まちづくり企画34■横浜企画2005.9の記録


teku-tekuまちづくり企画34

 


横浜コンバージョン建築を巡る 


【日 時】2005年9月10日(土)14時〜18時
【コース】横浜北仲通5丁目暫定利用プロジェクト「北仲BRICK」(旧帝蚕倉庫本社ビル)「北仲WHITE」(旧帝蚕ビルディング)〜BankART 1929 yokohama(旧第1銀行横浜支店)〜BankART Studio NYK(旧日本郵船倉庫)〜SOHO横浜インキュベーションセンター(旧シルクホテル)〜SOHO STATION<シティコート山下公園>〜ZAIMビル(旧日本綿花横浜支店)+graf media gm
【参加者】井手幸人、石原弓子、大木教子、大竹亮、来生ゆき、栗原徹、小林正樹、桜井ひろみ、志岐祐一、田中佐和子、坪田 華、野中るみ子、溝辺正浩、古里実、水谷晴子、谷貝等、谷貝葉月、矢口晴美、山根純一、横田宣明、佐々木龍郎+藤井正男(コーディネーター)他1名 計23名
オプション(辣)井手幸人、石原弓子、大竹亮、梶川義実、小林正樹、来生ゆき、坪田 華、溝辺正浩、藤井正男 計9名



【参加者による評価】
※ 評価方法 K:建物のデザイン・価値、N:内部空間(コンバージョン等)、S:使い方・活用方法、M:メッセージ性・情報発信性、総合の5項目をA〜D(A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:良くない)の4段階で評価。

1. 北仲WHITE・BRICK(旧帝蚕ビルディング、帝蚕本社ビル)
K:3.31 N:3.52S:4.56 M:4.05 総合:AAAAAAAAAAABBBBBBBB(4.15)
○ 期間限定であるが、それゆえに活用の可能性が広がった、価値あるプロジェクト。関係者の努力もさることながら、その土台をつくっている横濱の底力を感じた。
○ これだけ多くのアーティストや建築家が集まっているスペースは珍しい。改造が自由なので、集合郵便受や扉などきれいだし、いきなり展示室があったりと面白い。建物が素のままなのが良い。
○ 創造する空間の臭いがしました。北仲WHITEを入居者が触発しあい、この場から新しいアイデア、新たなまちづくりの仕掛けが暫定使用期間中に出てくるといいですね!!
○ 新しい価値を生むパワーを感じる空間。暫定だから出来ているのかもしれないが、それを企画・実行したことと、その1年半の経験は次に活かせると思う。誰かが言っていた部室感覚は最も適した表現。
○ 各々の入居者が空間に自由に手を加えて使っているのがよい。できれば全部屋見てみたい。それぞれの階で天井の高さが異なったりの空間も面白いし、入居者も楽しんで使っているように見受けられるのが○。
○ 様々な目的で小さな空間が利用されている混在感が面白い。 手作りのミニオフィスに好感が持てる。
○ 黒(モダン、落ち着く)と白(明るい、活気)の部屋の比較ができて、面白かった。
○ 期間限定の建物の活用としてはよい事例である。そのままならば、殺風景な街並みとなっているところを、これだけ活用できればすばらしい。
○ 再開発までの暫定利用で、デザイン関係の人を集めようという試みはなかなか面白い。しかし、この建築を再生して再開発に取り込めないのだろうか。
○ 期間限定ということで、できるだけシンプルな状態で活用。それが使用する側の気軽さや自由度の大きさにつながり、活気がある。
○ 1年6ヶ月という短期間にもかかわらず、これだけの入居者が集まるのが、意外だった。
○ あと少しで無くなってしまうのが残念。天井も高く、手直しすれば快適なスペース。
○ 建替えせずに保存したいですね。
○ 個々の建築家、アーティストの個性が現れているのがよい。パブリックスペースなど使い手によって建物が更新されていくのが面白い。(個性派が多いところでないと難しいかも)
○ デザイン関係の事務所がひとつのビルに入ることはなかなか機会がないので、お互い刺激しあってよいのでは。
○ 横浜は、アート・建築系で活動拠点としている人がいなかったので、とてもいい流れだと思います。
○ 建設局にいたときの古いビルを思い出した。天井の高さを利用して中2階をと考えたのも同じ。今回の見学では、最も重要だと思っている情報発信機能がよく理解できなかった。 
○ 個人的に注目しているからかもしれないが、情報発信という意味で結構よくできていると思う。ただ、期限付きなであることがあまり議論されていないのが残念。

2. BankART 1929 yokohama(旧第1銀行横浜支店)
K:4.72 N:4.45 S:4.64 M:3.86 総合:AAAAAAAAAAAAAAAAABBBBB(4.55)
○ 池田さんのレクチャーが充実していたこともあり、とってもすてきなプロジェクトだなぁと思い、横浜市民が羨ましくなった。横浜市との協力体制に感心した。東京芸術大学院映像学科とも連携して何かできたら、面白いのでは?
○ 説明者のプレゼン内容がとてもよかった。日常の使い方が非常にわかりやすく説明されていた。走りながら作っていくというコンセプトが公共事業にはない、他の分野でも取り入れていく可能性がないだろうか、と考えた。
○ 副代表の方のARTに対する熱意に圧倒された。うまく運営していくには、こういう”人”の存在が重要なのだと思った。
○ NYKと対照的な建物のイメージであるが、箱がしっかりしているがゆえに、アートとの対比も面白くなる。
○ 歴史的建物を改修し、NPOに委ねてアート活動に使ってもらうというユニークなプロジェクト。少々きれいで立派すぎるような気もするが、アート&デザインのまちづくり拠点として評価できる。
○ 旧横浜銀行を利用して、話をうかがい文化の発信性が高く評価ができる。このようなコンバ−ジョンの成功の可否はそのソフトや運営だということを感じた。  
○ 建物も良いですが、BankARTが展開しているアート系の様々な企画は地域的な拡がりをもち素晴らしいですね。NPOの新しいビジネスモデルとして今後の活動が楽しみです。
○ 建物も良いが、それを活用し市民に広めている仕組みが良い。税金を使う意味が市民に理解されるのではないか。 
○ 建物はもとからすばらしいですが、現在の利用の仕方がアート情報を発信している機能をもって、ソフト面も大変充実しているのはすばらしいことだと思います。ひと昔前に大きな箱だけをつくっていた頃からすると、このソフト(ノウハウ)を箱ものを持てあましている地方都市に売ったらいいのでは。だから視察が多いのかもしれません。
○ 収益本意で「大きなモノから小さなモノまで」まわしていく、そして、何一つ無駄にはしない、という発想の柔軟さ、懐の深さにいたく感銘をうけた。「ペイフォワード」という映画ではないが、人のつながりが可能性の鎖となっていると感じた。
○ ご近所として日常も利用できるような空間があるとうれしいです。
○ 教会コンサートのように歴史的建築物で芸術を楽しむ雰囲気が良い。
○ これだけのことがよくできたと思う。建物の再生と情報発信の代表的事例である。
○ 単に歴史的建築物を利用しているだけではなく、非常に活動が幅広い。横浜市から借りているにもかかわらず、収益性の事業や、24時間利用などもやっており、それによってさらに新しい活動に結びついているのがいい。
○ 新築部分が覆いかぶさっておらず外観に銀行時代の面影がよく残されている。
○ 昔の銀行によくある大空間を活用する例は多い。ここは運営するスタッフが特に熱心で、充分活用されているのだと思う。
○ オリティ高いですね〜!受付の紹介ビデオ?はもう少し分かりやすい方が?
○ とてもいいのですが、実際横浜市民がこのすばらしい試みを知らすぎるのが、今後の課題かと思う。期待もこめて、あえてMは辛口で評価。
○ 活動自体は素晴らしいと思います。但し、知るぞ知るBankArtとなっているところが残念。
○ 横浜市の文化芸術の情報発信という意味ではよく機能していると思う。ただ私が横浜で街づくりに関わっているから目に入るだけなのかは不明。

3. BankART studio NYK(旧日本郵船倉庫)
K:3.10 N:4.33 S:4.71 M:4.43 総合:AAAAAAAAAAAAAABBBBBBB(4.33)
○ かつての湾岸ロフトブームを思い起こさせるが、空間の活用方法に工夫が見られ、ソフトも併せ、倉庫を見事に蘇らせている。
○ 海岸倉庫のロフト的な空間が、怪しげなイベントスペースやオープンカフェ、スタジオなどに転用されて絶妙の効果を生んでいる。みかんぐみの俎板を組み立てて作ったカフェが非常にユニーク(取り外して使える建築!)。
○ 水辺の空間が素晴らしい。親水性がもっとあるといい。各ブースの展示が刺激しあい空間の活力をつくりあげている。
○ 建物そのものよりも、使い方が良い。運河に面していることも横浜らしい。
○ アトリエで活動しているアーティストとも近づけるようなカジュアルな感じに仕上げているのがよい。子供のお絵かき教室もなかなかいいアイディアだと思います。
○ 本当にいいロケーションなので、実はこの建物狙っていました。お酒が飲めるスペースって、本当にいいきっかけになるので、もっと成長してほしい。  
○ まな板になるバーカウンター、ユーモラスな展示、海から連なる景色、リムジン屋台……横浜ってかっこよくて楽しい! と感じた。もっと人が来ないのがもったいないほど。場所はちょっと離れているけれど、元港の倉庫の魅力十二分。
○ アプローチに工夫があり、展覧会用に作られたものをその後常時、使ってしまう潔さもよい。建物はもう少し近代建築っぽいものをイメージしていたが、海川の空間や二階のテラスなど、いい空間が多い。これからも大切にしたい空間ですね。
○ 赤レンガ倉庫を見渡す運河沿いの空間が良い。
○ 若い芸術家が集まり、新たなものを創造している。市民、子供たちも参加してまちの楽しさを演出している。
○ 旧富士銀行から移転させられたとのことだが、重々しい銀行建築よりも、海に面した倉庫のほうが、面白い活動ができそうなので、むしろ良かったのではないか。
○ 運営は上と同じ。ここは大空間をいかにうまく仕切るかに重点を置いているように思う。
○ 存在をはじめて知った。結構面白そうな催しがをしているみたいなので、今後チェックしたい。
○ 夜景が抜群という立地で夜350円お酒が飲めるのは利用価値大です。
○ ハンガーのトンネル・真っ白長い屋台・まな板バー等、アートが融合してました。水辺の遊び場的で面白い。
○ 穴場的な場所。赤レンガ倉庫の風景が良かった。
○ 休日の晩に大空間で一杯やりながら寛げるのはとても贅沢。
○ 2階のカフェは運河の広がりと景観を活用していい。中での利用は天井の高い元の倉庫である特性を十分に活用していたか疑問。演劇は理解を超えていて何ともいえない。
○ ロケーションが抜群にいいので、(駅も近くにできたことであるし)更にアプローチに工夫をしてロケーションを活用できればなおよいと思うものの、みなとみらい本体のように、観光客の波に蹂躙されてしまうところも見たくない、という感じ。

4. SOHO横浜インキュベーションセンター(旧シルクホテル)
K:3.29 N:− S:− M:− 総合:AAABBBBBBBBCCCCCCCCCC(2.33)
○ 1950年代の建築が、今なお評価され、地域の遺伝子とも言える創業のための場として再活用されていることに感激した。
○ 美しい戦後モダニズム建築である。
○ 元ホテルということで、オフィスながら居心地がよさそう。
○ 横浜のSOHOへの取り組みをアピールした良い事例と思う。
○ 坂倉氏の設計といわれると今まで普通に思っていた建物がすばらしく見える。海側の眺めは抜群◎。
○ 窓からの眺めが素晴らしい。センター内も南国風で明るい。
○ 内装の古さがなんとも。
○ ITを充実させた小さな事務所という印象。大阪で見たような起業家を育成していくという姿勢が感じられない。
○ 廃止したホテルの客室をSOHOにした着眼点は素晴らしい。SOHOから一歩進めて生存率の高い企業を育てる仕組みを作ってもらいたい。
○ 旧シルクホテルをSOHOにするという発想は非常にいい。休日だったのでよくわからなかったが、SOHOのアクティビティが、ロビーや下層階までにじみ出てくるような仕掛けがあると、もっと面白くなるのでは。
○ 建物本体は好きなのですが、パンフレットとか見せ方がちょっと勿体ない。内部に手をかけるお金がなくても、せめて、サイン関係、告知のデザイン。とても大切です。
○ 代表の方のお話が聞けなかったこと、オフィスが休みの日だったこともあり、実際どの程度活気があるのか分からず、空中庭園の草ぼうぼうの印象が強く残ってしまった。
○ 中が見られないのは残念。屋上庭園を持つインキュベーションセンターとは、贅沢、と感じたが、いい具合に野方図なところがよかった。
○ 一にも二にも、エレベーターが小さすぎる、という印象が強かった。通常あれだけの人数は一度に出入りしたりしないのであろうが、社会に対して開かれていくためには、アクセシビリティは重要と思う。
○ 場所、建物のステータス等は申し分ないが、床代が少し高かそう。インキュベートするにはもう少し床が安ければいい。
○ 賃料が高い印象がある。
○ 建物の立地条件から十分生かしきれていない。SOHO活動の拠点としては場所が不便でないか。
○ 建物自体のクオリティは高いと感じているが、全体のイメージ・デザインではインパクトが弱い。
○ 空室が多いのが気になった。賃料が高いのだろうか。

5. SOHO STATION(シティコート山下公園)
K:2.53 N:− S:− M:− 総合:AAABBBBBBBBBBBCCCCCCC(2.62)
○ 都市型賃貸住宅としての外観を備え、地盤沈下している関内における意欲的プロジェクトである。
○ 重みのあるつくりの建物と現代的なアート活動とのギャップが魅力的。足元の飲食スペース思わず覗いて見たくなる。
○ 市街地住宅として、品格あるデザイン、通り抜け通路と吹き抜け(中庭)、1階の店舗のにぎわいなど、高水準の計画といえよう。
○ 中庭空間がよい。中に入った瞬間の雰囲気はなかなか秀逸。
○ 新しい集合住宅のアイディアは面白い。
○ 都市機構も時代に合わせて色々試みているのですね。という印象。
○ 具体的なリーシングの成果がわからないので、なんともいえないですが。いい試みではあると思います。 
○ 前の項目と同様での評価になってしまいました。住宅側から見たところはすっきりしていて綺麗な外観でした。
○ 北側をSOHOに活用し南側をファミリー向け住宅という考えは面白かった。が、それ以外のことは理解し切れなかった。 
○ 南側はUR賃貸住宅だが、北側をSOHOにすることで、空間を有効利用している。通り抜けの通路と中庭に、積極的に人を引き込むようにすれば、もっと面白くなる。
○ 通りに埋め込まれている。住宅とオフィスの両方を活用している方が少ないのは何故?
○ 都心でSOHOのオフィスと住宅の両方を借りられるレベルの収入があれば、住居は別に移すと思う。
○ たたずまいが少し埋もれた感。
○ 新たな試みは評価するが、どの程度活用されているのか、採算性はどうか、今後の活用に期待したい。
○ SOHO部分と住居部分がフロアで分かれていることで、家賃設定などが煩雑なのではないか、と思ってしまう。
○ 建物が主張しすぎていないことがよい。ミーティングスペースなど半パブリックなスペースは外部に表現してもよかったのかなぁと思います。
○ ややこじんまりした感じ?
○ SOHO 横浜インキュベーションセンターの施設が利用できるという取組みが面白いが、本当に魅力となっているのだろうか。
○ 新築のメリットはあるが、オフィス空間自体はありがちと思う。

6. ZAIMビル(旧日本綿花横浜支店)
K:3.86 N:1.95 S:3.00 M:3.00 総合:AAAAABBBBBBBBBBBBCCC(2.91)
○ 歴史的建物を当面、トリエンナーレ展の事務局として利用しつつ、アート図書館、ライヴカフェなど人が集まるスペースも設けて、何が起こるかわからない楽しみな場所。芸術不動産構想の推進を。
○ 今後の活用に期待したいところ。カフェは、ビルの外壁を巧みに活用した、芸術性優れる作品。
○ まだまだこれからという印象。
○ 重みのあるつくりの建物と現代的なアート活動とのギャップが魅力的。足元の飲食スペース思わず覗いて見たくなる。
○ 天井はつって、照明を工夫するだけで、もっと良くなると思うので民間をうまくつかって、売上たてて、よりよく手を加えてほしいです。
○ 建物の中は天井が低く張り替えてあって、古い建物のよさがなくなっていましたが、お話を伺って、近代建築の活用の難しさを思い知らされました。でもこのような市の方々の熱意があれば、良い方向に行くのではないでしょうか。建物の狭間のカフェはよい。日大大通りはカフェのためにあるような素晴らしい道。素敵なカフェが立ち並ぶ通りになってほしいです。
○ せっかくの内装が覆われてしまっているのは残念だが、活用されていること自体が感動。カフェもよかった。いすプロジェクトで集められたソファたちがいろいろなところに使われていて、楽しかった。
○ マンションを敵視するわけではないし、居住環境の整備も重要であるが、適材適所というか、中華街においてそうであるように、印象の統一性という観点からも、歴史と伝統の町並みの中にマンションは入れ込みたくない、という思いには共感を覚える。(しかし、赤線地域をアーティストで「浄化」しようという発想(?)には驚きました)
○ ネーミングが面白い
○ 日本大通の一画を占める重要な建築物である。トリエンナーレ横浜の事務局として活用され、中庭はジャズ喫茶、日本大通と連携を持った活用を期待する。
○ 利用方法をあえて決めずに、なんとなく使っているというのがいい。こういうことができるのは、さすが横浜市。
○ 大通り沿いの景観のためにこの建物を残す。という行政側の姿勢はとても頼もしく感じました。入りやすい。天井の低さがちょっと・・。
○ ここの場合は、内装がほとんどなくなっているのが残念。長く使うなら、そこをどのように整備していくかが大きな課題だと思う。
○ 建物自体の使われ方は、普通であるが、建物の隙間を生かしたgraphカフェの使われ方が非常によい。
○ 未知数だと思う。今度が楽しみ。これからが課題だと思う。
○ 暫定利用の後どのように使われるのか。
○ 一般の人が、立ち寄っていないように見受けられたのが残念だった。

7. あなたは、近代建築の活用方法としては、どのような活用方法が良いと思いますか。
○ 都市の一部を構成する(ランドマーク、街並みなど)近代建築は、建て替えやファサード保存ではなく、そのまま保存して内部を転用すべき。その際、一般利用するには内装や設備の改修に費用が多くかかるので、まずは(北仲W&Bのように)アーティストや建築家、学生、NPOなどにそのまま使わせてみるのも一案では。
○ それぞれの建築物の立地、老朽の程度、近代建築としての価値などにより異なると思う。解体されることになってから云々するのではなく、あらかじめ対象を選定すべきと考える。
○ 近代建築は出来る限り建設当初の目的とした用途で活用できるとことが最もベターだと思います。
○ シカゴやカンザスシティで北仲のような施設を見たが、100年近く経過した古い建物に新しい価値を生む活動(芸術に限らず)を行っており、建物は生き生きしている感じがあった。抽象的な表現だが、展示物ではなく、日常の社会経済活動の場として活用する事がよいと思う。
○ 設備等、含めるといろいろ大変なことも多いと思いますが、やはり舞台とかギャラリーのように、その空間と一体で楽しめることで使い込んでほしいと思います。
○ できるだけ元のままの造りを活かして使う。使う側が楽しんで使うことが大切なような。
○ 今回の例で見た活用方法は採算をとりながら活用する、という点でよいと思った。意外性のある使い方がよいもちろん、公共建築物(歴史博物館など)に利用するのもよいとは思う。
○ 箱は可能な限り保存するも、中の設備や使い方に古さや不便さを感じさせない。
○ 博物館的に保存されている例が多いが、SOHO的な活用、アートの 場としての活用など、空間を求めている人が喜んで使えるような活用ができれば良い。
○ 外装はそのまま、内装は使い方に応じて工夫し、とにかく利用されていることが大切。
○ ファサード保存、表面部分は玄関、ひと部屋分は現状を留めて、他の部分は最新の建築物として活用する。
○ 各々の建築とその周辺との関係によって様々な解があると思うが、近代建築を博物館や記念館として残すだけでは不十分であり、近代建築の歴史性や空間と、そこでなされるアクティビティとが融合し、新しい文化や地域の個性を生み出すような活用方法が望ましいと思う。
○ 歴史的景観を残すことが重要と考えるので、外観はできるだけ旧態に復元し、内部は最新設備を入れてかまわない。課題は窓建具で、デザインは外観に合って断熱性の高いものがないか。
○ どのように私達の生活に密着した使われ方をする方を提案できるかということだと思います。そういう意味ではまだまだ模索することはたくさんあるように感じました。
○ できれば保存したいという気持ちはある。何かアイデンティティ的要素がきちんと残されれば、中がコンバージョンされることはありと思う。
○ テナント料や維持料を考えると、レストラン等の商業施設にならざるを得ないですが、行政側で資金面でバックアップすることにより多くの人が活用でき良い活用の建物になるということが今回実感できました。
○ カフェ、スクール、売店、フリーマーケット、美術館・・?
○ 今回の企画の中で、北仲WHITEが一番いきいきと活用されているように見受けられた。あまり規制を与えずに自由に活用させることが、結果的にはうまく活用されるように思えた。
○ 特定の人のみのスペースではなく、多くの方が利用できて建物や空間を楽しめるスペースとしての活用。コストに見合う使い方が必要ですが。

8. これまであなたが見た中で、歴史的建築物(近代建築に限らない)の活用方法として、優れていると思われる例を3つ以内で挙げてください。(できればその理由も)
○ 旧居留地38番館(神戸):神戸大丸が旧居留地・海岸通りの洋館群を利用してブランド店舗を広げ、格調高い街並みが復活。38番館(リブラボ・ウエスト)はその嚆矢となるプロジェクトで、内部空間、外観デザイン、使い方ともにすばらしい。さくらアパートメント(名古屋):都心の古い旅館を転用したユニークな店舗群。全面改装してお洒落なテナントが入るRC造部分から、昔ながらの木造和室をそのまま使うゲリラ的借り手まで、抱腹絶倒の面白さと驚き。川原町家(岐阜):鵜飼い乗船場から続くまちなみ保存地区にあり、土間、帳場、通り庭、吹き抜け、座敷、坪庭、縁側、階上、土蔵、屋根裏、裏庭・・・すべての空間をその特性に応じてすみずみまで巧みに転用し、美しく快適で落ち着いたショップ兼カフェを創出。最上級の町家活用事例。
○ オルセー美術館、姫路美術館、十輪院:コンバージョン後の使われ方がいい。上野駅(東京):改修保存により隠れていた上野駅の歴史が見えるようになり、駅自体が明るくさらに、使いやすくなった。上野子ども図書館(東京:安藤忠雄の改修);改修で今まで外部が内部取り込まれ建物の外壁にふれられようになり、建物歴史を目と手で感じることができるようになった。ラティス青山(東京・青山):旧日産建設の本社を住宅(44戸)にコンバージョンした建物。やっと日本でも本格的な住宅コンバージョンがビジネス化したかなと感じた建物です。
○ 東京駅丸の内駅舎、阪急百貨店梅田店(旧阪急梅田駅コンコースのドーム)、京都・秦家。理由:いずれも日常的に使われているから。
○ Re-know東日本橋(自社物件ですが、とてもかっこいいリノベーションになったと思います。問屋の倉庫→オフィス、スタジオ。エリアのポテンシャルの引き上げにも成功したと思うので。 
○ 佐賀町エキジビットスペース、映画美学校、千葉市美術館。
○ どれが、ということまで言えませんが、京都の町家を活用した例はすばらいと思います。名前を挙げることまではできません。
○ チェスター(英)の連棟建物群ロウズ。理由:外観は中世の街なみなのに、内部空間は現代そのもの。
○ 内部の活用方法ではないが、これだけ近代建築が集積している地区はないので、集積のメリットを生かした地区形成ができると良い。
○ 神戸大丸38番館:外壁を路地空間とするなど、近代建築の価値を最大限に活かしている。京都町屋:ストックの水準の高さと新たな工夫により、いかようにでも活用できるところがすばらしい。
○ 丸ビル:外観部分を残し、内部に広い空間を持つ、神奈川県博物館・京都文化博物館:古い建築物を残し、新館との一体的利用ができる、新風館(京都):外壁、建物をそっくり残しつつ、内部に入ると全く新しい空間がある 
○ 神戸の旧居留地、大丸周辺の歴史的建築物群:歴史的建築物を、店舗などに巧に活用するとともに、面的かつ戦略的にまちづくりに取り込んでいる。大阪船場の生駒ビルヂング:歴史的建築物を、SOHOとして非常にうまく活用している。上野の国際子供図書館:歴史的建築物を単に保存するだけでなく、新しい素材を組み合わせて、より高い次元で再生させている
○ 自由学園:できるだけ旧態に戻した上で、手入れの行き届いた庭とともに良質なホールとして活用している。結婚式に使われるのもよくわかる。コンセルジェオフィス北浜T4B:内部のレトロデザインと、ホテル並みのサービスがある、新しい形態のオフィスがマッチしている。佐賀町エキジビットスペース:倉庫兼事務所をアートスペースとして活用した先駆け。建物本体の造りがよかった。
○ 世田谷ものづくり学校(ワークショップなど地域に開かれた活動をしている。)クラスカ(ホテルのリノベーション色々なプログラムが入っていて面白い。) 
○ 丸の内の明治生命館
○ 上野:安藤氏の子供図書館(正式名称がでてきません。)。京都:町家を利用した喫茶店やギャラリー
○ 目黒の庭園美術館:美術と建物・庭園が一度に楽しめる、上野の国立博物館:歴史も感じる。
○ むいから民家園(狛江):地域の中にとけこんでおり、会合などでうまく活用されていた、長楽館(京都円山公園):喫茶ができる、建物が立派、とんかつまい泉青山本店:銭湯を改造してレストランにしているところに脱帽。

番外.麻婆豆腐専門店「辣」
○ 狭い空間をうまく活用した店舗で、水飲み等も凝っている。麻婆は山椒の味が利いていて汗をかきながら食べました。くせになりそう!
○ 中華っぽくない感じが面白い。赤がところどころで使われていて、全体のコンセプトを表現しているように思う。なんと言っても、あの麻婆豆腐は美味しかった。 
○ 山椒の香りがとっても、食欲をそそりました。サイコーでした。また行きたいです。
○ 癖になってます。内装はなんとも言えない微妙な調和。
○ 2階のカウンターの椅子がよかった。麻婆豆腐はちょうどいい辛さで、小皿はしゃきしゃきしていておいしかった。長粒米は苦手だったが、おいしく食べられた。少し塩辛いかな。


■コーディネーターより
 今回の企画は、近代建築を活用したプロジェクトであり、それを極めて適切に活用しており、かつそのようなプロジェクトがある狭いエリアで展開されているということに驚かされました。そもそも今でも残っている建築が多いこと、そのストックが良質であることは、横濱の歴史によるところが大きいわけですが、それらを今の時代のニーズや目的に合わせて活用し蘇らせるセンスの良さは、やはり横濱の持つ力なのでしょう。それは建築だけでなく、人的資源やソフトの力を活かしていることと、その相互関係が相乗効果を生み出しているという点で、極めてクリエイティブな展開であると言えます。これらの試みが、真に市民の文化となって定着していくことを期待したいと思います。
今回ご案内いただいた、BankART1929の池田さん、武田さん、横浜市文化芸術都市創造事業本部の仲原さんどうもありがとうございました。また、SOHO横浜インキュベーションセンターとシティコート山下公園については、コーディネーターの勉強不足から、施設の説明が十分にできなかったことを反省しております。暑いなか、慌しいスケジュールでしたが、皆さんお疲れさまでした。
 いつもそうですが、TEKUTEKUの企画書をつくると、その都市やまちの歴史や資産、活動する人々が浮かび上がってきます。今回の企画はこれまで以上に、自分が驚かされる企画となり、横濱のまちが、ますます好きになるきっかけとなりました。
なお、当日気がつかなかったのですが、ZAIMビルの前の日本大通りは、オープンカフェの実験事業中でした。これは全国に先駆けてスタートした事業だそうで、9月から11月の3ヶ月間の実験だそうです。また、9月28日からはトリエンナーレが開催されます。これからも横濱のクリエイティブな活動に注目です!!。(藤井正男)

 当日の様子(写真)(PDF)


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