ミニ企画■代官山企画2003.12の記録


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TEKU-TEKUミニ企画「代官山インスタレーション’03」の記録

■日時 2003.12.6(土)10:00〜11:30(別の日程による参加をも含む)
■参加者 北川フラム+青木理惠(コーディネーター)
青木伊知郎*、青木惠次郎、青木優実、井手幸人*、鎌原史英*、倉島美和子、栗原徹*、重永真理子*庄山典子*、田中佐和子、飛田洋二、藤本俊幸、森かおり、脇野真澄*、脇野陽子(計17名)  
会期中個人参加者 大竹亮*、野中るみ子*、水谷晴子*、溝辺正浩 他数名
(*印はアンケート提出者、以下記載)


■アンケート回収者(10名中 男:4 女:6 30歳代:4 40歳代:6 代官山エリアの来街者:10)
★来街者の方にうかがいます。今までに代官山へ来たことはありますか?またはどのくらいの頻度で来ますか?

半年に一回   3
年に一回    3
めったに来ない 4


★「代官山インスタレーション’03」を何で知りましたか?
 新聞(朝日)  1
 人から聞いて  8
 その他     1


★あなたが見た作品に○をつけてください。

[1]コノハ・ミーティング   ○○○○○○○○○○
[2]代官山ささやき寄席    ○○○○○○○○○○
[3]街の貌      ○○○○○○○○○○
[4]意識の光景    ○○○○○○○○○○
[5]Back to the Feature   ○○○○○○○○○○
[6]EPSP   ○○○○○○○○○○
[7]予め失われた音声より   ○○○○○○○○○○
[8]AIR Station   ○○○○○○○○○○
[9]アミダコミュニケーション   ○○○○○○○○○○
[10]鼓動プロジェクトin代官山の巻   ○○○○○○○○
  
★以上のなかで、特に面白かったもの、印象に残ったものはどれですか?(複数回答可)
[1]コノハ・ミーティング(1)●ほほえましい空間になっている。だけど落ち葉を一枚一枚透明な袋に入れるという行為、現代の日常生活のじれったさ(例えば小さなお菓子がひとつひとつ密封されてないと売れないというような)を示してもいる気がした。
[2]代官山ささやき寄席(1)●不気味だったんですが。
[3]街の貌(1)●街の記憶として常設にしておけば?と思った。
[5]Back to the Feature(3)●代官山に集ういろいろな人たちの姿と活気を象徴するようでいて、しかも「この人たちどこへ行ったの?」「この先で何をやっているの?」と想像力をかりたてる。●人々はどこへ行ったのか、想像がふくらみます。
[6]EPSP(6)●とにかく、美しい空間だった。静かでいつまでもいたい。●自然に納まっていて、ベンチにもなる居心地いい空間です。●建物と一体化し、本当にすばらしい!
[8]AIR Station(1)●実用性がありそうでワクワクします(最初は作品でないと思った)。
[9]アミダコミュニケーション(2)●他の人の結果を受けて自分も参加し、痕跡を残すのが面白いです。
[10]鼓動プロジェクトin代官山の巻(5)●今回の中で1番迫力があった。勝木さんがこの期間、代官山のまち、商店の方々等とふれられた記録を是非残してもらいたい!●作者とコミュニケーションが持てる点が良い。


★代官山の街について
[1]街全体の印象は?(好きなところ、嫌いなところ等)
●適度なスケール感の建築群と質の高い店舗、起伏のある地形や木々の緑が、非常に心地よい空間を生み出している。(栗原徹)
●しゃれている、若者の流行の発信地、ブティックが多い。(脇野真澄)
●ところどころにしゃれた風景があるので街歩きをしていてあきない。(庄山典子)
●緑が多い街。歩く人が多すぎず、落ち着きが感じられる街。(鎌原史英)
●特に旧山手通り沿いは、透明感があるまちといった印象があります。また、歩道から店舗を通して自然が見え隠れするところがとてもすてきです。表通りの通りの雰囲気がB-town等で広がっているのは素晴らしい。今後、表通りのコンセプトを台無しにしている建物をうまく改修できると良いですね。(井手幸人)
●好きなところ:高層建築物がない。背後に都心としては豊かな緑がある。「なんとなく」調和し、おちついている。単に、ブランドショッピング、グルメ、若者受けするイメージの店舗の集積にならず、事務所系がちゃんとした地場産業になっている。(重永真理子)
●好きなところは、ヒルサイドテラスの落ち着いたショップ群。一方、最近、下北沢にあるような若年層向けのお店が増え、また街の一部に落書きも見受けられ、猥雑な街になりつつあるようでその点が残念です。(水谷晴子)
●街並みが落ち着いており、店舗もそれにふさわしい内容が多いようです。ヒルサイドテラスのすぐれた空間性が、全体の雰囲気を創っているのでしょう。ただし、新しい建物で勝手なデザインがあるし、裏道で歩道が狭い所や大通りの歩道橋は歩きにくいのが課題です。(大竹亮)
●ヒルサイドテラスを中心とする旧山手通り沿いの街並み、また、そこから一歩奥に入ったあたりも、建築物と店舗のスケールやデザイン、そして緑が調和して全体の雰囲気がつくられ、魅力的なまちとなっている。ただ、一部の醜い建物や落書き等によってまちの雰囲気が壊されているところがあるのは残念。(青木伊知郎)
●好き:ヒルサイドテラスの落ち着いた雰囲気が街の要になっている。嫌い:同潤会アパートを跡形もなく壊してしまったこと。(野中るみ子)


[2]代官山インスタレーション展をみて、街の印象は変わりましたか?
●変わりました。代官山のアート群は、人の心の奥まで働きかけ、単に傍観することを許さず、おまえはこれを見てどうを思い、何をなすのか、と突きつけられるようで、とても刺激的でした。見るだけでなく自分も参加する作品が多いので、美しい街の持つよそよそしさが少なくなったような気がします。ただ、街の建物やお店、商品自体にアート作品のようデザインが多いので、今回の作品がやや目立たなかったのが残念です。(大竹亮)
●個性派ブティックの多い街で、商店街を作っているわけでもないので、店ごとに個別化している印象だった。こういった一つのプロジェクトを行い、代官山の町を盛り立てていこうという一面があるということは、新鮮だった。(脇野真澄)
●参加費無料で、スタンプラリーで景品までいただき、余裕のある街だと再認識しました。ただし、スタンプラリーをしている人は私たち以外見かけませんでした。スタンプもわざと目立たなくしていたのがおしゃれといえばおしゃれですが。。。スタンプラリーのお陰で、日本庭園のある公園を見つけたりと、緑がかなりある街だという印象になりました。(野中るみ子)
●代官山に来たのは10年ぶりくらいです。奥の深い街だと思いました。3時間近くかかって、スタンプラリーの全部を回りましたが、もっとじっくり一つ一つの建物、商品、アートを見たかったです。(重永真理子)
●より芸術的・アート的な街なんだという印象をもつようになりました。(水谷晴子)
●作品を見て回ることで、今まで知らなかった代官山を発見し、このまちがより好きになった。(青木伊知郎)
●街で楽しもうとする住民意識の高さに感激しました。(庄山典子)
●インスタレーションを見たために変わったということではありませんが、暮らし、働く街として、スマートな心地よさがある街だと思いました。個人的には、休日に(買い物などのために)訪れたくなる街というより、このようなイベントがあるときに街の空気を感じたくなる、ぜひ行ってみたいと思わせる街です。(鎌原史英)
●ちょっとしたインスタレーションでは、代官山の“まち”迫力にはかなわなくなってきているのではないでしょうか。(井手幸人)
●インスタレーション展が街に違和感なく溶け込んでおり、ほとんど印象は変わらない(栗原徹)


★代官山インスタレーションとまちづくりに関して
[1]代官山インスタレーション展がまちづくりにどう貢献していると思いますか?
●評価できる点:代官山に行く機会を与えてくれた。できない点:作品が思ったより少なく、目立たないものが多かった。というよりも、代官山は、おしゃれな雑貨店が多く、そのウィンドウ・ディスプレーのほうが十分アートしているので、もっと参加型や動きがないと目立たないかもしれません。(野中るみ子)
●代官山の街を来街者に回遊させ、その楽しさを知らせる役割に貢献していると思います。(庄山典子)
●何かしら新しい発見が得られること。意外さに気付かされること。(鎌原史英)
●芸術作品を見ながら街を歩くと、「作品からの刺激」で気持ちが活性化する。芸術を街にくまなく入り込ませる、芸術家に代官山という街に関心を持ってもらい、広い意味での街づくりに持続的に参加できる。街の個性のレベルアップ。でもやはり、しろうとにはわかりにくい。どういう意図で創ったのか知りたい。でもそんな説明なくても、場の力と作品の力で人の心をひきつければいいのかな。(重永真理子)
●作品が、単なる鑑賞するオブジェではなく、人々のアクションにかかわっている(使う、入る、遊ぶ、聞く、貼る、書く、消える、想像する、思い出す)ので、街は人々の出会いとつながり(想像と連帯)の場であることを、私たちは強烈に刻印されます。つまり、まちづくりの原点を示しているのですが。具体的な効果は未知数でしょうか。(大竹亮)
●2年前に見たときは、歩いていて、あれこれなあ〜に!と足をとめて見たり、まちの色を壁のボードに埋め込んだりした覚えがあり、とても印象にのこった“まち”とアートの展示でした。今回も面白かったのですが、驚きとか、アートによって通常なにげなく通っている空間を再確認するといった点では、すこしこじんまりしすぎたよな感じがしました。展示までのプロセスそのものが「まちづくり」じゃないでしょうか。ぜひ今回の貴重な記録を積み重ね、2年後、代官山の知られざる魅力を見せてください。楽しみにしています!(井手幸人)
●「街並みアート」は、代官山という街にふさわしい企画であると思うが、発信者の顔が見えない作品ばかり、というのが少し淋しい。作者は、もっと街に出るべきである!(脇野真澄)
●アートを介して建物のオーナーや店舗など、様々な関係者を結び付けるというプロセスは、まちづくりに対して大きく寄与していると思う。一方、展示されているアートはパワー不足で、街に与えるインパクトはあまり高くない。(栗原徹)
●通りがかる人がほとんど気づいていないのが、残念です。(水谷晴子)
●このまちに住む人と、このまちを訪れる人が、ともに、まちに魅力を感じ、まちを愛し、大切にしながら育てていこうと思ってほしい。インスタレーション展がその手助けになればと思うが、現状ではまだまだかなと思う。(青木伊知郎)


[2]今後、代官山インスタレーション展はどのようにしたらよいと思いますか?
●まちづくりのための仕掛けとして最大限活用するのがよいのではないでしょうか。そのためには、作品をつくる過程や審査も含めて、より多くの地域住民(店舗なども含めて)が参加できる仕組みと、継続的に行って地域に根づかせることが重要だと思います。(栗原徹)
●まちの移り変わりのダイナミズムに、作品がかなわなくなって来ているよな感じがしました。今後、参加的指向をもったアートだとか、来る人、商店の方々が一緒に作り上げるものといった作品が増えてくるといいですね。(井手幸人)
●代官山という街は、「街並みアート」が成り立つ街だな、と思った。今回は、この展覧会を開催していることを知って来訪した。もし、展覧会を開催していることを知らない人が作品を見たら、10点もの作品があちらこちらに展示していることに気がつくかしら?と思った。一つを見て、「あれ?こんなところにアート作品がある!?」というのもいいし、一つの作品に心動かすものがあれば、街並みアートとしては、十分であると思う。しかし、鼓動プロジェウトのように作者と来訪者が語り合う場があって、作品に触れるといったものが、もっとあってもいいんじゃないかな、と思った。(脇野真澄)
●もっと住民参加の仕組みと感動する作品がほしい。(青木伊知郎)
●「インスタレーション」という単語自体になじみがないので、どんな企画が行われているのか、わかりにくい気がしました。単なる「屋外アート展」とは、違ったものをねらっているのだと思いますが、内容をもう少しわかりやすく広報されるとよろしいのではないでしょうか。(水谷晴子)
●アート作品を常設化し(季節によって入れ替えてもいい)、訪れる人に常に新しい驚きを与え、意識変革を迫る街にする、というのはどうでしょうか。(大竹亮)
●駅前で、パンフを配ってもっとアピールしても良かったのでは。(野中るみ子)
●何より、継続していってほしいと思います。(鎌原史英)
★その他、都市とアートの関係など、自由にご感想・ご意見を書いてください。
●芸術作品の価値は、人々に思いもかけない驚きを与え、人々の意識の奥に揺さぶりをかけ、既成概念、固定観念を打破し、新しい価値観を生み出す勇気と元気をもたらすことにあります。したがって、都市に置かれる(仕掛けられた)アートは、人々の想像力と連帯感を媒介にして、場の持つ可能性を最大限に引き出すことができるのです。(大竹亮)
●パブリックアートといっても、従来は飾り物というイメージだったが、ファーレ立川では都市そのものに多くのアートを埋め込み、アートが身近な存在になった。次のステップとしては、より多くの市民が様々な形で参加し、都市や地域がアートを生み出すようになるのではないでしょうか。(栗原徹)
●先日、NYの地下鉄で、構内にブロンズの小さな動物の駅員さんが、階段の手すりとか、天井に鉄骨のフレーム等に置かれていました。あわてて電車を止めようとしているとか、各像はちょっとした日常の動きなのですが、一つ一つを見てると、知らないまに薄笑い! 都市の喧噪のなか、ほっとした気持ちを与えてくれるのがアートの大きな役目の一つではないでしょうか。(井手幸人)
●今回の展覧会は、仮設アートであるが、六本木ヒルズや立川駅北口再開発のように、設置しているものもある。いずれにしても、都市、街にあるアートというのは、そこを訪れた人が「ここにあるアート作品を全部見なくちゃ!」と思うようであってはいけないような気がする。街と融合し、ちょっと座ってみたらその椅子がアートであるとか、「以前、訪れたときには気がつかなかったけれど、こんなところにもあったのね」という具合が丁度いい具合なのではないでしょうか。(脇野真澄)
●ヤマハ・パッソルのアーティストの方が、チラシを介してのまちの店の方々との交流について語っていらしたことが一番印象に残りました。ツアーに参加させて頂くことができたために、歴史的なことも含めてお話をうかがいながら歩くことができてとても良かったです。(鎌原史英)
●『ヒルサイドテラス物語』をさっそく買い求めました。代官山の奥深さ、アートを生みだし、支える人々との広いつながりに改めて驚いています。
とにかく、経済本位(高度利用により床の量を増やすこと、しかも今最も高く売れるもの)の開発をせざるをえない状況にならなかったことが幸いだったのだと思います。朝倉家の経営的な先見性と同時にやはり、都市計画規制のきびしさがよい街に直結していると思います。
建築がまちのありよう(機能もデザインも)静かに提案しリードして、アートを包み込んでいるようでした。建築とアートのとても誠実な面を見た気がします。(重永真理子)
●今年は妻有のあとに代官山を見たので、パワー不足を感じました。越後妻有アートトリエンナーレ2003では、アートの力を感じました。自然豊かな妻有地域の魅力が、アートによって本当にうまく引き出されている気がしました。これをまちづくりの視点で考えると、アートが現代の都市の抱える問題を解決するきっかけの一つになるのではないかと思うのです。代官山インスタレーションが、まちづくりの新たな方向を提示するモデルとして発展していくことを期待します。(青木伊知郎)


■コーディネーターより
 会期中何日にも分かれての見学と、その後ご感想をお寄せくださった皆様、どうもありがとうございました。この企画を提案し応援してくださった大竹氏、井手氏をはじめお世話になった方々にもこの場をお借りしてお礼申し上げます。コーディネーターとは名ばかりで、解説は北川フラム氏に一任する形でしたが、奥の深い代官山の話を聞く機会に恵まれ事務局としても勉強になりました。
 この仕事を通して「街づくり」には色々な切り口のあることを実感しています。普段は分かりにくい展覧会の手ごたえですが、皆様からの評価を頂戴して双方向性を持つことができました。ポジの可能性をこれからも広げつつ二年後の開催に役立てていきたいと考えています。どうぞ「代官山インスタレーション2005」もよろしく支えてください!(青木理惠)

 

 


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