代官山インスタレーション2005(てくてく)アンケート



実施日:11月19日(土)11:00〜14:00ごろ 北川フラム作品解説ツアー+作家との懇談会
     または 会期中(11月5日〜27日)に任意で鑑賞しアンケートを提出
アンケート回答者(12名) *青木伊知郎、*安藤文、*井手幸人、*上山晶子、*大竹亮、 *栗原徹、澤田容子、清水俊哉、*萩原晶子、*溝辺正浩、 *矢口晴美、脇野真澄  (*はツアー参加者) 
参加のみ(無回4名)    青木惠次郎、青木優実、脇野陽子、青木理惠(事務局)
ツアー・懇談会参加作家(7名)  村井一、大家雅広、小野田祐一、伊庭野大輔、藤井亮介、 柴田美千里、山口良臣



氈@代官山インスタレーションについて
-(1)代官山に来る頻度は?
   月に一回以上(2)、半年に一回(2)、年に一回(4)、めったに来ない(3) 今回初めて来た(1)


-(2)代官山インスタレーションは今年で第4回展ですが、過去展と比較した感想は・・・

・前よりインスタレーションが街に意味合いを持ったものになっている。(安藤/2001)
・以前の作品はこれは何だと、いった感覚があったが、2005年の作品は街にとけ込んだ作品が多かったような感じがしました。(井手/2001、2003)
・どの作品も個性的で、まちや訪れる人への働きかけがあり、充実している。この傾向は同じだが今回は道路中央や電車にまで展示場所が広がったことでより効果がはっきりしたと思う。(大竹/2003)
・2003展よりも、2005展のほうが、代官山という街や場を活かした作品が多かったように思いました。(栗原/2003)
・前回は街の中にとけ込んだ印象の物が多かったが、今回はBlowinユin the windや代官山リビングのように、街の風景が変わって見えるという作品が印象的だった。(溝辺/2003)
・前回は、もっと室内の作品が多かったような記憶が・・・。前回は展覧会という視点でインスタレーションを見ていたのが、今回は、11月14日にまちづくりシンポジウムや作り手から話の聞けるツアーに参加したことで、より街とのつながりを意識してみることができて、面白かった。
(矢口/1999)
・今回の方がわかりやすい作品が多かった。散策しながら作品を見つけ、楽しむことができた。(脇野/2003)
・今までより迫力、インパクトがあってよかった。(青木)

-(3)今回見た作品は?  
代官山リビング(12人) ミズキキ(10人) カクレ代官山まっぷ (10人) white spot (12人) へチマ(11人) Blowinユin the wind (12人) 
MOT:MUSEUM OF TRAVEL(11人) きりん(11人) でんごん/DENGON (10人)  到着する代官山〜重なる場〜(11人)

-(4)以上の中で特に興味・印象のあるもの(複数回答) ( )内は(評価した人数/見た人数)
代官山リビング(9/12) 
・突飛な発想だが、実用的でもある点がすばらしい(大竹)
・特殊な立地条件を活かしたスケールの大きさが非常に印象的(栗原)
Blowinユin the wind (8/12) 
・風車のようでもあり、気候マップのようでもあり(大竹)
・幸か不幸か風のない散歩日和だったため、矢印が風で動く軌跡を見ることができなかったのが残念。(脇野) 
white spot (1/11)
・発泡スチロール?と思ったが、空間との調和が取れていて、とてもよかった。3歳の娘も大変よろこんでいた。(脇野)
到着する代官山〜重なる場〜(2/9)
・座る位置によって微妙に見え方が異なるのが面白い(大竹)   
きりん(2/10) 
MOT:MUSEUM OF TRAVEL(1/10)  
でんごん/DENGON (1/10)

代官山の街とインスタレーション展の関係について
-(1)街全体の印象は?

好きなところ:
・賑わいのあるお洒落なまち(青木)
・ゆっくりした街散歩ができる感じが残っている。(安藤)
・ヒルサイドテラス群の建物と歩道として見え隠れする自然(井手)
・代官山は渋谷などと異なり、比較的ゆったりと歩くことができるので好きです。開発はあるものの、古くからのお店が続いている街という印象もあります。(上山)
・代官山は、渋谷川と目黒川に挟まれた丘の街であり、旧同潤会アパートやヒルサイドテラスに代表されるような高質な低層集合住宅と専門店舗群が豊かな緑の中に並んでいる。近年、同潤会の再開発や高層マンション、大規模店舗等によって街の性格が変わりつつあるが、まちなかに点在する広場、中庭、道路、公園、そして建物には、ヒューマンスケールかつ独特の風格が備わっており、落ち着いた安らぎを感じる街となっている。(大竹)
・ヒューマンスケールで奥行きの感じられる街並みと、質の高い店舗や建築が、非常にいい雰囲気を生み出しており、特に、代官山ヒルサイドテラスが長期にわたって徐々に整備されてきたことで、街がよい形で熟成されてきたと思います。(栗原)
・雑貨店や美容院、洋服屋などが多く、おしゃれな感じ。(澤田)
・建物の高さと街路樹の心地よいリズム。昔から好きです。(清水)
・とてもいい街だと思う。コンビ二やスタバチェーン展開している店がないのがいい。わたしは吉祥寺に住んでいるが、同じようにお洒落さんな街と世間には認識されていても、吉祥寺は没個性の店ばかりになっていて味気ない限りです。(萩原)
・あまり高い建物がないのがいい。適度な空き空間があり、街全体に品があるのがよい。
(矢口)
・旧山手通りの並木とそれに合わせて高さを抑えたヒルサイドテラスのバランスが非常にいい。(脇野)
・ヒルサイドテラスの辺りは、風景に筋の通ったピンとしたところがある(溝辺)
嫌いなところ:
・落書きなどきれいでないところがある。(青木)
・前よりパリッとしない感じがある。(安藤)
・原宿化するまち(井手)
・最近自分のお気に入りの場所が特になく、代官山にきてもなんとなく所在無く、自分の居場所ではないように感じていました。(上山)
・監視カメラや壁への落書きがあるところもあり、少し治安が悪そう。(澤田)
・旧山手通りの両側の歩道を左右行き来できる横断歩道が少ないこと。いつも、西郷山公園のあたりまで行って、横断して戻って来るというパターンになる。(脇野)
・(ヒルサイドテラス辺り以外は)ゴチャゴチャとした混乱した印象(溝辺)   

-(2)代官山インスタレーション2005を見て、これまでと街の印象は変わりましたか?
変わった:

・大いに変わった。代官山は落ち着いた街並みとお洒落なショップというイメージだったが、2003年展を見て、アートによって街角の場を変化させることができるような、しなやかな特性を持った「仕掛けの組み込まれた街」であることを発見した。今回2005展では、街角を飛び出してさらに道路や電車まで影響力が広がり「実験場としての街」という印象が強まった。(大竹)
・まちづくりシンポジウムを聞いて地主の朝倉家の理解とヒルサイドテラスの成り立ちを知った。その考え方が街全体に生きているということが実際にインスタレーションを見て、確認できた。(矢口)
・普段とは違う、はっと目を引く物があり、風景にめりはりが出たような印象。(溝辺)
・今回、作品が展示されているということで初めて菅刈公園に行ったことが収穫です。いい公園ですね。(脇野)
変わらなかった:
・あまり変わらない。若干こんな場所があるのかと思ったが。代官山に久しぶりにくると人気がなかったのがびっくりした。(安藤)
・特にかわりません。(井手)
・街の印象としては変わりませんが、最近代官山の楽しさが感じられなくなっていたので、久しぶりに自分にとっての居心地の良い、気持ちの良い、代官山を体験することができたと感じました。(上山)
・街にアートがあることが、違和感無く馴染んでいるために、街の印象としてはあまり変わらなかったと思います。(栗原)
・変わりませんでした。(清水)
・特に変わらないが、初めてぐるっと街を歩いたので、街の歩き方が少しはわかった。(萩原)
・かわらない(青木)


-(3)代官山インスタレーションはまちづくりに貢献していると思いますか?
貢献していると思う:

・大いに貢献している。代官山インスタレーション展は、単なる街を舞台にしたアート展ではなく、設置場所をあらかじめ想定して制作している点、建物や道路・公園・広場などの空間と一体化し変化を誘発するような作品である点、街を訪れた人々に働きかけるような作品である点、などの特異性によって、街の装置として人々に「場の意味」を考えさせるような効果を持っており、まちづくりへの基礎的認識を涵養することができる。(大竹)
・貢献していると思う。作品を通して、普段は足を運ばないところまにまで行ってみようという気持ちになった(代官山リビング、到着する代官山)。まちを隅々まで歩くことこそ、まちづくりの第一歩だと思っているので。(脇野)
・代官山インスタレーションを行うことで、アート関係者が代官山を訪れるとともに、アートを置くことで店舗や建築のオーナーとの新たなコミュニケーションが生まれるという面で、まちづくりに貢献しているのではないかと思います。(栗原)
・特に、代官山リビングのように、普段使われていない不思議な空間、普段、なんとなく通り過ぎるちょっとしたスペースを、この展覧会でスポットを与えることは、住んでいる方々、訪れる人にとっても、それぞれのスペースについて何かを考える機会を与えている。(井手)
・街に楽しさや発見を加え、街への参加意識を与えてくれると感じます。(上山)
・思う。都市とアートが混ざり合って、よりおしゃれでモダンなプラスのイメージを持ったため。
(澤田)
・代官山インスタレーションは、他のパブリックアートに比べて建築分野の方の作品が多いので、作品がよりスマートに街と一体化しているように思われる。また、アーティスト同士の方の交流があったり、アーティストが作品を作るときに地元の方々や役所の方々とのやりとりがまちづくりに間接的に貢献しているのではないだろうか。(矢口)
・街全体に及ぶ、これといったイベントのない所で、宝探しのようなこのイベントは、代官山全体の隠れた魅力、街としてのおもしろさを引き出す良い機会。(溝辺)
・わたしのように外から人が来る。(萩原)
・している(はずだ)と思う。代官山に今まで来なかった人が来るようになる。いままで知らなかったエリアに足を運ぶなど・・・。(青木)
 あまり貢献していないと思う:
・意欲は評価します。ただ、代官山自体がメッセージ性やデザインレベルが高いので、今回の作品が特別デザインされたものという印象を持つことができず、まちづくりに貢献というレベルには達していないように思いました。正直なところ、気づくことなく通り過ぎてしまうようなものという印象でした。到着する代官山〜重なる場〜と代官山リビングは、明らかに普通は無いはずのところに何かがあったので、面白いと思いました。(清水)
・イヴェントとしてはある意味いいと思う。ただ地域の人と密着しているかが今ひとつ感じられず‘イベントをする人と土地を貸し出す人’といった感じがする。(安藤)


-(4)今後の代官山インスタレーションに向けての提案・ご意見など
・期間内の仮設ではもったいない。好評な作品は常設展示に移行するといいのでは。制作者を交えてのアートツアーは非常にためになった。今後も続けて欲しい。(大竹)
・準備が大変だとは思いますが、毎年実施したほうが、街の年中行事という形で定着するのではないでしょうか。また、良い作品については、そのまま消えてしまうのは惜しいので、何らかの形で街に定着させることができると、もっと面白くなると思います。(栗原)
・代官山リビングはそのまま残していただきたいくらいですね・・・。(矢口)
・まずは、継続していただくことが一番の希望です。(上山)
・また今回のようなツアーをぜひ企画してください。(矢口)
・地域の人も入り込んでやれるほうがいいと思います。(安藤)
・街を探し歩くといった仕掛けがあるといいですね。つまり、どこに何があると公表しないで参加した方が作品を探し歩き、今日は2つ見つけた、次は3つ・・・期間中には捜し物が増えるといった・・・この期間は街が宝物箱化するといった仕掛けはいかがでしょうか。(井手)
・私は旧山手通り・ヒルサイドテラスの方が好きですが、代官山のランドマークになりつつある(なった?)代官山アドレスに一つ大掛かりな試みがあってもいいのでは?と思います。(脇野)
・もっと作品を増やす、エリアを広げる、毎年行う。(青木)
・作品がまちに違和感なくとけ込んでいて面白かった。同時にやっていた、物販や試飲など(にゅうめん、わたあめなど)も気軽に楽しめた。(澤田)→猿楽祭と同時期にインスタレーション展を開催することへの評価ですね。ありがとうございます。(事務局)


-(5)その他、都市とアートの関係など、自由にご感想・ご意見を書いてください。

・都市は日常生活の場であり、反復継続的な活動が円滑に行われるための器である。一方、本物のアートは非日常の存在であり、私たちの常識や固定観念を一掃し、全く新しい概念を提示してくれる。こうしたアートの存在によって、都市はこれまで見たこともないような一面を現し、私たちに新しい活動の契機をもたらしてくれる。この関係をもっとも先鋭的に追求している代官山インスタレーション展に今後も期待したい。(大竹)
・アートは、美術館に飾るよりも、街の中にあったほうが活き活きとして見え、特に、街の人たちと関わりあう作品は、街の個性や文化を生み出す仕掛けとして有効だと思います。(栗原)
・それそれの都市、まちに合ったアートというものがあると思う。代官山は、駅前よりも旧山手通りや八幡通り、ちょっと入った住宅地に人が集まり、隠れ家的な魅力がある。ホテルや式場はないのに洒落たレストランでは結婚披露宴を祝うカップルも多く、会場のレストランを一歩出ると代官山の町の中。ウエディングドレスも着飾った招待客も町にとけこむ代官山は、それだけで十分アートなまち。いわゆる繁華街とは一線を画しているところが魅力。(脇野)
・建物のデザインが統一しない我が国で、建物・建物をつなぎ、地域のイメージをつくる上で、アートが担う役目は大きいと思います。(井手)
・切り口の違う人が良さを見つけてさらに地元の人が触発される関係がこのようなイベントの良いところかもしれませんが乗ってる感じが欲しいです。(安藤)
<コーディネートを終えて>
 ツアー当日も、また会期全体を通しても、天候に恵まれた代官山インスタレーション2005でした。気持ちよい秋の代官山を散策していただけたのではないかと思います。
前回展では「参加型」をキーワードに掲げましたが、今回はもう一歩踏み込んで、鑑賞しながら作品と自然に「対話」する関係を楽しんでいただけたのではないでしょうか。今回は名実ともに街へ割って入った作品が多く、様々な点で、回を重ねることで理想に一歩ずつ近づいています。
また、同時代アートの醍醐味は鑑賞者と作家とが時間や話題を共有できることにある、と常々感じていたので、今回初めて独断で作家との交流を試みました。懇談会への大勢のご参加もありがとうございました。メッセージの送り手である作家の側からは、生の手ごたえを感じる機会を歓迎する声が聞かれました。てくてくの皆様の意識の高さはアーティストへの刺激となって伝わったことと思います。
2007展へ向けての励ましやご意見もどうもありがとうございました。さらなる活動につなげていきたいと考えていますでのこれからもどうぞご支援ください。
(代官山インスタレーション実行委員会事務局 青木理惠)


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