBBBCCC 総合 3.53
・一周4キロほどの適度なリゾートアイランドで(ウサギもいて)賑わっているが、迫力ある軍事施設の廃墟が随所に散在していて驚く。島全体を戦争と平和のテーマパークと考えたい。
・リゾート施設と廃墟との対比が不思議な雰囲気を生み出している。発電所跡はすごい迫力。
・廃墟と化した発電所のがらんどうの清々しさ。滅びゆく人工物を自然が侵食していく様は、負の遺産であれ美しい。
・家族連れで賑わっている砂浜の明るさと、相反する山中の重々しい陰鬱な感覚が共存している。
・そのままでもちょっとした探検気分を味わえるテーマパークにできそう。
・遺構がちょっと立派すぎた。
・リゾートと過去の戦争の残骸が共存する不思議なコンセプトの島。 みなさんはリゾートに来るのでしょうが、毒ガス資料館をみているとリゾート気分にはなれませんでした
・廃墟のある暗い島ではと思ったらファミリー向けののんびりレジャー島だった。もっと商売気をだすなら、フェリー乗り場にレンタル自転車のブースを設けるとか、アイスクリームの自販機や食べ物屋を設けるとかあると思うが…。
・一晩滞在すると良さが判ると思う。
・このような島の施設に日帰りできるところに住んでみたい。現在の施設がこれからも魅力を持ち続けるかは若干不安。
・それにしても、このような美しい島にあのような恐ろしい施設を造った施政者に怒りを感じる。


9尾道・古寺めぐりコース AAAAAAAAAAABB 総合 4.69
・どこを撮っても絵になるフォトジェニックな街でした。
・コンパクトな中に魅力的な路地や家並みが凝縮している感じで、徒歩でほとんど巡れるのも魅力。何度訪れても、新しい発見がありそうな気にさせてくれる町。
・観光客に散策しやすいコースを提供しつつ、媚びていない。そこに尾道という町の日常を譲らない住民の姿勢を感じ、快い。
・斜面まで広がった市街地は階段や路地などにより独特の造形を生み出し、非常に面白い街並みができあがった。
・線路の北と南の対比がよい。生活は大変だろう。
・狭い海峡(水道)に面し、平地がほとんど無い特異な街。急な坂道と迷路に沿った家々、海を見下ろす眺めが独特(神戸北野異人館街に酷似)だが、中腹のコース設定なので商店街や海とのつながりを感じにくい。
・古寺コースの看板がうまく設定されいた。整備しないと、観光客は本当に迷子になって私有地に入り込み地元の人たちにも迷惑になったのでしょう。
・「尾道に道なし」のたとえを実感。人は三次元空間を移動できることを改めて認識。平面的に広がる都市とは全く異質な空間体験は新鮮だった。
・またゆっくりと味わってみたい。
・坂道がとても多く、疲れました。



■鞆の浦は目下、景観保全か開発か差し迫った状況ですが、実際に現地をみてどのように感じましたか。
・かなり古い歴史を尊重すべきと思う。現実と重なる何らかの方向を探るべき。
・予想以上に、保存に値する漁港の街並みがあったと思う。ディズニーシー日本版的街並みでした。
・あのすばらしい景観を破壊するのは本当にもったいない話だ。
・歴史的な貴重な財産が今も生きている。しかし、通過交通の処理、地域的な防火面での改善の必要性も理解できる。歩いてみると主要道路を部分部分拡幅そうな所があり、こうした所をうまく設けて交通問題等解決できないものだろうか?
・のどかな漁村に立派な道路はいらない。
・鞆の浦には歴史的建築や港湾施設、美しい景観といった素晴らしい資産があり、これらを最大限に活かすことこそが街の繁栄につながる。その意味で道路の建設や埋立など安易な開発で資産を失うことは街の将来にとり大きなマイナスだ。
・このような昔ながらの姿を残すものも今後、価値を見いだせるのではないか。いま、日本古来のどの光景にも、現代風の橋・道路・施設があり、どれも似たようになっています。
・私はそのままの景色が好きです。
・50年前の計画というのは、日本橋の上に高速道路を架けた時代の感覚だったのでしょうが、現在は景観を重んじる時代に変わっている。道路と橋の結論がどのようにでるか現時点ではわからないが、狭い道路で不便さを感じているのならば、観光車両については町中に入らず観光客は徒歩で回るように徹底する等の交通面の改善が必要。
・鞆の浦の価値は、湊の自然景観と都市や建物の構造が不可分の関係にある。利便性や防災上の道路は必要だが、現在の案では貴重な文化的資産を損なう度合いが大きい。21世紀は美しさや成熟度が地域の真価となる時代であり、行政のプロは、文化的価値と都市機能向上とが両立する方法での解決に努力すべき。
・景観を保全しつつ利便性をあげる。トンネル案が資料に書かれていたが、トンネルがよいのでは。
・鞆の浦地区までの道路は良いので、通過交通のための道路は今さら必要ない。道路で防災も開発もというのではなく、地区内はむしろ交通を制限したほうがよい。
・これほどのすばらしい建築群・景観が国から全く未指定とは信じられない。確かに単独の建築は重要文化財に指定されていても、その建物が生まれた、我が国の文化交流、交易の優れた遺構の港湾、都市空間とともに整備保存されなければ無意味。
・大量の観光客を誘致するだけの施設整備と鞆の振興は相容れないと思われる。
・万葉の時代から受け継がれた景観を壊すにあたいする施策か、検証すべき。


■今回歩いた地域の街並みや歴史的建物の保存と活用、生活との共存などには今後何が必要でしょうか。
・高齢者の利便性を上げるためにミニバス・電気自動車などを運行させたらよいのではないか(観光客も乗ることができます)。若い人の減少など、橋を作っても即、活性化には結びつかないと思います。何か産業があるといいが、産業がないと若い人が住み着かないのでは。
・地域住民の意識改革?隣接している福山中心部の住民の鞆の浦の評価というのは大変低いと思う。まずは足元の評価を上げていっては。地元紙や雑誌などにしっかり売り込めば、20代〜40代の層には高く評価されると思う。この世代の人々は福山中心部はなんとなく「つまらない」と思っている人が多く、ちょっとした買物などは岡山市や広島市まで行ったりしていますので。ただし魅力的なテナントというのが必要でしょうが。
・次の世代を担う若い人々の力が必要。そのためにも、若い人々が、こうした街へ回帰できるための仕掛けあるいは、仕組みづくりが重要になってくる。
・歴史的建造物で現代生活が営めるリフォーム術とか、歴史的建築物内でインテリジェント・オフィスをつくる方法、あるいは歴史的街並とマッチした現代オフィス建築や現代住宅の新築モデル、とかいったものを考えていくのも必要あるのでは。「保存=観光スポット化」だけだと、喫茶店と土産物屋ばかりの街並みになるのも心配。
・前のTEKUTEKUで見学した京都の町屋の再利用の試みとかが参考になるかも。(文学的な視点からは、廃墟の存在も時には許されてほしいものですが。)
・街並みや歴史的建築物を博物館的に保存するだけでは意味がなく、有効に活用することが重要。そのためには、オリジナルにこだわるだけでなく、必要な機能の付加や新たな技術の導入など、現代の生活に合わせたして柔軟な発想での再生が必要となる。
・歴史的建物などを保存しつつ、それを地域内で利用し、人々とのふれ合い、共同体としての地域を再生する。
・町並み保存で成功した所の共通点は、公開されている大きな旧家がある、酒屋がある、歩いて回れる、補助金を上手に利用する、だと思います。家の保存、町並みの保存にしても、実際の住人にとって住み続けるのは難しいので行政側で改修の補助金をつけるのは必須だが、地元の方たちが町並みの美しさを意識させ保存の意識をもつことが一番必要。残念なことに鞆の浦は行政側(市)に保存の認識がなく、町並みの重要さの認識が一部の住民にも欠けている。万が一、橋の建設になった時に、国立マンションのように景観を壊すということで訴訟という方法もあるかと思うが、小さな町での争いを避けるためにも、狭い道路による交通問題の改善のための話し合いを何度も行いお互いの理解が必要になると思う。
・単なる歴史の保存ではなく、現代の仕事・生活の場としながら外部に対して表現することが基本。そのために、ファサードを保存・再生しつつ、建物内部は現代的に改造することも一案。また、車との共存、つまりエリア内の狭い道路は歩行者優先とし、アクセス道路沿に駐車場を作る方法も有効。加えて鞆の浦については早期に伝建指定など「保存宣言」が必要。
・長い歴史により構築された街並みの価値を地域住民が良く認識すること。
・このような建築、都市美がどのように作り出されたか、理論付けが不十分。岡山、広島の住宅建築に共通する美意識がどのように醸し出されたか、積極的な調査が必要。観光だけでなく都市の中に散在する良質な建築、町並は市民全体の財産。道路の舗装に公的資金が使われて、都市の良質は景観が個人の責任にだけまかされるのは不自然。


■福山のような地方中都市の市街地活性化についてどう思われますか。
・福山から発信できる企業があるとよい。高度経済成長時代の工場は結局、安い土地と人が利用されただけなので、自ら産業を起こす徳島のジャストシステムのような企業があるとよい…となると人材なのでしょうか。福山出身で東京などで生活している人と会議を開くとよいのでは。地下道でギターを抱えて歌っていた若者が3組いた。佐賀ではないけれどそういった若者に期待したいところ。
・地方の地方中心都市としては元気があるほうじゃないかと思う。ホテルの集積がこれだけあるのだから、こうした施設を活用する人々をターゲット(出張族)にした仕掛けなどがもっと駅前にあるといい。
・ほとんどの地方都市で中心市街地活性化の必要性がいわれるが、都市構造が大きく変化している中で、かつてのような商店街の繁栄を取り戻すことは極めて難しい。
・まず活性化とは何を目指した活性化なのかについて、市民レベルで十分議論してゆくことが必要だと思う。
・これからは、地方中都市が充実し活性化すべき。
・備後地方の中心都市にふさわしい歴史文化、経済力、都市構造をそなえているが、人口40万という規模は微妙で、都市間競争の時代に、他の都市や郊外部にない魅力を創れるのか正念場。既存商店街をめぐる環境は厳しいが、LOTZの波及効果で駅周囲のエリアに新味が出せるか。
・外部のテナントを引き込むだけでは消費を増やすだけ。地元企業、産物の振興が不可欠。
・地元中小業者の育成、保護からはじめなくては力を回復できない。
・経済効率一辺倒が良質の町づくり、家つくりを阻害している。買いまわりのための商店街は保護すべき。
・どこも不況なのに若者向けの大型店舗を作っても、それだけの購買力が無ければ難しい。
・ピーク時と比べた評価ではなく、20年後の人口が今より少ないことを考えた都心像が必要だろう。

■その他、今回の企画に対する意見・感想など
・充実した企画をありがとうございました。瀬戸内海の島々の景色は素晴らしく、みななぜこの景色を捨て都会にでてしまうのだろうかと考えさせられた。帰りのバスで「東京より尾道の方が好きだ」といった若者のことばが印象的。若者がみなそう思える町になるとよいと思う。HA
・今度は是非、広島県立歴史博物館(福山市)に行ってください。中世草戸千軒の街並みが復元されています。開館は結構古いですが、一見の価値はあると思います。福山の歴史もわかります。IN
・岡山より東は小さいときに海水浴などで行ったことがあるが、西方面は今回が初めて。瀬戸内特有ののんびりとした雰囲気、海に浮かぶ島々の素晴らしい景観、改めて感動した。緻密なスケジュールのおかげで、非常に合理的に、魅力的なまちを歩くことが出来ました。何時の日か、対岸に見えたTEKUTEKU四国も出来るといいですね。ID
・自分にとって瀬戸内は遠い場所なので、この企画がなかったら絶対に行けなかったと思うので、参加して良かった。TI
・一部だけの参加でしたが、瀬戸内の文化と繁栄の歴史の一端を感じることができた気がする。この地域の町や島には、まだまだ魅力的な場所がたくさんありそうで、また訪れてみたいと思います。SU
・1日目が参加できなかったので、皆さんが絶賛していた鞆の浦を見られなかったのが残念。2日目は盛沢山ながら、変化に富んだ訪問地と、移動による小休止のおかげで、いつものTEKUTEKUより疲労感が少なかったです。瀬戸内出身者として私も晴れがましい思いがした。HI
・鞆の浦、竹原、大久野島、尾道とそれぞれに個性的な街を楽しみながらも、賛否分かれる開発や毒ガス工場などの重いテーマにも取り組むという非常に意欲的な企画だったと思う。鞆の浦と尾道には、ぜひもう一度じっくり歩きたいと思う。KU
・それほど観光地化されておらず、とても内容のよい街(鞆、竹原…)がみれて良かった。福山の街も良かった。西の街の雰囲気を楽しめた。OK
・坂道はあるきにくかったけど、すごくあせかいて楽しかったです。OT
・中核都市・福山の中心街、危機に瀕する鞆の浦、街並み保存が進む竹原、仰天の廃墟・大久野島、そして不思議な街・尾道・・・と初めて経験する所ばかりで、とても興味深かった。特に、山と島が迫る海岸の街という瀬戸内地方、広島県東部の独特の風土を体得できたのは大きな成果でした。力のこもった企画をありがとうございました。OR
・2日間で電車・バス・船を駆使し充実した計画をくんでいただきどうもありがとうございました。NO
・鞆の浦、竹原とも、行ってみたので楽しかった。欲張りTEKUTEKUなのでどこへ行っても時間の余裕がないが、鞆の浦はもう少しゆっくりしたかった。船に乗ったことは瀬戸内企画らしくて大変良い。次回を楽しみにしています。KJ
・瀬戸内海の美しさ、豊かさにはじめて触れた今回の見学は非常に貴重な体験をすることができました。これからも鞆には注目して行きたくおもいます。KW



【コーディネーターから】
・鞆の浦の差し迫った状況については、少し前まで地元の私が全く不勉強だったのですが、この機会にいろいろと知ることができてよかったです。鞆の架橋問題は何人かの方も指摘するように、道路=自動車交通問題であり、私は「既存道路の改良と、観光など地元民以外の通過交通の排除(+平地区までのバス増発)」で解決するしかないと思います。
・また、景観破壊には国(文化庁?)がもっと乗り出して規制すべきなのではないでしょうか。
・鞆の太田家住宅があんなすごいとは知りませんでした。2日目昼食時も含めて時間配分にまずいぶぶんがあり、鞆・福山市内・尾道をみる時間が少なくなってすいませんでした。
・暑さ(雨)が心配されましたが、適度な曇天で一応予定通り回れてよかったです。
・鞆で案内していただいた松居さん、遠方から参加の皆さん、ありがとうございました。
・山陽筋はまだまだ見所が多いので、機会あればまたこちらでお会いしましょう。恒川磯雄。


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