まちづくり企画27■さくらガーデン企画2004.4の記録


teku-tekuまちづくり企画27


さくらガーデン見学&お花見報告

日時●  2002年4月4日(日)11時から
場所●  横浜市泉区和泉町「さくらガーデン」(旧いずみ町プロジェクト)
参加者● 大竹 亮 千川 明 (原 久子)


1.全体について(評価 A)
・郊外の農地という土地の記憶を活かし、地域に溶け込んだ上手いプロジェクト。どこでも高層マンション、ミニ戸建、プレハブアパートという画一的な開発が進む中で、農と食をテーマに、その場所に共に住むということの意味を追求し、定期借地+コーポラティブという手法によって空間構成とコミュニティ形成の相乗効果をみごとに達成している。
・閑静で緑が多く土があるのがいい。


2 周辺との関係について(評価 A)
・農家の屋敷や畑、雑木林が残る遠郊外地域にあって、それらの景観を損なわない控えめなデザインや、暮らしの中に農耕をとり入れたコンセプトは、地域の特性を活かしておりすばらしい。


3 デザインについて(評価 A)
・建物自体は四角い2階建てのシンプルなデザインだが、中庭を囲む配置計画の下に、居住者手作りの銘板、工夫された個々の住戸など、基本がシンプルゆえに手を加える余地が多く楽しい。
・四角で外壁も地味にシンプルにまとめている。


4 生活利便性について(評価 C)
・交通や店舗などの条件はあまり良いとは言えないだろうが、この環境とコンセプトなのだから、両方求めるのは無理があるだろう。
・駅や商店に遠すぎて不自由。


5 コミュニティについて(評価 特A)
・それぞれの居住者が、耕作と収穫を楽しんだり、自分の住戸に手を加えて工夫するだけでなく、全体でパーティをやったり、私たちのような外部の者も歓迎してくれたりと、新しいコミュニティの芽吹きが(1回伺っただけでも充分に)実感できる。
・昔の長屋のコミュニティを復活させた。


6 その他
・計画段階で敷地を拝見してから3年経ち、瀟洒な建物は完成し、そこでは、農と食のある生活を楽しむ暮らしが始まっていました。百聞は一見にしかず、建物の工夫や、お住まいの皆様のお人柄、そしてコミュニティの雰囲気がよく分りました。そして、原さんたちは、ここで空間よりも居住スタイルをデザインしたかったのだということ、そしてそれが上手く結実したことを明瞭に理解できました(まいった!)。大変でしたでしょうが、いいプロジェクトになりましたね。居住の皆様には、飛び入り参加を受け入れてくださり、お宅の中までご案内くださって、本当にありがとうございます。遠路うかがった甲斐がありました。私も、こういうまちづくりをしなくては!(大竹 亮)

・お花見とはいえ、雪のちらつくとても寒い日となってしまいました。皆さんにも見学・応援いただいたプロジェクトです。農園を囲む、中庭配置へのこだわり、植栽や緑が似合うようなシンプルなものに。一難さって又一難とまさにプロジェクトX。賃貸に住む単身のおしゃれな?若い男性が積極的にコミュニティに参加というのがこのプロジェクトの面白さであり、新しいライフスタイルです。住まれる方々のコミュニティははじまったばかり。60年の定期借地権ですので、末長く良好なコミュニティが世代を超えて、育まれることを祈っています(このプロジェクトと同時に生まれた赤ちゃんがいてどのような子どもに育っていくかもとても楽しみです)。この経験をいかして第2号プロジェクトができればと思っています。(原 久子)

▲さくらガーデンのある横浜市郊外のいずみ町周辺には、農家の大きな屋敷や田畑、雑木林が残る。今や得がたいほどに環境に恵まれた地域である。

 

▲田園風景を歩いていくと、こじんまりとした2階建ての集合住宅に出会う。「さくらガーデン」の銘板が迎えてくれるが、これは居住者による手作りとのこと。

 

▲郊外の環境に配慮して、小さな3つの住棟が中庭を囲む8戸のプロジェクトである。1階庭のウッドデッキや2階のテラスなど、住まい手の工夫が感じられる。

 

▲さくらガーデンの名前の由来になったしだれ桜の古木。中庭を大きな庭とすれば、こちらは小さな庭。その一角に、もともと敷地にあった樹木が残された。

 

▲隣接地には農園がある。ここで居住者が丹精をこめて育てた作物は、収穫されてパーティの食卓をにぎわせることになる。

 

▲エントランスの駐車場一角で催された当日のお花見パーディの様子。あいにくの空模様で、テントが張られたが、結局降られずに楽しむことができた。

 

(文と写真:大竹 亮)  

 


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