まちづくり企画28■都市再生と都心居住「ラ・ヴェール明石町」の記録2004.4


teku-tekuまちづくり企画28



日 時●2004.4.24(土) 14:00〜17:00
コース●銀座4丁目〜マガジンハウス〜ADK松竹スクエア〜電通ビル〜築地界隈〜ラ・ヴェール明石町〜聖路加ガーデン〜築地本願寺〜華僑ビル
   《 懇親会 (1)東京ベリーニ・イタリアンバール、(2)東日暮里 井手邸 》
参加者●石垣曜子、井手幸人、大竹 亮、千川 明、藤井正男、古里 実、水谷晴子、脇野真澄、栗原 徹(コーディネーター)  計9名

[参加者の意見]


1.築地・明石町界隈【評価ポイント 3.67】
A:居留地としてのハイカラな雰囲気、江戸以来の下町の伝統、銀座の隣という抜群の立地に恵まれ、路地の伝統木造家屋、クラシックな教会、インド風伽藍の本願寺、モダンな復興小学校、そして斬新な聖路加ガーデンなどが混じりあった、なかなか粋な持ち味の町である。
A:聖路加周辺は緑が充実しており、散歩をするのに気持ちがよさそうだ。隅田川の水辺、銀座への利便性、築地場外(食べ物のおいしさ)など、利点が多い地域だと思った。住んでみたい。
A:旧居留地、未だに中央区の本土で唯一の住居系用途地域、街区割りが病院等の大規模なものと住宅等の小規模なものに2極化しているなど、独特の界隈を形成している。また、隅田側沿いに高容積の建築物が並び、それ以外が落ち着いた密度を維持している。
B:新富町あたりに残るこの地区の文化と、道路を隔てて建て変わった明石町のあたり地霊との関係を考えながら歩くと楽しい。
B:初めて歩いたところが多く歴史のあることを知り新鮮でした。
B:路地裏に趣のある家がけっこう残っているのがいい。
B:銀座徒歩圏でありながら、月島佃島といった庶民的な町も近く、築地市場の賑わいもあり、アクセスがよく、一度は住んでみたい魅力的な町。とはいえ、大型スーパーマーケットなど、生活利便性と物価は?
B:表通りはオフィス街だが、裏には路地や木造建築があり、居留地の面影も残っていて、なかなか味わいがある。
B:あまり知られていないが、西洋文化が色濃く残り、聖路加病院のチャペルや築地本願寺、電通本社ビルなど、意外と見ごたえがある。築地市場の賑わい、密集具合とのギャップが面白い街だと思う。


2.ラ・ヴェール明石町【評価ポイント 3.89】
A:築地・明石町のまちなかに、区の施設と一体化して周辺環境に上手くなじませた計画である。超高層タワー+新交通システムではなく、普通に住んで銀座まで歩いていける生活こそ、本当の都心居住であろう。外観はおとなしくデザイン上のインパクトは少ないが、シンプルで控えめなインテリアにはこまやかなセンスが行き届いており、好感が持てる。(かつての初期公団市街地住宅の再来を想わせるし、同潤会が現在も活動していたら創ったであろう住宅)
A:高さの異なるL型住棟の組合せにより、全体のボリューム感をうまく抑えた軽快なまとめ方や、日照・採光と住戸の奥行きの関係の整理の仕方など、都市型集合住宅のモデル的存在である。また、細部まで細やかでハイセンスな設計がなされている。質と家賃がリンクしているが、公団賃貸住宅の役割がなにかを再び考えさせられた。
A:標準レベルの高さに驚きました。ペアガラス採用は、個人的に非常に魅力的。床暖房、十分な収納スペース、玄関水周りのゆったり感も満足できます。1LDK+SS―90F、賃料30万超といった贅沢な間取りには、場所を意識しているのか、公団賃貸にこんなのあり?というのが正直な印象。民間賃貸は「上」か「下」かが現実的であるが、ラ・ヴェールは,設備仕様は分譲仕様レベルで「中の上」、価格は場所柄もあり高い。6階の広場もいい!また、低層階を公共施設として利用している点は特筆すべき。保育園や児童館など、条件付で区外の人も利用できる児童の一時預かり施設があれば、子供を預けて銀座で買い物、聖路加に通院、といったニーズに応えられる。
A:”公団住宅”という既成概念に捉われず、都心での住まいづくりを丁寧に実施できたと思う。・・・担当者としての思いも深いので当然評価はA。
B:内に開いた空間は魅力的。各部屋のプランもバリエーションがありよかった。賃料×0.8位だと住もう思って見ることができたのだが・・・。
B:6階フリールームとパティオが連携して居住者に活用されれば面白い。しかし居住者を選べない公募賃貸では難しいのかな。
B:全体的にていねいに造り込んであると感じた。高層部のガラスの廊下手すりには、少し恐怖感を感じました。
B:家賃が高くて、普通のサラリーマンが住めない
B:6階のパティオを囲んだ空間構成、シンプルだが質の高いデザインから、新しい都心居住の可能性が感じられる。


3.聖路加ガーデン等【評価ポイント 4.78】
A:3つの街区の性格を変え、上手く組み合わせて「都市」を創っている。歴史的景観であるチャペルの保存、公園のように緑豊かな空地の提供、そして川沿いの超高層棟の特色ある頂部デザインとブリッジなど、この団体がそなえる高い文化性と社会性が、空間デザインにみごとに実現している。
A:旧居留地の面影を残すことに成功している。特に、病院の建替えに際し、歴史的建物の保存を都市計画制度の活用により実現した点で高く評価できる。3つの街区のうち、川沿いを高容積にし、それ以外を適度なボリュームに抑えたセンスは、この界隈のスケールを守るのに貢献している。
A:3つの街区を一体的に再開発し、容積を隅田川に集約したことで、緑豊かなオープンスペース、歴史的建築物の保存など、素晴しい都市空間が創出された。
A:緑、歴的な建物、歩行車道・・・じっくり見るとこの開発の努力が読みとれる。
A:各街区ごとに特徴があり歩いていて楽しかった。
A:廊下の先にチャペルが保存されており、こんな保存のしかたもあるのかと感心した。人しれぬ穴場を見つけたようでうれしい。
A:教会のステンドグラスが素晴らしかった。
A:丁度チャペルで結婚式をやっていました。厳かな中にも温かみがある。
B:川沿いにそびえるツインタワーというプロポーション、スカイラインが個性的なところがよい。下層部の店舗、飲食店ももう少し特徴や個性があればよいと思う。


■ラ・ヴェール明石町の公団住宅について
◎あなたが住みたいと思った住宅はどれでしたか
イ(1K 44F):プランがコンパクトにうまくおさまっていた。
イ(1K 44F):窓のある浴室は開放的で、リラックスしたバスタイムをすごせるのでよい。ほとんど休日にしか使わないキッチンにも採光がとれるているのがよい。
カ(1LDK 54F):理想を言えば「ソ(1LDK+SS 90F)」であるが、現実性を加味すると「カ」。角部屋は理想であるが、家賃が高いので、西向きの奥行きの浅いプランでがまんすることにしました。
コ(1LDK 60F):部屋の広さが手頃だし角部で明るいし、物入れがたくさんある
ソ(1LDK+SS 90F):こんな部屋で一人暮らしができたら天国!
マ(2LDK+F 84F):キッチンを中心に回廊的であるので、使い勝手よさそう!
マ(2LDK+F 84F):中庭を囲むフリールーム付きの中でも、フリールームと洋室が組み合わせてあり、さらにクロゼットを介してリビングへも通り抜けられ、空間に奥行きと深みがある。
モ(3LDK 84F):4人家族だと最低でも3LDKは必要なので。
なし:4人家族の我が家が選べるタイプはありませんでした。やはり3人以下の小家族向けですね。


◎6階住戸のフリールームをどう使いたいと思いますか
●趣味等のワークスペースとして活用したいと思いました。
●書斎(いつもドアを開放しておき、中庭を歩き回って考えたり、ベンチで読書や珈琲ブレイクを楽しんだりしたい)
●幼児向けの塾。パティオが子供の遊び場になればうまくつながります。
●NPOの事務所、ホームオフィスとしても使えそうです。パティオとの連携が課題かな。がどんな風に使われるのか楽しみです。
●近所付き合い、仕事の打合せ、何かの活動など、ちょっと距離をおきたい人との打合せをここで行いたい。このスペースをうまく使えば、リビングまで人を通さずにすみ、生活を見せる必要がないのが利点である。といっても、今の私の日常生活では、そういうつきあいがないので、このスペースは必要ない。きっと納戸になってしまう。
●カルチャースクールを開く
●子供の遊び場スペースとして使う。
●趣味の集いの場と、絵の展示などのレンタルスペース。ただし、個人的には、マンションのメゾネットは否定的である。階段スペースがデッドスペースであるし、マンションは平面移動が魅力なのである。
●昼はカフェ、夜はバーに使えるようにして、たまり場として活用。
●パーティールーム


■今回の企画について意見、感想など
●よく歩いていた街でしたが、今回知らなかったチャペル等新しい発見がありました。既に歩いた街を、再度じっくりと歩くとい企画よかった!(井手)
●知られざる築地・明石町の街をじっくり歩けて大きな収穫でした。江戸以来の伝統と明治以降のハイカラ、現代の都市開発が、戦災を免れて並立する不思議な面白さだらけの街ですね。ラ・ヴェール明石町は、公団本来の役割を着実に果たしたきわめて良質なプロジェクトであると思います。7月から都市再生機構ですが、今後は住宅供給者から「街のプロデューサー」に転身して、もっとすばらしい都市の実現に頑張ってもらいたいと思います。栗原さん、石垣さん、ありがとうございました。(大竹)
●歩く距離が少なくて私でも十分ついて行くことが出来たので良かった(千川)
●TEKUTEKUのショート版で、フットワークが軽い感じで良かったと思います。ポイントとなる見学をメインにした今回のような企画も良いと思いました。栗原さん、石垣さん、ありがとうございました。(藤井)
●裏路地が意外に面白かったと思います。今度は銀座も含め路地めぐりをしてみてはどうでしょうか。(古里)
●路地裏や隠れた教会、古いビル、異国情緒の寺など狭い地域を歩いた割には、満足感の高い企画でした。モデルルームをTEKUTEKUの人と、わいわい言いながら歩き回るのも楽しかったです。ありがとうございました。(水谷)
●モデルルーム巡りは楽しい! ありがとうございました。(脇野)
●とても寒い土曜日でしたが、普段通勤で歩く道以外にいろいろまわれてよかったです。予想以上に街として特徴と歴史がある興味深いエリアだということが再発見できました。(石垣)


●コーディネーターから:今回は急遽決まったので、間に合わせ企画になってしまいました。市場を見なくては築地を見たとはいえません。そのうち本当の築地企画をやりますのでご期待ください。

ラ・ヴェール明石町にて

ラ・ヴェール明石町のパティオ
聖路加のチャペル
築地の路地

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