まちづくり企画24■王子・十条企画2004.02の記録


teku-tekuまちづくり企画24


TEKU・TEKUまちづくり企画24「軍都東京を支えた街=王子・十条の現在」


日 時●2004年2月22日(日)13:00〜18:00
              11:00〜12:30(オプション企画)
コース●北とぴあ展望室→東京書籍印刷工場→醸造試験場跡地→正受院→音無さくら緑地→十条駐屯地レンガ倉庫→北区まちづくり公社(休憩、レクチャー)→十条の密集市街地→十条銀座商店街→同潤会十條住宅→まちなか工房→北区まちづくり公社(ディスカッション)
※オプション企画:都電王子駅→飛鳥山下の飲食店街→青淵文庫→晩香廬
参加者●安藤 文、石井光一(○)、石橋理奈、井手幸人、上野朋子、梅田正代、大木教子、大島英司、大場明夫(○)、大竹 亮(○)、梶川愛子、岸田里佳子、北見妙子(*)、栗原 徹、島野 翔(*)、高橋 史(*)、千川明(○)、恒川磯雄、野中るみ子、原 久子(○)、古里 実(○)、水谷晴子(○)、山崎誠治、山中洋子、山根純一、脇野真澄、小林正樹+伊藤清武+梶川義実(コーディネータ)
以上、29名(オプション10名) *は初参加、○はオプション企画も参加
レクチャー:北区十条まちづくり担当部 宮原 忍 氏


[参加者の意見]


1.王子・十条のまち(全体)

●王子と十条は隣接しているにもかかわらず、いくつもの表情があった。工場、公園、川、団地、自衛隊、密集市街地、商店街。こういう町は珍しい。
●車窓から見える飛鳥山公園の緑地と崖線が王子の第一印象である。工場跡などを通じて、歴史の積み重ねが目に見える、不思議な雰囲気を持つ街であると感じた。
●王子の行楽地、十条台の軍用施設、十条の密集地とそれぞれ特色があったが、道路工事とマンション建設で均質になりつつあるのが心配。自然や文化(飛鳥山、音無川、澁澤邸、レンガ建築)にも恵まれ、活気ある商店街や庶民的な路地裏住宅など暮らしやすい街でもある。
●中心がないためか街全体としての印象はあまり鮮明でないが、山の手の台地と隅田川沿いの低地、大規模工場跡の住宅団地と密集市街地という対比が特徴的。
●王子は、明治と昭和が脈絡なしに交差するまち。十条は隔離された異空間(散歩に最適)。ともに背負った歴史をほぐし、再定義・再構築する好機。
●王子駅前は随分きれいになったように思います。飛鳥山も久しぶりに行きましたが、びっくりです。十条商店街は相変わらず元気ですね。
●商店街が元気でまちの奥行きを感じた。密集市街地の負の遺産はあるものの、飛鳥山、旧渋沢邸に代表される地域資源もあり、人的資源もありそう。地に足のついた街づくりが進む可能性を持っている地域ではないか。
●崖線や石神井川沿いは散策するのに気持ちよく、賑やかや商店街があるのも魅力的。
●充実した商店街と密集した住宅街に、東京の住宅街の原点を見つけたようだった。
●全体として住宅地も静かで整然として居住環境が良い街という印象でした! また、次世代に向けての住環境整備の試みは素晴らしい。
●北とぴあから見た眺めでは「団地が多い」という印象だったが、密集住宅地は生活味あふれる街で面白かった。
●計画的に作られたまちより、増殖していったようなまちが好きなので、曲がった細い道も商店街も人が生活しているという実感がわき好感が持てました。(王子はよく行く所ですが、十条は地図上ですぐ隣なのは分かっていましたが、行ったことはありませんでした)
●観光地的要素のある王子エリアのみだとAですが、十条が入ると少し落ちるかもしれない(十条があまりに印象が無いところだから)。
●駅周辺だけについてみれば、意外と活気がある。また、行動が徒歩や自転車の比重が高く、ヒューマンスケールなのも良い。ただし、密集市街地はかなり住環境が悪いと思う。また、無秩序なマンション建設は景観上非常に問題を感じる。
●普段何気なく歩いているものが、解説されると見方が変わってくる。
●あれだけでは分からないと思うが(地元に近いため少々甘いか)。
●地元がやはり「防災の町つくり」エリアなので、興味深く歩いたが、こちらの方がはるかに大変そう!
●やはり王子と十条は別々だと認識してしまうが、旧王子製紙は王子製紙と十条製紙に分割されたので地域の意識は一緒なんだなとやや納得。


2.醸造試験場跡地と周辺
●密集地にあって、瀟洒なレンガ造の建物と開放的な広場が心地よい。広場はこれでいいので、建物を保存し都市の記憶を残してもらいたい。
●何にもない広場は貴重な空間です。煉瓦造りの建物とともに大事にしてもらいたいです。
●広い芝生で、しかも立ち入り可というのはめずらしい。とても気持ちが良いので今のままで良い。
●土に接することのできる貴重な場所、煉瓦の建物ともフィットしたすてきな空間でした。
●のんびりとできるよい公園でした。レンガ造の建物が生かされることを願っています。
●レンガ造りが残されており、とてもよい雰囲気を醸し出している。前の広場を植栽し、デートコースのひとつとしたい。
●梅がちょうど咲いていてきれいだった。公園は造りすぎていず広々としていたため、開放感が感じられた。
●花見の穴場。「空き地」のような空間のそっけなさと、レンガ造の建物の対比が妙に落ち着く。
●比較的平坦な道で散策に最適。桜の時期に再訪したい。
●昔空き地という物が存在していたな〜と思いました。
●赤レンガの建物は貴重。公開して活用できないものか。
●ぜひ本格解放を望む。北区としては、戦前期の建築物を文化遺産・歴史遺産として位置づける姿勢が乏しいように見受けられるが、積極的に取り上げて欲しい。
●暫定公園と研究所の境界部分は柵で「くぎる」のではなく、十条の防災広場のように低い花壇にして「くぎる」と「つなぐ」の両義的な意味を持たせたほうがよい。
●レンガ造の建物はなかなか良いが、公園の周囲が無粋なフェンスで囲まれているのがちょっと残念
●暫定開放の公園は殺風景で、やはり木が欲しいと感じた。醸造試験所の敷地だったころの木はなかったのだろうか。
●土埃の舞う暫定開放では、それほど魅力がありません。
●暫定だから仕方がないが、あのヘアピンカーブは面白かった。
●これからでしょうか。
●これからどうなるのか楽しみです。せっかくだからツアーのできる地酒の酒蔵にしては?


3.音無川沿線+さくら緑地
●旧流路緑地+つり橋は、かつて蛇行し多くの滝を有した音無川渓谷の面影を残している。現在のコンクリート擁壁に囲まれた川は悲しい。
●「音なし川」の由来が面白かった。自然の景観を生かしてうまく使っている感じ。特に、アップダウンは魅力的ですね。歩くのは疲れるけど。
●さくら緑地は街中の貴重なオアシスになっている
●都会の中にいるけど深い山の中に来たような気がする。
●都会の中の憩いスポットとして気持ちの良さそうな空間だった。 
●喧騒を離れたとてもよいイメージ。
●緑の吊橋が良かった。隠れ家のような、オアシス。
●吊り橋は、遊び心があってとても良い。
●起伏があって散歩には楽しい
●私はここを通るのが好きです。桜の時期は特に好きです。
●比較的平坦な道で散策に最適。桜の時期に再訪したい。
●桜の咲く頃来てみたい。散歩コースには最適。
●こういう緑地は大切にしていただきたい。
●以前稲荷台に住んでいた頃は、石神井川沿いはよく散歩したものですが、変わらぬ風情です。加賀のあたりまで歩いてみたかったですが、別途花見でもしましょう。
●吊り橋のところは、季節それぞれの木々の変化を楽しめそうである。音無川はもう少し川を身近に感じられるよう、塀や川べりの工夫がほしい。
●音無親水公園は造り過ぎ。剃刀堤防が撤去され、滝が蘇り、料亭扇屋や海老屋が紅葉に映えて行楽客を誘う時代が近づいている。
●王子の地形が良くわかり面白いが、川の流れがもう少し欲しい。本流もカネをかければ川らしくなるが、現下の情勢では難しいだろう。
●きれいすぎる整備もどうかな。


4.陸上自衛隊十条駐屯地275号棟
●日本の歴史的に重要な建物なので、ぜひ図書館のような区民全体の利益になりかつ平和的な活用をしていただきたいと思います。
●図書館に活用するというアイデアは非常に良いので、あとはどこまでデザインをがんばれるかが課題。
●計画中の図書館は周辺住宅とつながりが持てるような空間づくりをしてほしいと感じた。
●275棟周辺は住環境としては抜群。この環境が持続するといいですね。
●レベル差のある敷地で、レンガ造の建物が低いレベルにあり、高いレベルに図書館をつくるという設定は大変興味がある(コンペになれば、是非参加したい)。
●煉瓦造の外観を残すことができれば、団地と駐屯地の殺風景な街並みに味付けがされて良いと思うが、確かに予算の問題がありそう。
●財政上の問題はあろうが、立地の面では宮崎アニメに出てくるような閑静な住宅街にあるので、図書館にするには相応しいと感じた。
●図書館になっても、レンガ倉庫だったことを、軍の施設だったことを忘れないようにしたい。
●軍都東京の記憶を継承する貴重な施設。ぜひ原形をとどめて活用願いたいもの。
●平和利用、民生利用のシンボルとなることを期待。
●今後の使い方に期待したい。
●煉瓦倉がどのように使われているか気になる。
●うまく使ってください。一つくらい自衛隊がらみで滅多にない良い行いができるんですから。
●兵器工場だった過去を記録する意味で建物を活用することはよいこと。図書館が良いかはわからない。
●ベトナム戦争当時米軍が使用していたというのが、ショックでも有り、現実を再認識する思いでした。
●図書館のみならず、陸上自衛隊の跡地である歴史がわかる資料展示スペースも併設した方が良いのでは。煉瓦づくりの建物はそれほど魅力的では無かったので、外観のみ残す必要も無いかもしれない。
●自衛隊の脇であるので、公的機関にするには位置的に生々しすぎる。図書館とすることは適切さの点で疑問。新王子図書館は北区役所か王子駅近く(または現在地)にすべき。この建物は、別の方法で現況のまま保存すべきではないか。
●以前の十条駐屯地は入り口もレンガ塀で、奥の方にレンガ造りの建物がずっと並んでいて、建物の間は桜並木になっていて、春の花見の時期になると開放されていたような記憶があります。自衛隊のトラックが出入りしていること自体が不自然だったような風情でしたが、今や真新しいビルが建ち別世界ですね。


5.十条の密集市街地
●迷路のような路地に小さな住宅が並ぶ密集市街地は、妙にほっとするヒューマンな空間である。こうした持ち味を活かしつつ、ポケットパーク、共同建替など頑張ってもらいたい。
●密集市街地は防災上は問題だが、ヒューマンなスケール感はとてもいい。安全性を確保しつつ密集市街地の良さを活かすまちづくりを期待。
●これだけ密集していれば、何とか改善する必要は感じる。ただし、単に道路を広げるとかではなく、ヒューマンスケールが維持できるかが大切だと思う。
●路上の植木の多さに驚かされた。植木は自分のナワバリを示しておきたい心理から置かれるというが、そのような心理が住民に働くのは、「ここが自分の土地である」という土地への愛着が強いからだろう。狭い路地が無くなっても、住民に植木を置く精神が宿る限り町の雰囲気は失われないと思う。
●ワークショップで公園について決定するのはとても良いと思った。 防災上住宅密集地域は非常に危険が大きいことは確かですが、それを改善するために人々の積み重ねてきた生活の歴史が壊されてしまうのは残念。地域の良さを損なわない解決方法を選びたいもの。
●防災は重要ですが、こまこました路地は生活者視点としては楽しい。
●防災面で問題があることはわかっていても、密集するが故の安心感のようなものがあった。
●道路が掃き清められていたり、庭木や花壇が手入れされていたり、どこかホッとする空間だった。
●公園は子供や高齢者のたまり場として機能させるべくもう少し潤いが欲しい。
●都道本郷・赤羽線沿いのポケットパークと背景の住宅との景観がステキだった。
●共同化以外の改善目標が見えないところがつらそう。個別更新でも改善できる道筋はないのか。
●郊外建売分譲地のようなつまらなさはないが、防災の面からはかなり問題。10年経過後はどうなるのか?
●建て替え用地をもっと多くして、緊急車両はゴミ収集のために主要幹線の道幅をひろげることがまず大事でしょう。土地の権利形態の複雑度、高齢者が多いための建て替えの障害の有無を聞かなかったので、せっぱつまった密集市街地の印象はありませんでした。
●私の知っている地元にあったこの手の住宅は火事があって消防車が入れなかったため全焼となり立て替えとなりました。心配事ではなく現実の物と考えた方がいいです。
●私が約30年前初めて住んだ東京(目黒区緑ヶ丘)の印象(意外にボロだな)に近いものがあります。十条はさらに道路も狭く問題は多いのでしょう。
●わが地元「谷中・根津・千駄木」は、同じ木造密集地域とはいえ、その規模・住人の意識等、随分ラッキーだと認識。
●評価としては低いと言わざるを得ないのですが、コミュニティとしては濃密なものがあるのではないかと考えます。目に見えないものをすくい取った上で、再評価したいところです。
●やっと、まちづくりが始まった感じで、住民の自由な工夫を期待したい。


6.十条の商店街
●明るきにぎやかで、人通りも多く、個々の店が輝く商店街。駅から延々と伸びて、街の骨格となっている。活気があふれ、変化に富んで、歩いて楽しい。
●とても楽しい魅力ある商店街。面的に広がっている点も魅力。現代に呉服屋さんが2軒もきちんと商売として存在していたことに驚いた。
●日曜日にあれだけ人通りが多いのは立派です。都内でも珍しい商店街だと思います。駅前でありながら昔ながらの店も残っているし、地域住民がみんなで支えているよい商店街だと思います。間口の広い、奥行きのある呉服屋が複数残っているのも驚きです。
●派手な感じはないですが、活気があり、これぞ地域に根ざした商店街といった感じがしました。(衣服があんなに売れてる商店街あまり見たことない)
●ちょうど夕食の買い物時に歩いたこともあるだろうが、活気のある楽しそうな商店街だった(引っ越しするならこういう商店街の近くが良いなぁ、と)。
●大変にぎやかだった。面的に広がるアーケードが商店街の一体感を助長していた。餃子の実演販売にはつい買わされてしまった。やはり十条はベッドタウンではないと実感。
●商店街は活気があるのが一番。この商店街が元気なのは周辺の道路が弱く大型スーパーが作れないため。密集市街地の意外な効用ともいえる。
●生鮮食品のお店がきちんと機能している、地域の人で賑わっていることに驚いた。
●集まって住む勢いはここにあるということがよく分かります。
●距離が長い割には、にぎわいのある商店街で感心しました。
●生鮮食品が安くて活気があってすばらしい。
●とても活気があった。
●商店街に奥行きがあって良い
●地場商店とFC店が共存している感じで買い物が楽しそう。
●十条銀座はチェーン店化して転換期。周辺商店街の工夫が愉しく、それが十条銀座を支えている。
●活気があって良い。自転車をなんとかしたい。
●稲荷台に住んでいた時は、買う物によって十条商店街と仲宿商店街を使い分けていた。よく使っていた貝専門の店がなくなっていたよう(移転した?)で残念。買い物は機能的なばかりではつまらない。
●核になる店舗が何なのか、そこが知りたい。核のない商店街を計画するときにはどのようにすればよいのか、おおいに調査したいところです。
●あれだけの規模の商店街があれだけ賑わっているのに、人口減少に悩んでいるなんて、信じられない!
●周辺に密集市街地があるからこそ、商店街に人が集まり、活気がある。この賑わいは大事だ。
●人がいて人が集まることの楽しさが実感できる。この周辺に暮らしていると、ちゃんとした味がわかるようになるだろう。フランチャイズも増えているが、2代目3代目のがんばりに期待したい。


7.同潤会十條住宅
●同潤会の普通住宅がこんなところにあったとは知らなかった。当時の建物はそう多くはないが路地も含めて味わいがある空間。
●かつての計画住宅地の面影がかすかに残るが、建替えによって普通の街になってしまった。当時のオリジナルと思われる数棟は貴重な存在。
●かすかに面影が残る同潤会の普通住宅が残っていたが、土地と道路の問題で建て替えが難しそう!
●バラバラに建替えをおこなっているようだが、何かまとまりをもたせて建替えることはできないものか。
●どうして今も建て替えされずに残っているのか理由を知りたい。
●教えられなければ、昔懐かしいただの住宅。同潤会といわれると価値があると思ってみてしまう。
●住宅史や建築史上の意義はあるだろうが、今となってはあまりに古い、条件の悪い住宅なのではないか。
●住宅周辺の路地は懐かしい感じがした
●そう言えばこんなのがあったな〜と思いました。
●完成時の全体配置計画図が見たいのですが、ないでしょうか。住宅をどのように見ていたかを想像したいのですが。下見板貼りの木造住宅が当時の建物であるとしたら、今風の建物のデザインより数段上と見ました。
●北区に同潤会があったのを初めて知った。
●同潤会住宅に、4戸で一棟や戸建てがあることを初めて知った。住人の住み様に興味がある。
●アパートでない同潤会住宅を見たのは初めてです。長屋形式の方が長く使えるのでしょうか?
●どんなものかと思っていましたが、すごいですね。


8.まちなか工房での活動
●ものづくりに焦点をあてた市民の活動拠点は、地に足がついている感じで、かつ楽しそうでした。元気な商店街にあるのも良いですね。
●門も玄関もなく、旧店舗をそのまま利用しており、活動空間が路上に近いところにあるのが、名実ともに地域のふれあいを深めるポイントだと思う。中の様子が路上からよく見えて臨場感があった。全国のシャッター通りでも是非これを参考に活性化させてほしい。
●商店街のはずれで、道に面してこういうスペースがあるのは活の活気につながる。鳥取から講師を招いた講演会や、地域情報化関係の補助金活用にはびっくり。モノづくりと情報発信で街を元気にしていってほしい。
●世代を越えたコミュニティが出来ている。最近は異年齢の交流が出来にくくなっているので、このような場ができれば世代間の知識や技術の移転が可能になるし、独創的なアイディアも出やすいのではないか。
●活動内容を十分理解していないが、地域の関心と認知が広がる可能性を感じる。いかに自らが事業展開が行え、雇用機会を確保・拡大出来るかが重要と思う。
●地元の人たちの活動としては非常にレベルが高く、全国的なネットワークづくりを目指しているのが良い。
●足下からネットワークを作っていく試み。各地でこうした動きが始まろうとしている。
●ものづくりを核に、人を集めるという手法が面白いと思う。
●商店街の中という人通りのあるスペースに設けられているのが良い。今後も活発に利用されることを期待。
●商店街元気にするぞ!といった意気込みが感じられた。
●オープンな感じが良い。
●良い試みと思います。昔の良きコミュニティーは重要な社会資本だと思います。その喪失がもたらした影響は計り知れないものがあるのではないでしょうか。
●効果がいまひとつわからない。外から見ると、この場所は説明がないとなんだかわかりづらく、地元のりの域を出ていないイメージがありました(誤解かもしれません)。
●固定的に設営された「まちづくりセンター」でなく、あのように期間限定、あとは事業者にまかせ、また他に種をまき・・と言うやり方の方が、はるかに面的広がりのある、地域の人々に根付いた活性化の方法ですね。
●まちなか工房に地域の一般人が数多く出入りするようになると、ねらいが達成されるのだと思う。続けていく方向なので一安心。
●楽しく活動されている場に遭遇できてよかったです。


【評価集計結果】

1.王子十条のまち(全体) AAAABBBBBBBBBBBBBBCCC 3.10
2.醸造試験場跡地と周辺 AAAAABBBBBBBBCCCCCC−− 2.89
3.音無川沿線+さくら緑地 AAAAAAAAAAAABBBBBBBCCC 3.76
4.陸上自衛隊十条駐屯地275号棟 AAAABBBBBBBBBCCCCCCC− 2.70
5.十条の密集市街地 AABBBBBBBBBBCCCCCDDD− 2.40
6.十条の商店街 AAAAAAAAAAAAAAAAAABBB 4.71
7.同潤会十條住宅 ABBBBBBBCCCCCCCC−−−−− 2.13
8.まちなか工房での活動 AAAAAAAAAAAABBBBBBCCC 3.86


A=5点、B=3点、C=1点、D=1点として集計


 

◆都市の産業論(当日のディスカッションを踏まえて)
●近代工業、軍需産業によって成立した北区ですが、今はそのような工場はなくなりました。住んでいる人々はどこかに働きに行っているはずです。職と住が分離されている典型は郊外のニュータウンですが、戦前期にすでに都市化・市街化された北区から、職の場がなくなっていくと、どのような方向性に行くのでしょうか。一方、産業のない街は滅びます。鉱山や炭鉱の街がその典型です。「そこに住む人々はどうやってメシを食っていくのか」ということは、都市と建築を語る上で欠かせない視点です。北とぴあで北区を概観しましたが、かつての工場は住宅団地に変っている姿が見えました。台地の上の十条は、大きな変化はないようですが、高齢化及び世帯人員の減少が進み結果として北区の人口は減少しています。人口減は悪いことではありません。新しいまちをつくっていくきっかけになるでしょう。新しく住む人が生活するための基盤として、新しい産業(メシのタネ)をどうつくっていくかが、今後の街の魅力になると考えます。ディスカッションのなかで提案のあった「趣味の製造業」は、成熟した都市では実現できそうな方法だと思いますし、今回訪問したまちなか工房はその可能性を秘めたプロジェクトだと思います。(梶川義実)
●社会は本来、生産と生活が一体化したもので、かつての都市は商店街、町工場、問屋街、職人町など生産(仕事)を核としたコミュニティであった。近代都市は、都心ビル街と海岸の工場地帯、郊外のニュータウンというように産業の場と生活の場の機能分離を目指してきたが、それでは画一的な風景と単調な体験しか得られないのではないか。そこで育つ子供に社会性が乏しくなるなど影響が心配される。生産と生活が分離した現代都市を空間的経済的に再編し、生産と生活が融合した街を新しい形で復活すべきである。一方、地域にとっては、コンビニやチェーン店が増えても都心の本店に利益が吸収されるだけで、バイトの雇用効果しかない。個人商店や中小企業など地域に本拠を構える事業所が栄えてこそ地域経済に効果があるし、企業人のネットワークも育つというものだ。ベッドタウンは単なる消費都市であり、生産活動や文化価値の創造があってこそ、本当の都市である。(大竹 亮)
●北区といえば明治時代に川沿いに大きな製紙工場ができ、それが移転後住宅開発されたという印象があります。商店街は大工場に勤める人々の生活を支えるために発展し、その後大規模集合住宅の人々の生活を支え現在に至っているのだと思います。しかし北区に工業がなくなったわけではなく中小の町工場ががんばっているはずですが、今回は見ることができませんでした。私は以前、北区・板橋区・足立区・荒川区合同で開催する「4区工業フォーラム」というイベントを仕事で担当したことがあります。私は荒川区の職員で住民でもありますが、荒川区は1〜4人規模の零細町工場が大変多いのに対し、北区はそれより規模の大きい企業が多かったという印象があります。また、技術もやる気もある元気な企業も複数ありました。どこも厳しいとは思いますが、そうはいっても地域は町工場や商店街などの経済活動が活気を生み出します。そしてそこで住み・働き・生活する人々がいなければ地域社会は成り立たないのです。1日中その地にどっしりと根を下ろしている人が、一番地域のために働きやすいと言えます。北区も行政がさまざまな仕掛けをしていると思いますが、区内経済の全てを支える力はありません。有望と思われる所に集中的に配分さるのだと思います。そこで、それ以外をフォローするために「まちなか工房」などの活動が必要になってきます。今までなかった人や企業の交流から、新しい仕掛けや物が生まれると思います。それらが価値を生み、さらに他の地域との交流を広げ、人々を潤す素となればいいと思います。区民の中から湧き出てきたあの力に、今後期待したいと思います。(山中洋子)
●かつても今までも、北区には大企業の工場や種々の事業所があるのですから、そうした事業所が地元の街を重視し、どのように共存共栄を図るかが一つの鍵となるでしょう。例えば、職員の住宅を地元に整備するとか、積極的に地元企業に発注するとか、行事に参加するとか…。単に本社(都心)を向くと言うのではなく、また都心に飲み込まれるのではなく、「地元意識」がどのくらい持てるかが需要ではないか。その前提があって初めてNPOも含めて、地元の「起業」「ニッチ産業」も可能性がでてくるのではないか。初めからそれだけでは限界があるから。逆に北区であれば、職住分離の東京都心とは違って、地元意識の中での企業活動も可能となるのではないか。いずれにしても、今までの産業の集積の縮小を、手をこまねいて座視しながらなし崩しで都心へのマンション街になるのではなく、今までの産業の集積を活かした街づくりが必要と思います。(恒川磯雄)
●北区はやはり東京の一部。工場が転出しても住宅が立地するから地方都市での産業との関係とは同一に議論できないのでは。その証拠に、北区の商店街は奥行きも深く元気だ。たくさんの人(消費者)が住んでいて、区外の東京に職場がある。東京圏での産業論として議論すべきか?(古里 実)。
●これまで工場などの産業施設は、住宅を中心とする一般的な街から分離し、企業対住民という対立的な構図になっている場合も多い。しかし、本来産業は地域を支える根幹のはずであり、もっと街における産業の役割を強く意識すべきであろう。今回、街を歩いても産業はあまり見えなかったが、そこに問題があるのではないか。工場があってもそこで何を作っているのか判らず、そこで作っているものを買うことができない。産業が地域に情報を発信していないのである。この地域で実際にどのような産業が街を支えるのかわからないが、まず産業が街に対して情報を発信することが必要であり、それを受けて産業と住民との交流が生まれ、産業が地域に根差してくれば、新たな可能性が見えてくるのではないか。(栗原 徹)
●物あまりの現在、生産(工業)が必要でなく、かつ生産拠点がアジアに移ってしまった現在とても難しい状況にあるとは思いますが、住宅地の区である杉並もアニメの町として力をいれていますが、中央線沿線は美大がありその学生や友人たちが住むことで出来上がった産業かと思う。とすると、この街にも先ずはなんとか若者が住みたいような町にし、彼らに産業を興してもらいたい。また、トキワ荘に漫画家のようなカリスマ的人材が出てほしい。となるとこの間、奥菜恵の結婚相手であるIT成功のようなカリスマ人材が住むことが必要(渋沢栄一もかつてのカリスマ?)だが、場所もあるが人の誘致も必要。昭和ブームの時代、路地の木造住宅など昭和が体験できる街(プロジェクトXの時代が残っている街)として若者を呼ぶ(この場合は観光産業)。根津にはなりえないが、ちがう意味でも面白い。ブルータスやポパイで「裏原宿に住む」などの特集があるが、マガジンハウスで「十条に住む」1回とりあげてもらうのもよいのでは。若者にとっては惣菜屋さんもあるし、茶ぶ台文化好きの若者にはしっくりくる街だと思う。フリーターを受け入れるふところの大きな街(フリーターが十条でアルバイトをし成功して住みつづける街)、情報化戦略の時代と思う。(原 久子)
●北区は、明治以降、軍(国家)と大資本に右往左往させられた歴史を背負い、それらが徐々に撤退して、働き口を都心に依存してきたが、ここに来ての急激な高齢化が、改めて「地元」を必要としている。従前の体系を組み替え、市民の自由な発意によるまちづくりの可能性を試す時期が到来した(100年を経て)。まちの歴史をリセットすることは出来ないとしても、コミュニティの再定義を市民個々と共に考えていくことが必要、とくに、工夫(仕事)のための協働の場をまちなかに埋め込むことから始めたい。(伊藤清武)
●北区は明治から昭和にかけて、東京における軍事産業拠点、工場地帯としての大きな役割を担ってきた。その役割がなくなるとき街はどこへ向かえばいいのだろうか。東京の一地区という位置付けから、北区が北区であるための産業やその仕組みを見出していかなくてはならないと思う。その方向性は、すでにどの街でも言われることではあるが、「住民の暮らしに根ざした」ということがキーワードになるのではないだろうか。ものづくりの精神を活かし、生活に身近な産業への展開をしていくことが街の継続につながるのだと考える。そして、それが地域の中できちんと機能していくことが重要であろう。十条商店街やまちなか工房を見ると、北区にはその素質が備わっているように感じられた。(高橋 史)
●近代家族が終焉を向かえつつある都市においては、従来の家族像に基づく地元の産業のあり方も変わってくるものと思います。高齢者、主婦、単身者・・・等々、様々な従来の制度に縛られない居住者が、如何に街と係わっていくか、あるいは係わる仕組みをつくっていくか、そんなところから地元の新たな仕事というものが創出されてくるのではないでしょうか。(井手幸人)
●北区の人口減少は実感できない。街の力と人口は必ずしもリンクしないのではないかと思うが、人口減少の原因には興味がある。しかし、10年前と現在で街の活気は全く変わっていないように思うし、余り問題は感じない。北区というような単位では、必ずしも地方都市のように完結した街である必要はないと思う。職住接近といっても、皆が歩いて通勤できる事がベストであるとも思えない。多くの人が集まって仕事をすることも、それはそれで意義のあること。今後いくらIT化が進んでも、霞ヶ関や大手町は存在する。汐留や品川のビル群が無用の長物とは思えない。それに今時、二次産業が街になくてはならないものとは思えない。(石井光一)
●現代都市ならではの産業(例えば、サービス業、コミュニティビジネス他)が成長する活気を持った地域ではないでしょうか。団地入居者が高齢化していると聞きましたが、団地と商店街とが地域内で混ぜあわさる場があれば、そこから新たな産業が生まれるのでは。都心(山手線沿線、大宮も含む?)に働きに出る人がほとんどだと思いますが、一方で週末や老後に楽しく過ごせる場として居住地域周辺の産業が生まれて行けば良いのではないかと思います。その意味で、まちなか工房はきっかけとなる取組ではないかと思いました。(大木教子)


◆この街のこれから、今回の企画の感想など
●工場跡地がマンションになって新しいまちを形成しても、住みやすいまちを目指せば良いのではないでしょうか。埼京線の路線で攻めるよりも、南北線の路線である価値の方がとても高いと考えます。(野中るみ子)
●都心に近い割にはまだまだ残っている自然を生かして「子供をここで育てたい」と思わせる町づくりが出来るのではないか。十条駐屯地隣地の中央図書館設置時には鉄道駅と養護学校送迎等もあわせたたミニバスを運行しても利用価値があるのでは。(山根純一)
●自衛隊用地、施設等をうまく住環境の整備の用地と創出し、都会にいて癒されるまちとして発展してもらいたい。(井手幸人)
●大規模工場が移転した跡を単なる住宅団地にするのではなく、新たな産業への転換を図ったり、密集市街地整備のために活用するなど、広域的な視点で街づくりを考えるべきだと思う。(栗原 徹)
●十条は「車を使わないまち」宣言をすると、斬新的な試みが可能となり、通りの表情が豊かになっていくと思う。(伊藤清武)
●地域資源、人的資源の活用とネットワークによるまちづくりを期待。(古里 実)  
●かつての名残といった感じでこの地での産業の勢いは薄い。生産しているという場所が今は本当に町中にはない気がする。良いのかな?と思う。大丈夫なのかな〜??(安藤 文)
●上十条三丁目四丁目の雰囲気は、板橋区に入って稲荷台でも全く変わりがありません。ところであの区界は何が根拠なのでしょうか。加賀中、富士見中のところも不思議ですよね。(石井光一)
●十条の街を我が家(典型的な郊外型住宅団地)とどうしても比較してしまう。正直言って、今回ほど我が街の良さを実感したことはありませんでした。十条では虫食い的に立て替えが進んでいるとはいえ、昭和30-40年代の年の過密問題が基本的にそのまま持ち越されている印象を強く持ち、ある意味でショック。繰り返しになりますが、「道路と車」に占拠されない形での都市的住環境の整備が少しずつ進んでいくことを期待します。(恒川磯雄)
●地方都市の場合だと、必ず産業と都市、職と住は車の両輪で、産業なくして都市は成り立たないわけですが、今回の王子/十条の場合は、所詮は東京のしかも都心の一部なのですから、その中での役割として何が一番求められているか、魅力的か、ポテンシャルがあるか、と言う目で見ればよいのではないかと思います。区民が適切な区民税を払い、それによって受けるサービスや住環境に満足している限り、区単位の自給自足的な考えを持つ事はないし、過去の産業にこだわる必要はないと思います。で、この地域の得意分野は何か、何が東京の他の地域と差別化できるか? 個人的には、「飛鳥山」の歴史的文化的価値をもっと全面的に押し出して、いっそ東京圏の知的観光地を目指したらいかがでしょう?(梅田正代)
●十条に広い駅前広場や大通りはいらない。周辺住民が集まる今のままの商店があり、賑わいがあり、活気があれば、それこそが住民参加の町である。北区豊島区との境の文京区在住のため、駒込駅周辺や古河庭園、飛鳥山公園にはなじみが深いが、今回の企画で、王子十条の歴史や奥深さとともに、北区を全く知らなかったな、と感じた。(脇野真澄)
●十条は、池袋・新宿・渋谷へ5〜15分で一本で行けるという絶好の立地である。軍都としての地域の記憶を残して街のアイデンティティとしながら、活力ある商店街とヒューマンスケールの住宅地の暮らしやすい街であってほしい。伊藤さん、小林さん、宮原さん、そして梶川さん、ありがとうございました。(大竹 亮)



【オプション企画の記録】
■旧澁澤邸(青淵文庫+晩香櫨):AAAAAAAAB(ただし1人は特A)4.78
●澁澤榮一の偉業の大きさを実証する貴重な遺構。青淵文庫はセセッション様式の白眉というべき小さな宝石箱のような建築。晩香櫨内部の居心地の良さは語り尽くせない。
●すてきな建物でした。青淵文庫は日常の使い方を模索できるような気がいたしました。文化香る環境を日頃から身近にすることは、生き生きと暮らすのに重要なことと考えます。
●竜門社が使っていた頃の方が、渋沢の遺志が伝わってきた。建物は使い続けないと。
●晩香櫨は素敵ですね。あんな部屋が欲しいものです。
●貴重な建物。常時公開されるとなお良いと思う。


◆渋沢邸の活用方法提案

●渋沢邸、渋沢資料館、紙の博物館を中心に、「紙を考えるネットワーク」(生命、草木、和紙、洋紙、印刷、情報、知恵)を全国規模で展開したい。
●小笠原邸のようなレストランもあるが、やはり渋沢栄一ならではのことがよいのでは。渋沢経営塾(渋沢栄一は経済界に人気があるので、経済界の人を呼びセミナーを開く)。最近は大前研一の塾や森ビルのアーク塾のような経営塾が流行しているので、その辺や大学と組むと面白いですが。
●明治黎明期の歴史を学ぶ都市型観光地の拠点に。  
●とてもすばらしい建物なので、多くの人にぜひ見てもらいたい。特に、本郷・上野から続くこの台地には、六義園、旧古河邸など緑豊かな邸宅・庭園・公園が多いので、本郷通りの並木道を通じて、そのような地域の記憶(かつての邸宅街)と連携しながら活用されることを望む。
●旧古河庭園と同じくカフェテラスとして公開をする。
●お茶会なんてやる必要はないと思うのですが、7〜8人単位で一時間位のんびり昔を偲んでもらうなんてのはどうでしょうか。



コーディネーターより◆今回は予想を上回る多数の参加に驚いています。街並みや建築物が従で産業をテーマにした企画でしたが、北区王子十条を歩いていろいろと感じていただいたと思います。TEKU-TEKUメンバーの皆様がどこか別の街を訪ねる時、その街の産業のことにも関心を持って街を語るようになると、今回の目的の一つは達成されたような気がします。ディスカッションは十分できませんでしたが、多くの参加者から「都市産業論」の小論文をいただき感謝しています。北区というつまらない名称(失礼!)の地域をより深く理解することができた一日だったと思います。宮原さん、伊藤さん、小林さん。ありがとうございました。(梶川義実)


まちなか工房のページ http://tatsujin.kitaku.net/index.html

当日の様子 http://homepage.mac.com/yukitoide/ouzi/teku-p0222.html


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