まちづくり企画38■鹿島企画2006.1の記録


teku-tekuまちづくり企画38


TEKU−TEKUまちづくり企画 鹿島神宮門前町の再生


【日時】2006年2月11日(土、祝日)11:30-16:00
【コース】鹿島神宮駅〜鹿島神宮参道〜鹿島神宮(本殿、奥の宮、御手洗池、要石)〜鹿島神宮門前町〜鹿島商工会館(地元関係者とのディスカッション)
【参加者】11名
大竹亮、熊坂高、栗原徹、小林正樹、田村憲二(*)、二瓶正史、原久子(**)、古里実、堀田由紀夫、山口操、梶川義実(コーディネーター)*は途中参加、**は別途参加


【企画趣旨】
◆鹿島神宮門前町の再生をめざしたまちづくり

鹿嶋市は鹿島臨海工業地域の中心、鹿島アントラーズのホームタウンとして有名で、人口は約6.5万人で今も増えつつあります。しかし旧来の中心市街地である鹿島神宮門前町は、どこの地方都市でもみられるよう、諸機能の郊外化により1960〜70年代の繁栄振りからすると、「見る影もない」状況に陥っています。 (財)住宅生産振興財団の平成16年度すまい・まちづくり設計競技の課題地は、この鹿島神宮門前町の再生であり、二瓶会員(57院)の作品が準特選に選定されました。審査委員には高見沢先生も入っております。地元では、この設計競技をきっかけに、市民にも都市再生の機運が芽生えてきたそうです。
二瓶会員とともに現地訪問し、作品の狙い等について意見交換を行います。
なお、私は1964年から1975年まで住民でした。梶川義実(コーディネーター)



【参加者の意見】

1.各地区の評価とコメント
(1)鹿島神宮表参道 2.77(ABBBBBBCC)
・鬱蒼とした森に楼門、本殿、奥宮、御手洗、要石などが鎮座している。清々しく、重々しく、3つしかない古代神宮の 風格を感じる。
・路面等綺麗に整備されており、神宮の参道らいしい雰囲気はあった気がする。
・道路そのものは幅が広く車道と歩道の段差が無く舗装も良くきれいに整えられていた。
・大町通りは石貼りの車道とレンガ風の広い歩道が歩きやすい。
・奥参道のうっそうとした緑が素晴らしい。
・整備された当時よりも馴染んできた感じだが、神宮直前まで一般車が入れるのは改善すべき
・参道はきれいに整備されているが、お土産屋なども少なく、活気が感じられない
・家並みに一体感がないのが残念。かといって猥雑な活気もない。ただし基盤がしっかりしているので、期待をこめ た評価。
・鹿島神宮駅前から大町通りに通じるコミュニティ道路のように、破損したインターロッキングをアスファルトで舗装す るような補修は避けてほしい。
・きれいになったとはいえるが、それがかえって寂れた感じを出している。

(2)鹿島神宮門前町の住宅地、中心商店街 1.44(BBCCCCCCD)
・道路や敷地規模が大きく、住環境としては良い。
・通りによって、商店の構成が、土産屋や近隣商店などと異なるのがおもしろい。
参道前の商店街は歩道が整備され、お店も開いていたが、それ以外は元気がなかったのが残念。
・中心商店街は、かつて繁栄していた雰囲気が残っているが、今は元気がない。
・住宅と商店街が一体となっているのは大きな要素だが、これが逆に反対の賃貸への阻害となっており、活性化の 妨げとなっている。
・仲町通りの七福神以外は寂れたまちという印象。せっかく整備した七福神も他の施策と結びついておらず、まちづ くりが単発で行われているようで、もったいない。
・何の先入観も持たずに行ったが、本当に閉まっている店や開いている店が多く、人通りもなくゴーストタウンのよう だった。
・土産物屋の呼び込みがきつい。ホスピタリティを感じれない。
・商業地としては壊滅的。


(3)今回歩いた鹿島神宮門前町全体 1.44(BBCCCCCCD)
・鹿島神宮は、まさに神の宿る静かな森であり大きな街の中心だが、これがまちづくりと一体となっていないのが逆 に不思議に思えた。
・「土地建物を売らない、鹿島神宮の氏子でいたい、生活には困っていない」は隠れ資源。
・門前町に活気がないのは気になるが、鹿島神宮の鬱蒼とした森は、他ではなかなか見られない神々しい雰囲気。
・にぎわっているのは神宮の社務所の前だけでそこ以外は活気がなかった。神宮そのものは自然を残していて手あ かが付いていない印象を受けた。
・神宮内には人が多いのに、門前町にはほとんど人がいないのが気になった。
・鹿島神宮という超A級の存在が街に風格を与えているが、活気と賑わいに乏しいのが課題。
・鹿島神宮の資産を生かしてきっていない。
・寂れた町という印象が強い。鹿島神宮前の食堂の呼び込みは、入る気がそがれる。蕎麦は名物なのか?それなら 蕎麦をテーマとした街づくりもいいのではないかとも思う。

2.鹿島での消費行動
(1)鹿島滞在中(2/11のみ)に、何にいくら(何円)消費しましたか?
飲食:なまず定食、1,570円(6人)。なまず寿司(2人)お茶ペットボトル150円、お賽銭、おみくじ、お守り
土産等:なし。(8人)


(2)買いたいもの、魅力的なものはありましたか?
・神宮内の御手洗の側の茶屋にあった、みたらしの水を使って作ったみたらし団子。
・「かしま甘太郎」
・どこにでもあるような物しかなかったような気がする。
・なまずは食べたけど、努力は評価するがもう一度食べたいかと言われると疑問
・なし。呼び込みが激しくゆっくり見られる雰囲気ではなかった。歩いた範囲では、和菓子店が1店あるだけだった。
・特に買いたいものはなかった(4人)


(3)どのようなものがあれば、買いたいと思いますか?
・鹿島神宮ゆかりのありがたく風格ある文化的価値の高い品物。
・鹿島神宮はその昔「鹿島立ち」で知られたように武運の神様であるため、太宰府天満宮が学問の神様として知られ その門前町でも学問関連商品が多いように、スポーツの勝利をアピールし、それに結びつくような小物があれば売 れるかな?オリンピックに参加する選手が出国前に詣でてくれるなどすれば、良いアピールになるのだが‥。
・地元で作られた個性ある物産や、ここの歴史や文化がわかるようなもので、センスが良いもの
・鹿島の特産品(そこでしか買えないような物、または他よりも品質が良く安い農水産物、鹿島神宮にゆかりのあるも の)があれば買いたくなると思う。
・鹿島神宮の緑や要石に因んだもの。
・鹿嶋でしか入手できないもの。
・地域の自慢の農産物、水産物などを用いたおいしそうな食品類。
・「鹿島神宮に行ってきたんだよ」と言えるようなもの。どこにでもあるような食べ物でも「鹿島」と書いてあればよい。

3.鹿島神宮門前町を元気にするには?
(1)鹿島神宮門前町を歩いて、何が良かったですか?(いくつでも)その理由は?
・参道の街区が少しずつずれていることにより、参道が蛇行したり、小広場的なコーナーが生じたりし、ゆとりや景観 的なおもしろさを生み出しているところ。
・参道が電線の地中化等綺麗に整備されており、鹿島神宮までの景観を損なわないようになっている。
・住宅が残っており、商店街の人も含め門前町が生活の場となっている。
・大町通りの神鹿や仲町通り七福神に可能性を感る。石の彫刻とそれと結びついた施策ができると、ただ置かれて いるだけではなくなる。例えば、七福神を置いた神社やお寺と特色のある花の並ぶウォークコースなど。
・時が止まったかのような静けさ。人も車も少なく安全に歩ける。
・鹿島神宮の緑
・ナマズ料理:珍しいものだし、おいしかった
・門前の広い舗道:安心して快適に散策できた。デザインもシンプルで美しい。


(2)鹿島神宮門前町を歩いて、何が悪かったですか?(いくつでも)その理由は?
・悪いものは特にないと思う。(門前町に活気がないとしても、地元の人たちが観光地となることを求めていないので あれば、必ずしも悪いわけではない。
.・客引き:これから参拝する客に土産物を売るのは門前町の不文律に反する。
・みやげ物やの強引な呼び込み(他に6人)
・季節はずれの鮎の塩焼き。
・門前以外の道:歩道がないか狭く、安心して歩けない(歩行者もいないが)。
・あちこちに散見する、使われていない駐車場。
・参道に入り込む一般の自動車。
・商店街の店に地元の人が買いたくなるような物がない。(当然外部の人も行かない)
・ウィンドショッピングの楽しみがない。


(3)門前町再生について、合意できる施策としてどのような方法が良いと考えられますか?また、どのようなことから始めればよいと思いますか?
・観光面の活性化に短絡するのではなく、居住機能を柱に、古代神宮の門前にふさわしい土地利用とデザインを考 えるべき。氏子の誇りを持った地権者が、このまちの将来像を共有することから始めるべきだが、一角での先導 的プロジェクトも必要か。
・大鳥居までの参道だけでも賑わいを造る合意をとる。
・観光地にするのか否かなど、どのような街を目指すのかについて共通の認識を持つこと
・住民と、なぜ再生が必要かの意見交換を十分行うべき。市役所の話では市民の方は必要性を感じていないので はないか。地域の人のやる気、合意がなければ再生は難しい。まずは色々な機会をとらえてやる気のある人を一 人見つけ、その人を中心に輪を広げていくことが必要。
・街の人を動かすには、実際に人の動きを見せることも重要。例えば、メロンの収穫時期に、鹿島神宮のイベント があれば、その日にメロンの特産品を参道に露天を出して販売させる。パンフレットにもそれを入れておく。
・お祭り等コミュニティ活動に依拠したイベント企画を日常のまちづくりにつなげる。
・二瓶さんの提案のように、細長い敷地を生かして、表と裏をうまく活用する手法が合っていると思う。
・ギター屋さんに力があるならば、空いている駐車場で、アマチアバンドの演奏会をやって街のあちこちに人を集め る(これは鹿島神宮とイメージがあわないから難しいですかね)。
・昔から住んでいる人が多くいるので、鹿島神宮の昔の写真やゆかりの物を所有している人もいる。鹿島神宮イベン トの日に、その写真やゆかりの物を自宅または空き商店で一般の人に公開・説明する。その説明内容・地図のパ ンフレットを神宮に来た人や事前に配って街の中に人の流れを作り出す(新潟県村上市「人形の町」、 大分県豊後 高田「昭和の町」のイメージ)。
・空いている店舗を、通常の半額以下の賃料で、人を呼べる店をできる人に貸す。どんな業種にするかは、来街者 のアンケートにより探る。私なら、落ち着いて食事のできる和食の店。昼食なら、1,500円〜2,000円位で食べられる といい。そういう店が増えたらマップがほしい。
・商店の貸店舗化の為には、併用店舗を店舗部と住居部に確実に分離することが必要だと考える。
・商店と住宅が一体となっていること(これはメリットでもあるのですが)から、建物に仕切を入れる等区分しないと、 賃貸するにしても法律上の問題が生じる可能性がある。
・東京の井の頭公園のように、わざわざ行くような魅力があり、住民が犬の散歩をしたり写生をしたりしてくつろげ、 お酒も飲める茶店があるような公園をつくる。


4.今回の企画についてのご意見ご感想等
・二瓶さんのコンペ準優秀賞作品の評価が高く、そのことから、地元市役所、商工会等の方々と意見交換が深まり、 地域の課題がかなり理解できた。さらに、地元住民、商業者の方とおはなしできると、地域のまちづくり貢献という 点でさらに議論が深まりそうで、再度訪れたいと思う街になった(古里)
・街づくりコンペの応募者や地元の方々と一緒に、街づくりについて議論できたことは、非常に有意義だったと思う。(栗原)
・市役所、商工会の人とのディスカッションがだんだん盛り上がったところで尻切れトンボになったようで残念でした。 欲を言えば、特選、入選の作品についても計画の思想、プランの説明が聞きたくなった。(小林)
・鹿島しか参加できませんでしたが、無理のない時間配分で良かったと思います。ただ、買いたいもの等のコメントを 書くためには、土産物屋の中を覗く時間が必要だったかも。・梶川さん、企画どうもありがとうございました。お疲れ 様でした。佐原に行けなかったのは残念ですが、今回の皆さんの評価を参考に自分なりに歩いてみたいと思って います。(堀田)
・初めて参加させていただきましたが、鹿嶋市に対する理解が深い方が多く、一緒に歩いているだけで、多くのことを 教えていただき、たいへん勉強になりました。(熊坂)
・門前町しか歩いていないので何とも言えない。時間が許されればジャスコのある地区の様子も見たかった。(山口)
・有名なのに未踏だった地に訪問・参拝できたのが、関東人として満足だった。市役所、商工会、大学 関係者の方 とまちづくりを議論できたのが有意義だった。課題は非常に多いと 思うが、評価の高い二瓶案を契機に今後のまち づくりを期待したい。(大竹)

鹿島神宮表参道 鹿島神宮境内の参道
寂れ果てた門前町商店街。 鹿島商工会館での討論会。

 



コーディネータより
・今回は私の古里の一つである鹿島神宮門前町をご案内しましたが、参加者からの評価のように、現状は厳しいものがあります。昭和30年代、40年代は大変にぎわっていたのですが、今は見る影もありません。
・しかし、鹿島神宮は太古の昔より、あの地に鎮座しており、今回の訪問が鹿島神宮とともに生きるまちづくりに多少なりとも貢献できれば良いと思っております。門前町のまちあるきの時間が短く、土産物店等での買い物タイムが無かった点は、今後の改善点です。
・最後になりましたが、鹿嶋市の大橋部長、谷田川課長、鹿島商工会岡見副会長、大久保事務局長はじめ、討論会にご参加頂いた皆様、大変ありがとうございました。二瓶さん、堀田さん、ありがとうございました。(梶川)



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